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デンマークの学校視察レポート1

「テストがない、自由な校風」と本やネットで見聞きしていたデンマークの学校。視察レポートです。

私が視察したのはコペンハーゲンにある一般的な公立学校のkirkebjerg skoleです。小学校から中学校までが一つの学校になっていて、学童も併設されています。

門はなく、開かれた入り口

地域に開かれた校庭


まず初めに驚いたことが、学校の周りに柵がないこと。
校庭とその前の道路が地続きです。
ガイドのMadsさんに聞くと、
「地域の方もこの校庭を使うことができるんです。だから柵はないんです。もしボールが道路に転がったら気をつけてとりに行けばいいですしね」

私が日本では安全上、柵がないのはとても信じられない。セキュリティーはどうしているんですか?と質問をすると
「よく見ると、校庭には先生が何人もいるでしょ。あの先生は生徒たち同士でトラブルがないかなどを見守る役目があるんです。セキュリティーとしての抑止力にもなっているから」とのこと。
日本での悲しい事件を伝えると、それはデンマークではあり得ないと言っていました。

校庭の様子(学校ホームページより)

まずは校庭を散策。朝の授業前だったので、子供たちは外でボール遊びをしたり、追いかけっこをしたり、そのあたりは日本と変わりありません。
校庭にも工夫があり、凹凸を利用しているところが多く見受けられました。

少し坂になっていたり、山になっていたりと子どもが楽しめそうな作り

チャイムが鳴ると皆クラスへ入っていきました。
勉強の前に身体を動かすと、集中できるからとてもいいんですよ」
と教えてもらいました。その時ちょうど読んでいた「最強脳」というスウェーデンの方の著作にも全く同じことが書かれていました。

中に入ると、図書スペースや給食を受け取る場所、ロッカーなどがありました。(人物の撮影は法律で禁じられているので、写真を撮ることはできませんでした)

ロッカーの前に並べられた靴もかけられたコートもラフに収納され、きっと子どもが遊んで、そのまま「えいっ」としまう様子が目に浮かびました。

旧校舎のホール。ちょうどクリスマス前なのでホールにもクリスマスツリーが飾られていました

暖かい校舎

校舎は旧校舎と新校舎に分かれています。旧校舎はデンマークの古くからのスタイルだそうです。日本で言えば体育館の中に教室が入っているようなイメージ。大型ショッピングモールに近いかな。
寒い国なので、理にかなっているなと感じました。(その後、見学した大学も似たような構造になっていました)

旧校舎の教室側。上の写真の向かいに各フロア教室があります

学童の各部屋へ

学校に併設されている学童も見学してきました。
ガイドのMadsさんも以前は先生をしていましたが、現在はこちらの学童の先生をされているそうです。

大きく分けて、低学年用と高学年用に分かれていました。
低学年用のお部屋にはLEGO(本家デンマーク)の部屋や、身体を動かせるような大型ブロックの部屋がありました。

LEGOがたくさん乗せられた机が複数ある低学年用のLEGO部屋
同じく低学年用の身体を動かせる部屋

高学年の部屋に入って中を見学させてもらいました。
高学年の部屋は、卓球台がある部屋、パソコンゲームをする部屋、ドラムセットや楽器がある音楽部屋、絵や粘土の部屋、工具のたくさんある木工部屋、携帯を使う部屋、小さなキッチンのあるリビング的な部屋など色々。

Madsさんは楽器ができるので音楽の先生も担当しているそうです。音楽の部屋は予約制ですが現在コロナのためあまり使えていないそうです。音楽教室に通わずとも、習えるのは魅力的。部活のような側面もあるのでしょうね。

音楽用の部屋
木工の部屋。工具はたくさんの種類が揃えられている。

「学童は学校とは違って、家にいるように安心してリラックスできる場所であって欲しい。
それから自分が何に興味があって没頭できるのかを見つけることがとても大事なんだ。それをサポートするのが先生の役目。それと学童の時間を何をして過ごしていくかを自分で考えることや、一緒にいる仲間とどのように振る舞い、関係を作っていくかも大切なことなんだ。」

とMadsさんが言っていました。
携帯やパソコンゲームはどのように管理をしているの?と聞くと

「パソコンや携帯は一日30分制。時間管理が特に難しいツールだからね。生徒が予約をしてパソコンの部屋や携帯専用の部屋で使うんだ。もちろん、ごまかそうとする子もいるけれど、そこは難しいところだね。」

ということでした。
いじめを見つけたときはどうするの?と聞くと

「まずは、スナックタイムなどリラックスできる時に、その子たちに気軽に聞いてみるんだ。こういうことどう思うの?って。特に女の子は高学年になると女王みたいになりたがる子や、そうでない子の間でいざこざが発生しやすい。」

と言っていました。
学校側ではいじめや不登校といった問題には
先生、ソーシャルワーカー、カウンセラー、心理学者、警察というチームで対応していっているとのこと。
例えば、不登校の子がいたらチームで何が問題なのかを把握し、その子が学校に来やすくなるためにどんな工夫をしたら良いかを考える。そのトライアンドエラーを繰り返していく。
また、ハンディキャップがあったり、ADHDであったり、家庭面で問題があり心理的に不安定であったり、そんな子にはサポートする先生が一人ついて、授業中もフォローをしてくれるそう。もちろん専門のクラスもある。ただし、インクルーシブ教育をとても重視しているので、普通の子のクラスにもハンディを抱えた子はサポート付きで入ることができる。

学校見学をしていた時もソーシャルワーカーと先生が何かを話し合っていた。問題があったので、ちょっと話したいとのこと。
フレキシブルに、迅速に対応している様子が日常的に行われていることが想像できた。(レポート2へ続く)