パチンコ文化人類学【深夜の恋バナ編】

24:00、閉店後のパチンコ台を拭きながら、「すきぴがいる」と脈絡もなく話し出す18歳のギャル。

専門学校に通いながら、バイトを掛け持ちし、更に恋もしているなんて、いったいあなたの1日は何時間なんですか、と言いたくなるのを抑えて、「お!どんな人なの?」と聞いてみる

21歳で、社会人。何かのイベントで知り合い、一目惚れして、インスタのDMでアプローチを図っているらしい。しかし返信がそっけなく、会話を続けるのに苦労しているらしい。「もういっそのこと会話を途切れさせた方がいいのか」という相談であったが、恋愛経験に乏しい私に聞かれても困る。

とりあえず「未成年は相手も躊躇するのではないか」という助言をしておいたが、正直、恋とかすきぴとかそういう概念に馴染みがないので、インスタのDMでやり取りを行なっている時点でそれは恋とか愛とかにカウントされるのか?という疑問が湧く。

でも、そんななんでもない(本人にとってはなんでもなくないだろうが)ことを私にそれとなく話してくれる彼女のことは大好きだし、魅力的な人だという確信があるし、あなたを振るような人は見る目がないから気にするなと思った。

この間、大学のゼミの飲み会があった。その時に、「あなたは何者なのか」という詮索をされるのが苦しかった。何者でもない自分が恥ずかしくて、情けなくて、惨めだった。

でも、パチンコ屋の深夜バイトで「私は何者か」は、誰も興味がない。パチンコ台を拭ければ、私が何者であっても問題ない。ギャルは、私をジャッジすることなく、すきぴとのDMの話をしてくれるのが私にとってはすごく新鮮で、嬉しかった。

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