粘る納豆作り②・・・遂に粘る、更に粘る
ネパールの山奥で修行している村田です。
(うそです。毎日遊んで暮らしています。)
今回はいよいよおおずめ、実際の納豆の作りを紹介していきます。
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夜中に突然ひらめく
夜中に突然閃いて飛び起きると考えてみた。
「納豆は何で発熱するんだ?」
納豆に限った事では無いが、麹も堆肥も使い捨てカイロも空気(酸素)に触れると発熱する。
だったら温度を下げるために蓋を取ったり外に出すのは間違えなのでは無いだろうか?!
逆に温度が上がりすぎたら発砲スチロールの密閉度を上げて酸素濃度を下げれば発酵が緩やかになり温度は下がるはずだ!!
そもそも納豆菌は本来そこら中にいて、稲わらでもそこら辺の草でも茹でた大豆と混ぜれば味は兎も角納豆にはなるのだ。
だが、そんなに沢山いる納豆菌なのにそこらじゅうが粘っていないのは何故だろう?
じゃあどこで納豆菌は粘っているだろう・・・❓
納豆菌が粘っているのを実際に目撃出来る現場は・・・勿論買ってきた納豆は粘っている・・・他には・・・
・・・そうだ、ピクニックで朝早く握ったおにぎりが、リュックの中で発酵して帰り道で残ったのをこっそり食べたら嫌に生温かくて糸を引いていたっけ。(結局食ったんだな!)
・・・それと味噌作りで味噌玉に感染してしまった天然の納豆菌が繁殖して、えらく糸を引いていたっけ。
じゃあ、その・・・共通点は?
密閉?・・・酸欠!?
どちらも際立っては発熱していなかったが、不完全な密閉で酸欠気味になっていたような気がする。
納豆菌を完璧な環境でヌクヌクと何のストレスも無くのびのびと育て過ぎると粘りの無い子に育つのかもしれない!?
そんな考えが一瞬に閃いてすっかり目が覚めてしまったのだった。
そうなると、もう寝てなんて居られないかった。
まずは大豆を水に浸さなければいけない。
最低12時間なのだが・・・とてもじゃないがそんなに長く待てそうも無い。
そうだ、40℃位のぬるま湯に浸けたらどうだろう?
大豆1.5kg洗い水を切って圧力鍋に入れ、別の鍋で70℃位に温めたお湯を大豆に注ぐといい湯加減な温度になった。(発酵容器は大豆重量が500g~1,000gまでは金属製のボウルとか大きめのタッパーでも良い。この場合出来上がり重量は1~2kgになる。それ以上作る場合は容器の底の方が酸欠になり発酵しないのでザルの様な物が良い。)
圧力鍋の蓋を閉めてタオルで保温して仮眠。
5時に起きて圧力鍋の蓋を取るといい具合に吸水している。
一旦全部水を捨てて入れ替えて(吹きこぼれ防止のため)火を入れる。
圧力鍋が蒸気を吐き出す寸前で一旦火を止めてそのまま一時間放置。
蓋が外れる位(多分100~95℃)に冷めたら一旦豆の茹で上がり加減を確認して、もう一度蓋を閉めて加熱し蒸気を吐き出す手前で火を止める。
(茹で加減は指で簡単に潰れるくらいが良い。柔らかめでも出来上がる頃には水分が蒸発して硬めに仕上がる。あまりにも柔らかくなると発酵容器の底の方で豆がべっとりと潰れてしまい発酵しない。)
更に蓋が外れるまで放置した後、熱いうちにザルにあけて扇風機で急速に冷ます。
時々豆を撹拌しながら32℃になったら納豆菌の種付けをする。
ザルのままで納豆菌を溶かした水をかけてかき回すと簡単だ。
種付終了時の温度は何故かよく分からないのだが、33~28位が良い。
これよりも高温になると粘らない傾向にある。
種付け後直ちに温度計のセンサーを豆の中心部に設置してキッチンペーパーでザルを蓋する。
発砲スチロールにザルごと収容してヒーターを設置。
ヒーターの熱が直接豆に当たらないように新聞紙を折った物をヒーターとザルの間に入れると良い。
発砲スチロールの蓋を閉めてヒーターをON。
品温が42~43℃になったらヒーターを取り出し、豆を確認。
豆の表面が白っぽくなっていればOK。
ザルに被せたキッチンペーパーの上から箱全体にかかるように新聞紙でザルを覆って酸欠気味にする(新聞紙の覆い加減と箱の開け閉めで酸素を調整して品温を45℃以上にしないようにする)。
蓋を閉めると時間経過と共に品温は緩やかに下がってゆくので必要なら酸素の供給やヒーターを使う(外気温により大きく異なってきます。)
この時箱の蓋を空けると酸素が入り品温が一気に上がる事があるので注意が必要、酸素過多になるとせっかく粘り出していたものが台無しになる。
品温が勝手に上がるイコール酸素が多くなった・・・と考えて、無駄に蓋を取らない。
酸素が多過ぎると粘りが消え、少なすぎると発酵が進みません。
4~5時間置きに豆を確認して粘りが最大限になったところで終了。
終了後はビニール袋に入れ薄く伸ばして密閉し、粗熱を取った後冷蔵庫で熟成、その後冷凍庫で保存も可能。
納豆の美味しい食べ方
納豆に合う調味料はみりん、ブラックソルト、昆布だし、レモン汁少々、好みによってマヨネーズを加えると非常に美味い。
納豆のトッピングに合う物としては常識的には卵だが、僕は断然キムチが美味いと思う。
更に僕のおすすめはアワビの刺身、これは正に絶品だ。
無ければ白身魚の刺身(鮮度の良い物)で我慢しても良い。
最後に(重要!!)
もしあなたが不幸にもリストラされたりして納豆の製造販売をする事を決意した時は売り歩く前に古典落語等を鑑賞して納豆売りの呼び声を練習すると良い。
最初は大して売れないかもしれないが、粘り強く続けるのがコツである。
以上