見出し画像

5 新井英樹・入江喜和 画業30周年原画展トークショー 有楽町編

画像1

司会:二人て結婚25年ぐらい?


新井:24、5年?

司会:二人でずーとやってて、通常とは違ってて家の中に生活の中に漫画があるわけじゃないですか。通常仕事って家の外にあるものだから、ずっと生活に漫画があるっていうのは生活しててどういう、苦しいとか楽しいとかどういう感情…?

入江:苦しくは無いですね。むしろ漫画があるからまだ一緒にいるような。なにしろ二人揃って売れてないから、どっちかが凄く売れちゃったりとかしたら…向うも売れてないしなみたいな…訳でもなく。

新井:あの、いまので言うとカミさんが売れてくれたら、俺たぶん漫画描かなくなる。(漫画が)凄く好きだけど凄くキツいというのがあるんで、前のトークショーで話したんだけど俺とカミさんは、俺は特にお互いの漫画読まなくなっちゃってるんで。もう、ちゃんとしたのが描けてるのがわかった時点でもう読まなくても良いや、下手に口出すのも嫌だしなって思ってるから。どっちか売れてくれると、カミさんが売れてくれたら結構理由つけてはダラダラすると思う。鳥当番が俺に完全になる。


司会:入江さんはどうですか?新井さんが売れたら描かない?

入江:描くでしょうね、描かないとボケちゃう感じがして、それが一番怖いですね今。何かで描けなくなっちゃったら相当ボケちゃうんじゃないかな病気するんじゃないかなと思って用心してるんで。そうは言っても、だんだん年取ると絵を描くのがキツくなるんで、どうも目が悪くなったり。だんだん簡単な絵にしていく方向性で続けられないかなていう気はあります。

司会:今まで両親が漫画家だったわけではないので、なかなかずーっと漫画をやり続けるのは…


入江:私は休みたく無いんですよ。自分が休んじゃった時の雑誌が届いたりするとすっごい詰まんないから読まない。封も開けないっていうか嫌なんですよね。だから、自分が載ってないと嫌なので多分それで頑張っちゃうんだなと思うんですね。

画像2

司会:新井さんはどっちかというと、常に休みたい?


新井:休みたいって訳じゃないんだけど、これ、編集の人前にして言うの嫌なんだけど雑誌のこと考えたことが無くって。よく雑誌の人気の順位とかを一番最初モーニングから始めた時すごい言われたんだけど気にしたことが無くて。基本、対世間しか考えたことが無いから、雑誌の中で人気がある漫画も雑誌の中だけの話だったから何の意味もないんだと思ったから。
一応まだ原稿を落としたこと無いんだけど落としそうになった時には、これヤバイって思った時にギリギリ2日ぐらいしてから原稿仮に落ちたとしても俺のせいじゃないって開き直る時間が2日間ぐらいあって俺のせいじゃないと思い切ったら、何とか上げることができる。要するに「待つ方が悪い」って思っちゃうんで。


司会:それは作り方…新井さんと入江さんとは対照的で。入江さんは徹夜とかしない?

入江:しないですね。

新井:俺はもう、徹夜厭わずだけど、やっぱ30代からだいたい5歳刻みで体力が落ちてくるのが分かる。だから、35超えてからは完徹2日とか3日とかもう、できなくなるから。それまではアホみたいにやってた。

司会:そうですね『ザ・ワールド・イズ・マイン』やってた時が一番大変でしたね。

画像3

新井:あれが、『ザ・ワールド・イズ・マイン』の後遺症がでかかった。資料探すのが嫌で本当に見たくなくて、あの当時パソコン入れてなかったんで家に紙の資料がいっぱいあって、それが入ってる棚とかいろんな場所に置いてあるんだけど、その棚のこの辺にあの資料があるはずだって思って。でも、そこを探した時に無かったらそのショックで気が狂うかもしれないと思ったら俺、3日間ぐらい机に座って朝から動けない。そこ探して無かったショックに耐えられない。それぐらい3日間ぐらいずーっと座りっぱなしでそこ探すのが嫌で。


入江:それが一番イライラしてる。


新井:そうそう、それが一番イライラしてる…フフフ…


司会:俺が一番怖いのは、昔の原稿を借りたい時に探す時に凄いイライラする。


新井:もう、探すっていう行為とともに本当に発汗して汗が出てきて頭に血登ってもうだめで「探しても無いかもしれないな」っていうのが耐えられなくて。


司会:いや、ありますよ二人でいけば…


新井:無いこと多いんですよ。