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#33 『みてござる』
本日は、大谷派浄信寺副住職で、実業家としても活躍された西端春枝さんの「みてござる」のお話です。
お話全体として、登場人物が多く、内容を説明するのが難しいので、致死出版社さんのページを貼ります。
西端さんの通っていた学校の校長で、後に大阪府知事になった左藤義詮さんの経験を元にお話されています。その経験とは、左藤さんがお寺の住職としてお説教に行かれた時に、出会った主人の方の話です。それが以下の文章になります。
"「貧乏でおまえに何もしてあげられなかった。何か餞別をしたいんだけど、それもできない。物を買うお金もないので、火にも焼けないし水にも流れない言葉をあなたに贈ります」そう言ってお母さんが平仮名で書いて、少年に手渡されたのが「みてござる」という言葉だったんです。"
主人の方が幼少期の時に、母親からもらった言葉が「みてござる」だったということですね。
"少年はその言葉を持って大阪に出るのですが、やはり辛い船場でのご奉公があって、ある時淀川の堤防を歩きながら「辛いなあ、お母さん恋しいなぁ。この川にはまれば楽になれるのに」と思っていたら、ふと「みてござる」という言葉が頭に浮かんで少年を引き戻すんですね。それからも、先輩からいじめられたり、いろいろ辛い体験をされるのですが、そういう時のお守りが常に「みてござる」だったといいます。"
このお話を読んでの気づきは、「言葉の持つ力」です。どんな高価な物でも持つことができない力があるのが言葉であります。その人の生き方、あり方、文脈、背景といったものとその人との関係性の中でつくられる言葉。
その方程式で生まれる言葉に勝るものはないんだなと思いました。たった一言でもその人の人生の指針にも、自信にもなる。私はそのような世界観、すごく好きです。
私は思考設計士として、「思考」をテーマに日々活動していて、自身はもちろん、相手の思っていることや考えていることを整理したり、それをコンセプトやフレームワークにまとめてみたりして、最終的には言葉にしています。
言葉にすることで、それまで見えていなかったことが見えるようになる。それが私が理想とする世界観で、「見えないものを見えるようにする」が私が思考設計士として活動する使命感であります。
本日のお話で、言葉の持つ力の可能性を改めて感じましたし、より多くの人のためになる言葉を届けていきたいと強く思いました。
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書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』
2021/02/02 『みてござる』
西端春枝 大谷派浄信寺副住職
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※Image by Wokandapix from Pixabay