2024年9月議会メモ(甲州市)

 議会での質問や答弁で注目した事項を私は取材メモに残します。それを基に独自調査も加え、コンパクトなニュースとしてお伝えします。今回は2024年9月議会の話題です。

「公共交通機関の課題」
 市内公共交通として、市民バス・路線バス・デマンドバスの3タイプがあり、高齢化や人口減少など社会的課題と、ターゲットの明確化や市民ニーズとのズレなど戦略的課題を抱える。電車・高速バス・タクシーなど他の公共交通や、市民ボランティアとの連携を視野に、市民福祉向上と二次交通確保の両面から捉え直す必要に迫られている。

「労働や雇用への取り組み」
 市では8月に山梨労働局と雇用対策協定を結び、その事業計画では➀事業者支援による雇用の場創出と拡大➁若年者の就労支援➂働きたい人がいつでも活躍できる地域社会の整備、を重点課題とし、取り組むとした。統計では、2020年国勢調査で市の農業就業者数3569人に対して、2021年経済センサスで農林業事業所数は30、従業者数は226人に留まる。ワイナリーなどの製造業や卸小売業が就業先の上位を占める。現実の産業構造を踏まえた取り組みが必要。

「外国人受入への課題」
6月現在の住民登録外国人は30か国311人で、5年前の18か国210人に比べ、人数増と国籍多様化が顕著。国籍別人数は、ベトナムが120、中国が41、フィリピンが29、韓国が24、タイが19、アメリカとインドネシアが各13で、他の国は1ケタとなっている。習慣の違い、地域とのコミュニケーション、就労ルールの理解など受入への課題が挙がる。

「樹木のナラ枯れ対策」
市内の山々ではナラ枯れ被害が今年に入り急激な拡大を見せた。これはカシノナガキクイムシが木に潜入し、ナラ菌を持ち込み蔓延させ、木の細胞の壊死、通水障害を招き、樹木を枯れさせる現象である。さらに羽化した成虫が、ナラ菌を付着させたまま別の健全木へ潜入、周囲に被害を拡大させる。枯れ木の拡大はドングリなど木の実減少を生み、山の動物が人里へ出没する遠因にもなる。対策に挙げられるのは羽化前の薬剤燻蒸で、市は、これをできる限り実施、県とも協力して駆除を進める考え。

「学校給食のアレルギー対応」
就学時、進学時、転入時等には保護者からの情報(医師の診断書付き)を基に、教育委員会・学校・保護者とで面談を行う中でアレルギー原因食物の種類や症状等を確認、子ども本人による食材の除去や給食センターの除去食提供、弁当持参、の中から個々に応じた対応を取っている。センター提供の除去食は、卵・そば・落花生・エビ・カニ・乳製品・桃の主要7品目を除いた給食である。

「子ども家庭センターの活動」
子ども家庭センターにはセンター長兼統括支援員1人、子ども家庭支援員として、社会福祉士1人、保健師1人、家庭相談員1人を配置、母子保健の相談等を担当する保健師6名が兼務で加わる。現在、児童虐待相談として対応中の要保護児童は183件、うち新規案件は23件。児童福祉と母子保健の各担当職員が月2回対象者に関わる情報の共有を行うと共に、児童福祉担当は市内小中学校を訪問、校長や養護教諭等と直接面接、対象者の現況を確認している。また、連絡が取りにくい、安否が気遣われる、などの世帯には、随時家庭訪問を行い実情の把握に努めている。

「児童館設置が期待される」
児童福祉法では18歳未満の子どもを対象とする居場所として児童館を明記、集会室・遊戯室・図書室の設置を規定し、ガイドラインには、遊びによる子どもの育成、子どもの居場所や意見を述べる場の提供、子育て支援、配慮を必要とする子どもの対応などが示されている。市内では3施設が児童館とされるが、十分に機能を果たせていない。新設、既存施設の改良による設置が期待される。

「高齢者の活動支援」
高齢者の趣味活動を通じた教養の向上、仲間や生きがい作りを目的に、グループ活動への補助金が交付され趣味の教室が開かれている。内容は、短歌、川柳、華道、絵手紙やカラオケなどで、かつて活動の拠点であった塩寿荘が閉館となった後も、場所を市民文化会館に移すなど、それぞれ活動を継続している。老人クラブの部会や介護予防の取り組みなど、対象者が重なったり、目的が似通っていたり、一緒に活動した方が効率的で効果的であったりするものがあり、連携や統合へ精査が必要。

「マイナカード・マイナ保険証利用の現状」
7月現在の市内マイナカード保有率は76.2%。また、マイナ保険証は国保加入者の65.6%が利用登録しているが、利用率は約11%に留まっている。今議会では、これまで法定だったマイナカードと各種情報の連携が省令で規定可能と改定され、国会の議決を経ずに利活用範囲が広がることが示された。利便性とセキュリティーの信頼が得られればマイナカードの利活用は進むと思われる。

「帯状疱疹ワクチン定期接種の方向か」
国の予防接種基本方針部会では、帯状疱疹ワクチンを定期接種化する方向で異論はなく、接種目的や対象年齢、使用するワクチン等について継続的に検討とされた。市では定期接種化決定に備え準備を進める。

「防災・危機管理部署への女性職員の配置」
今年度の女性職員の配置はなかった。理由として災害時だけでなく気象状況によっては昼夜を問わず対応が必要となることや、職員数が限られ配置する余裕がないことを市では挙げている。平時や災害時の対応において、女性の視点は重要との認識はあり、来年度は増員、女性職員の配置に向け調整していく考え。

「大和地域でのヘリポート整備は可能か」
以前に天目地域での新設を検討したが土砂災害の危険性が高いことから難しいとの結論が出ていた。現状では適地が見つかっていないが、大和小学校校庭で常時使用が可能となる散水設備の整備や、旧大和中校庭の一部にコンクリート打設し常設など、可能性を含め検討していく市の考え。

「西関東連絡道路岩出ランプからのアクセス道路」
山梨県知事へ整備事業の要望書を提出。市長によれば10月の県議会で県知事が方向性を示すとのこと。

「行政区における募金などの集金活動について」
共同募金や日赤社費、社会福祉協議会費などは、本来支払いは個人の自由意思に基づくもので行政区の集金活動の対象とするには無理があるとの指摘あり。最小限の必要な経費を負担し合い、地域コミュニティを活発にしていくことが先決との考えから。

「大日影トンネル遊歩道の利用現況」
4月から8月が合計2万7430人、月平均5500人の利用。午前9時から午後4時までの通行時間、門扉の開閉と周辺清掃、トンネル内の点検を委託して管理している。当面は宣伝に注力し知名度アップに努める考えで、新たな活用策は現在企画されていない。

「旧大和中学校跡地の利活用」
大和地域代表23人の再利用検討協議会で4月から8回の会議を重ねている。以前組織された利活用検討委員会から「マルシェ・カフェの営業」「セミナー・体験講座等の実施」「キャンプ場や宿泊施設の経営」が提案され、協議会はこれを検討内容としているが、施設の全体活用という課題はクリアできていない。いくつか民間事業者からの提案もあるので、協議会でこれらも聞き終えたところで方向性を出す予定。

「塩山中と塩山北中の統合」
既に11回の統合準備委員会を重ね、決定された事項や検討している事項が別表に示した通り、概ね明らかになった。制服については、男女兼用のブレザータイプを採り、快適性や多様性に配慮したものを導入していく考えで、校則については、生徒の意向も踏まえ改めていく考えでアンケートなどの調査を経て考えをまとめているところ。

「太陽光発電施設の設置」
令和3年に太陽光発電施設の適正な設置及び維持管理に関する条例が山梨県で制定され、市でもこの条例に沿って運用している。具体的には、野立てパネル新設については県への申請か届出(エリアで異なる)を義務付け、既設のものは現況の届出、変更や事故があった場合(20%以上の損傷)も届出が必要としている。森林の伐採を伴う場所や土砂災害の恐れがある場所は許可が必要である。

「鈴宮寮の民間譲渡に向け」
令和8年度の民間譲渡に向け、施設の状況調査や修繕計画立案、不動産・動産の鑑定、事業継承への提案などの業務を委託する事業者、トーマツを選定した。現場では修繕を進め、今年度は食堂エアコンの修繕、電話機取替を実施中。

「更生保護サポートセンターの運用改善」
年末年始を除く毎日午前8時半から午後10時まで開く形とし、時間内は自由に保護観察者の面談などに使用できるよう改め、保護司会や市福祉総合支援課で施錠管理をする。今年5月に滋賀県で起きた保護観察者による保護司の殺害容疑事件を受けての措置。

「大和自然学校の現状」
市公共施設活用検討委員会を開催し、民間譲渡や市の活用、解体など協議を行ったが、それぞれのケースで国への返還金が不明確だったので再度調査し協議を続けることとした。現状は定期的な施設の確認と、草刈を委託で行っている。

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