花組『エンジェリックライ / Jubilee』(2024/10_1回目)
座席:1階24列目上手より
個人的に1番当たり外れが多いのがこのあたりの席だと思います(24列目〜28列目)。前の人の身長にもろ影響されるし、後ろにもちょっと気を遣う。今回は上手3分の1が全く見えなかったです。2階席ぐらい傾斜があればそんなことにはならないんですけどね……。音は特に特筆すべき点なし。もうちょっと音が抜ける席を知ってるので、ちょっともったいない。ただ客席降りを楽しめるのが魅力。
エンジェリック・ライ
開演挨拶「皆さま…」が永久輝さんの声で、当たり前なんだけどすごく新鮮だった。ちょっと硬め?な口調。あの、あの永久輝さんが本当に本当にトップになられたんだな……。
2番手時代を複数回観劇した方がトップになるのは初めてで、すごくすごく祝福の気持ちでいっぱいになりました。本当におめでとうございます。
ど頭からファンシー!!ファンシーホワイトwithスモーク!!!一歩間違えればお遊戯会になりそうな衣装とセットを、美貌で納得させてくださいました。タカラジェンヌは人間じゃないってはっきり分かんだね。ただオタクを観察するのはやめてください…。
でっかい本、左側がドン・ジュアン、右側がジョルジュ・サンドのスチールでした。細かい。
序盤は各陣営の紹介タイムになるのでどうしても情報量が多い。たぶん何回か見ればもうちょっと理解できると思う。あとは舞台に人が多い…!いや、ベルばら並みに少ないよりかは良いと思うけれど。重要人物が舞台の両サイドで同時に何かやってるシーンがそこそこあったはず。目が本当に足りない。
だけど、後ろのセットが綺麗に色分けされていて(白=天使陣営、赤=悪魔陣営、青=エンピレオ陣営)、催眠のシーンは紫に変化したりと、今なんの陣営の話なのか分かりやすくなっていて親切。あとセットが豪華で素敵。
ここからはジェンヌさんごとに。
アザゼル(永久輝せあ様)
私の中で新しい永久輝さんでびっくり。
幼いというか、かわいいというか?ぴょんぴょん跳ね回るイメージがなかったから慣れるまで少し面食らったけど、愛らしさの塊のようなキャラクターがめちゃくちゃ良かった。引き出しが多い。すごい。
最初どこにいるか全然分からなかった…次は見つけて見せます。
あとはとんでもなく朗々と響きまくる声ですね。望海さんを彷彿とさせるような、身体を反らしながらのロングトーン。圧巻です。Cry of the Heart、劇場を声で揺らしそうなレベルの歌声。これだけしっかり歌われると歌詞に説得力が増す。スーパートップスターになられる予感しかしない。
天使に戻ったとき、人外っぽい美しさ→力が戻ったことに気付いてにやり、の表情が、明らかに「変わった」ことに気付かせる演技ですごい。
幻覚シーン、エレナに向かってさよならのポーズ(閉じたチョキを振るやつ)、かっこよくてすごく素敵だった。けど幻影なんですね笑
ラスト、客席を走り抜けるシーン、エレナを見るアザゼルの表情が、とってもとっても優しくてキラキラしていて嬉しそうでこちらまで幸せになった。
正直、演目が発表されたときは永久輝さんのイメージにない役だったから好きになれるか不安だったけど、終わる頃にはアザゼルのことを心から愛しいと思ってました。大団円!!
(これはちょっとメタいですが、「アザゼル」という名前の「天使」がいることって、ほぼ結末が分かっているようなもんですよね…天界に戻るわけがない)
エレナ(星空美咲様)
星空さん、お可愛らしいお顔で強めの演技、大大大好きです。パンク系衣装がとってもお似合い…というか、前下がりぱっつんボブがめちゃくちゃ似合ってた。
歌があまりに上手すぎてびっくりした。そりゃ永久輝さんの相手役になる方だ。声量もすごくて歌に込める感情表現が見事だと思う。あと声が綺麗。声優さんみたい。
エレナ、強い女性だけど根本は少し幼いというか、純粋というか、でもだからこそ真っ直ぐで好きなキャラクターでした。ラストの水色ワンピースにブロンドの髪、あまりにもヒロインで心が浄化された。
フラウロス(聖乃あすか様)
聖乃さん、作り込みと色気がすごい。本当にすごい。眉毛をめちゃくちゃ短く&紫にされていて、人間に化けるときはそれを眼鏡で隠し、悪魔の時は外して人外感がよく分かるという……。
エンピレオの司会?として表に出るときの振る舞いに違和感は無いけど(ただし常人離れした色気)、フェデリコたちと話しているときの立ち姿や仕草、表情が完全に人外の存在。小さな違和感がすごくある。(エレナが見つかったと報告を受けたとき、まず真っ先に目を爛々とさせてフェデリコの顔を覗き込んだり。報告そのものに対するリアクションがないように見えた。興味があるのはフェデリコの反応?)
後はスチールで衝撃をうけたV系も真っ青なあの紅衣装ですね…。動いていれば、かつ、あの世界観の中にいればそこまで強く違和感は感じなかったけど、それでも派手すぎる。聖乃さんのスタイルじゃないと大事故です。古のギャルばりの爪がすごい。
フェデリコ(凪七瑠海様)
凪七さん、イケおじを演じれば右に出る者はいませんね……。ずーっっとかっこよかった。衣装のスカーフ使いも素敵で、とんでもなく粋なおじ様。あとウィッグの色が、照明の加減で紫だったりアッシュ系だったりと綺麗でした。
愛ゆえに狂ってしまうところの演技が上手すぎた。
ラファエル(綺城ひか理様)
綺城さん、金髪ウェーブロング真面目堅物天使ありがとうございます。きっと何百回と言われているだろうけど「親友」の2回目は最高でした。「はァッッ?!」がとても好きです。
永久輝さん然り、この(堕)天使たち、癖が強いのに愛嬌がすごくあって、見ていて本当に楽しい。
客席1列目に隠れるシーンとか、悪魔に見つからないように隠れるシーンとか、あれ隠れてばっかりだ笑
その他
・希波さん、ビジュアルの大正解を叩き出してましたね。眼鏡めっちゃ似合う。のに、台詞とか目立つシーンが少ないのが本当にもったいない。
・紫門さん、どちらも映像で見た「出島小宇宙戦争」「冬霞の巴里」でとんでもなく演技が上手かったので注目してました。結果、めっちゃくちゃ良い天帝だったな…!!しっかり人間離れしてるし、ぼんやり老人に見せかけて威厳あふれて有能で、ものすごく良いキャラでした。本当に上手いな……。
・オリジナル作品は月組の Eternal Voiceぶりでしたが、やっぱり良いですね。
「海」「星」「光」とか、「7つの海を〜」とか、当て書きの良さを実感しました。すっきりとした後味の良作品でした!ありがとうございました。
Jubilee
クラシックなTHE・タカラヅカレビュー。
要所で知っているクラシック曲がアレンジされているのも、尚さらそう思う原因かも。全体的にセットがかなり豪華な気が…?上から垂れ下がったり、ギラギラしたりが多くて華やかで楽しかったです。祝祭!
あまりまとまった感想にならなかったので、雑多に書きます。
・永久輝さん、10年前の宝塚のトップスターみを感じました(10年前を知らないのであくまでイメージ)。線が細く、スラリとし、眼光鋭く、高らかに歌い上げる。アイシャドウのブルーのせいもあるかもしれませんが、ものすごくクラシック&オーセンティックな雰囲気を感じました。知らないのに「懐かしい」と感じる不思議。
・プロローグ、ピンク×白で花組らしい夢々しさをこれでもか!というほど感じられる。よく分からん花のポンポン?も着こなしておられる皆様。前編通して花組だな…というか、ゆったりとしたロマンティックさを感じました(なので私との相性はあまり良くないことをこの辺りで若干察しました。腰を据えてじっくり見るのが苦手なので、間延びするように感じてしまうんですよね…。クラシカルな魅力は素晴らしいんだけど)。
・お芝居では見られなかった、永久輝さんの三白眼×眉間のシワを存分に堪能できて良かったです。やっぱり永久輝さんはバカでか闇を抱えていただかないと。
・すみれの園?シーン、星空さんの強かな女性像大好き。ここの聖乃さんも雰囲気あって良かったですね。薄々感じてたけど、聖乃さんメイクがめちゃくちゃお上手では?見せたい自分に合わせてメイクをコントロールするのが上手いと思う。ここは骨太な青年像が感じられてよかったです。
・赤黒群舞がすごく良かった。バレエのことは本当に1ミリも分かりませんが、永久輝さんの「型」がしっかりあるような舞いは素人目でもすごいと分かる。ここは綺城さんもすごかった。ざっくり胸元開いてもいやらしさが全然なく、むしろこの状態が当たり前ですけど?感がある。何ならクリーンな印象すら感じるのすごいな。
・客席降り!永久輝さん・聖乃さんを近くで見れました。永久輝さんは元気いっぱいでしたが、その細さにびっくりする。ちゃんと食べてますか…。
聖乃さんはリアル王子様。斜め前に小さな女の子が座っていたけど、頭を撫でたり、ちょんっとハイタッチをしてあげたり、あまりにも白馬のプリンスでした。おそらく一ノ瀬さんとハイタッチし、美風さんの生歌声を聴くことができました。
美風さん、すみれコードだと思いますが私よりそこそこ年上のはずなのに、可憐さと儚さが完凸してました。もはや少女。やっぱりタカラジェンヌって人間じゃないですね。
・戴冠のシーン、衣装とセットの豪華さがすごかったんですけど、一回死者のシーンを挟む必要あるか?と思ってしまった。すっと戴冠させてあげて…。
と思ったら、パンフレット見る限りそんなにシリアスなシーンではない、のかな?連綿と続くトップスターの系譜に名を連ねる…ぐらいのことなのかも。
・永久輝さん×綺城さんダンスシーン、綺城さんが永久輝さんをリフトされててびっくりした。そして満面の笑みですよ。この2人をずっと見ていた方なら感無量なんじゃないかな。
・デュエダン、すごく初々しいカップル感があって、フレッシュで希望に満ち溢れた雰囲気が素敵でした。星空さん、永久輝さんのお隣だといっそう愛らしくみえる。永久輝さんは笑顔が増すし、男役と娘役の関係性として満点すぎるなと思いました。ここの深い紺色の衣装も綺麗。永久輝さんの右襟あたりにビジュー?が山ほどついていて、それがキラキラ光って美しかったです。
・「今日は記念日!」ですごく温かい気持ちになった。毎日が記念日ですね。大羽根を背負ったままのお辞儀、バネみたいにぴょんっと上体を起こしていてすごかった。あの細い体のどこにそんな筋肉が…?
・私は「冬霞の巴里」のオクターヴ(スカステで見ました)が永久輝さんの真骨頂だと思っているので、今後はダークサイド拗らせ拗らせ育った環境激重相手役への執着マックスな役が見たい。とても見たい。あとは女王様みたいな星空さんが見たい。
・これから紡がれる、永久輝さん・星空さんの花組がとっっても楽しみ!!!
(蛇足)
・ちょっと気になったのが、いわゆる路線系スターの少なさ。星・月が渋滞しているのもあるけど、花組は中堅スターがあんまりいないんじゃないかな…と(私が名前を把握できてないのもあるかもですが)。
今回のレビューだって、凪七さんがいなかったら誰がシーンをつないでいたのか(聖乃さん出ずっぱり?)などと考えていました。侑輝さん、希波さん、天城さんあたりに期待なのかな?
単純に、お披露目かつ主要メンバーの退団なので、そこばっかりにスポットライトがあたるような構成だったのかもしれませんが……。昨今のいろいろは分かっているのですが、一度はどんがらがっしゃんシャッフルで空気を入れ替えてみたら、いろんな方の知らなかった魅力が分かるんじゃないかな……。