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「成約率=受注ポテンシャル×訴求強度」訴求強度を上げる方法とは
弊社はフルサポート伴走型の営業支援サービスを行っていますので、“成約率”は自社だけではなくクライアント企業に貢献するためにも重要な要素です。
お客様への貢献の最大化のためにも私は成約率について分析を重ねてきました。その結果、成約率とは、受注ポテンシャルと訴求強度が掛け合わさったものと定義しています。受注ポテンシャルとは、潜在的な受注の可能性を指し、具体的にはターゲット、BANT状況、競合比較に関係します。BANT状況とはBANT情報、BANT条件とも言われるBudget(予算)Authority(決済兼)Needs(必要性)Timeframe(導入時期)を意味します。
受注ポテンシャルに高い訴求強度を掛け合わせることで成約率は倍増します。今回は、訴求強度を上げる具体的な方法をお伝えします。
訴求の強度とは?
訴求の強度とは、自社や自社の商品、サービスの魅力をどれだけ発揮できているかを表します。
累計700社様、現在100社様の営業支援に携わらせていただく中で、非常に実感しているのが、99%のクライアント企業は、自社や自社の商品、サービスの魅力を言語化できていないということです。さらに言えば、魅力の言語化が成約率を上げるために必要な要素だと気付いていない場合が大半です。言語化できていないものは、伝えることはできません。
成約率を上げるために、なぜ魅力の発揮が必要か?
成約率を上げるために、なぜ自社や自社商品の魅力を発揮しなければならないかを説明します。
世の中には様々な商品、サービスがありますが、良いものだから売れるとは限りません。そもそも私は、営業支援サービス事業を行う者として、市場に悪い商品はほぼないと思っています。消費者にとって良くなかったとされる商品、サービスは大半の場合、使い方が若干違っていたか、期待感にズレがあったかなどでしょう。
良い商品がそれだけ市場にある中で、魅力が伝わらない商品は、いくら商品の質を磨いても他の商品に埋もれてしまうだけです。
しかし、訴求強度を高める魅力は、自社が認識しているだけの魅力ではなく、相手にとって魅力的な魅力でなければならないのです。
前提として商品力も重要です。元々良い商品である上に、商品は磨く必要があります。市場のニーズを汲み取り、さらなる魅力を伝えるために商品を改善していく時に、魅力を発揮する力と同時に商品力も高まります。増加する魅力を伝えることで、成約率は1.2倍、倍、3倍と上がるのです。
訴求強度を上げるための2種類の魅力とは
訴求強度を上げるために、発揮すべき魅力は2種類に分類されます。1つはポジティブな魅力。自社やサービスの長所であり、お客様のベネフィットになる点です。ポジティブな魅力付けは、お客様に買う理由を与える行動となります。 「即時性と再現性のある成約率を1.2倍上げる方法」(リンク)でお伝えしましたが、弊社の商談は、訴求点打ち込み法という方法で行っており、毎商談約60個の魅力を打ち込んでいます。
もう1つは、ネガティブな懸念を払拭する点です。お客様のネガティブな懸念を払拭するのは、買わない要素を減らすことになるため、ポジティブな魅力と同様に必要です。
買わない要素がいくらあっても、買いたいと思う要素がなければ買わないので、2点の割合としては、ポジティブな魅力を多く打ち込むことが基本です。
自社、自社商品のポジティブな魅力を知る方法
自社、自社の商品の魅力を言語化できていない企業が99%だと申し上げましたが、弊社の営業支援サービスは、ヒアリングの時間を十分にとり、お客様が気づいていない魅力に気づく発見を与え、一緒に考えていくということを行っています。弊社を含め多くの企業は自社の魅力について考える時間をとっていません。外部のパートナーが入ることにより、新たな魅力に気づき、訴求点は確実に増えます。加えて受注ポテンシャルが高ければ成約率は各段に変わってくるでしょう。
弊社のような外部パートナーが入らない場合でも、自社でできることはあります。単純ですが、ポジティブな魅力をできるだけ多く書き出すことです。一人で行ってもいいですし、可能なら複数人で考えを出し合うブレインストーミングを行うとより効果的です。100個を目標に箇条書きにし、リスト化しておきます。商談ではそのリストをもとに30~50個打ち出すようにしましょう。確実に成果は変わってきます。できたリストは商談のトークに使うだけではなく、LPやHP等にも活用しましょう。
魅力付けとニーズの関係
ポジティブな魅力を書き出し、商談で伝えることは、ネガティブな懸念を払拭することに比べると容易なイメージですが、難点はあります。それは、魅力付けはお客様のニーズやベネフィットに紐づいていなければならないという点です。つまり、こちらが魅力だと思っていても、お客様にとって魅力的でなければ魅力付けとして機能しないのです。
お客様にとっての魅力を簡単に理解できれば苦労はありません。実際、お客様自身も自社の課題、課題を解決するために必要なこと、何を探しているのか分かっていない場合が大半です。そんな中1、2時間の商談で聞き出せるとしてもお客様が知っている情報の1%くらいしか知ることはできません。
そこで必要になるのが、できるだけ数を伝えることです。
ネガティブな懸念を払拭する点とは?
訴求強度を高めるために、ポジティブな魅力付けとともに必要なのは、ネガティブな懸念を払拭する点とお伝えしました。
まずできることは、販売する側から綿密な提案をすることです。弊社の商談であれば、この金額のこういうサービスがあり、サービスにはこういったことが含まれています、こういった流れとペースでやっていきましょうといったことです。この部分を明確にすることで、まず大きな懸念は払拭されるでしょう。
しかし表に表れないネガティブな懸念が、購入を妨げている場合が少なくありません。表に表れないネガティブな懸念は、お客様によって様々で多岐に渡り無限です。担当者自身に対する懸念もあれば、組織に対する懸念、未来に対する懸念もあるでしょう。
たとえばこの商品の購入を上司が理解してくれるだろうかという懸念、この商品を使いこなせるだろうかという懸念。使用して課題が解決するのだろうかという懸念、もっといい商品が他にあるかもしれないという懸念。
このように想像しやすい懸念点もあれば、「ほしいけど3ヵ月後にオフィスを引っ越すから今はいらないか」「家族の許可がいる」など、少しのヒアリングで聞き出しにくい要素もあります。
さらに、営業担当者の話し方、姿勢、服装、相槌の打ち方が気に入らない場合や、ただなんとなく嫌だというどうしようもないネガティブな懸念もあり得ます。
対処できるネガティブな懸念点をできるだけ多く聞き出すには、ロジックだけではない信頼関係も必要になってくるでしょう。
方法としては、ヒアリングではこちらも自己開示し、ラ・ポールを形成しお客様がほしいものをほしいと言えるための信頼関係を築くこと。ヒアリングで懸念点も聞き出せたら、払拭できる点をできるだけ多く打ち込んでいきます。
もちろん事前にお客様を調べることも有効です。私の場合はお客様のWebサイトを15秒見れば大体の課題やそのための訴求が分かります。しかしそれには累計700社様と関わってきた経験があるからで、新人の営業担当者には難しいはずです。
また、ラ・ポール形成が上手でお客様に好かれる営業担当者が、必ずしも成約率のいい営業担当者とは限りません。仮に成約できていても、お客様がサービスや商品を正しく理解せず、〇〇さんが買ってくれというから買いましたという場合は、期待値が違ったり、商品についてお客様が間違った解釈をしており後々問題が起きたりします。
このように、ネガティブな懸念の払拭は、営業として高度な能力が求められます。どんな要素をどのように伝えるか、お客様によって変化させる必要もあり、経験値によるところも大きいでしょう。
まとめ
成約率を上げるには、訴求強度を高めることが必須です。訴求強度は、ポジティブな魅力付けとネガティブな懸念の払拭から成り、どちらも行うことが重要です。自社のポジティブな魅力は言語化できていない場合は99%。書き出し、リスト化すると営業トーク以外にも活用できます。
ネガティブな懸念点の払拭は、懸念点は無限で、お客様によって全く異なり、短時間で引き出すのは難しい場合もあり、高度なスキルを要することもあります。これらのことをお伝えしました。ご参考になれば幸いです。