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モニク・アースの「白いラヴェル」



作曲家ラヴェルの伝記映画『ボレロ』を観て改めてラヴェルの生涯を調べ直したくなり、井上さつき著『ラヴェル』(音楽之友社、作曲家・人と作品シリーズ)を拾い読みしている。

外連味のない堅実な評伝で、各曲の解説も簡潔で明瞭なとても良い文章だ。


この本を読んでいるとラヴェルの様々な曲を改めて聴き返したくなって、今朝は、フランスの往年の名ピアニスト モニク・アースの弾く《ラヴェルピアノ作品全集》(1968年録音)を聴いている。


知的で清潔なモニク・アースのラヴェルの演奏を色彩で例えるなら「白」だと思う。


この白は、藤原定家のこんな歌の持つ白に似ている。


雲さえて

峯の初雪ふりぬれぱ

有明のほかに月ぞ残れる


この歌の、白に白を重ねていく冷え冷えとした美しさが、モニク・アースの弾く

ラヴェルのピアノの音色に通じるような気がして、台風後の酷い暑さを少しだけ

緩和してくれるようです。


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