NO.39 久保田万太郎の句が似合う季節になってきた
昨日は久しぶりの銀座出勤の後「教文館」に立ち寄り本を数冊入手。
岩波書店のPR誌『図書』9月号をもらい帰りの電車で眺めていて恩田侑布子さんという俳人による「けはいの文学-久保田万太郎の俳句」という随筆に出会った。
久保田万太郎といえば
「湯豆腐やいのちのはてのうすあかり」
「竹馬やいろはにほへとちりぢりに」
などの句が有名だけど、他にもひかりの微かなうつろいをとらえたような味わい深い句が数多くあることを恩田さんの随筆で改めて知った。
たとえば
「ふりしきる雨はかなむや桜餅」
「人情のほろびしおでん煮えにけり」
などの句のあわあわとした味わい。
次の句には(時々小さな声で歌いながら)無心にピアノを弾くグレン・グールドの後ろ姿が重なった。
「さびしさは木をつむあそびつもる雪」
今日からもう10月。
冷たい朝の降る今朝、本棚から久保田万太郎の句を収めた文庫本を探しだした。
湯豆腐の似合う季節も近くなってきました。