YAMAHA MG10XUを使ったハイブリッド配信を考える【前編】
今回のテーマはヤマハのアナログミキサー「MG10XU」です。
以前からハイブリッド配信のミキサーとして使えるのか、また初心者にオススメできるものなのか興味がありました。
今回は実際にレンタルをしてみて、検証した結果をご紹介したいと思います。
結論としては、ハイブリッド配信に使うことはできるのですが、理想的な機材ではないことが分かりました。
ミキサーにはアナログとデジタルがある
そもそもミキサーには「デジタル」と「アナログ」の2種類があります。
デジタルミキサーの特徴は「コンパク&多機能」です。デジタル処理をする分だけ様々な機能を搭載しており、本体のボタンもモードによって複数の役割果たすことがあります。
例えば、比較的コンパクトで配信でよく見る機材だと「Zoom L-8」や「Behringer Flow8」などがこれに当たります。
アナログミキサーの特徴は、「デカい&シンプル」です。基本的には本体のツマミやボタンで操作し、そこに割り当てられている機能は一つなことが多いはずです。
今回YAMAHA MGシリーズは、こちらのアナログミキサーに当たります。
アナログミキサーの方が大きい・機能が少ないのですが、逆に言えばシンプルで分かりやすいとも言えます。
デジタルミキサーは慣れれば便利ですが、機能が豊富で階層構造になっており、中々慣れるまでに時間がかかります。初心者の最初の一歩としては、アナログミキサーは分かりやすいと思います。
YAMAHA MGシリーズとは
そもそもヤマハは大きく4種類のアナログミキサーを販売しています。MGシリーズは標準モデルにあたり、幅広い規模や用途に対応することが可能です。
MGシリーズと言えば、私の中ではその目を引く青色の筐体が印象的です。配信現場やWebの記事でも見覚えのある方も多いのでは無いでしょうか。
個人的な印象としては、小規模な配信現場のアナログミキサーと言えば、ヤマハのMGシリーズかBehringerを見ることが多い印象でした。
ラインナップを軽く整理すると、MGシリーズにも大きく3種類あります。スタンダードモデルに加え、エフェクター(SPX)機能搭載の「Xモデル」、更にUSBオーディオIF機能搭載の「XU」モデルといった形です。
あとはレベル調整がフェーダーかツマミの2種類があります。フェーダーの方が直感的にチャンネルごとの音量差が分かるメリットがありますね。
ただ、フェーダーの方が筐体は縦長になり、入力数が増えると横幅が増していきます。その点では、比較的小さいMG10XUでハイブリット配信ができるかは、とても興味がある点でした。
ハイブリット配信に必要な要件
ハイブリット配信をする上で、ミキサーに必要となるのは「マイナスワン」ができるかどうかです。シンプルに言えば「複数種類の音声が作れるか」になります。
なぜなら、配信するまたは会場スピーカーに流す音声と、オンライン出演者に返す音声は異なるからです。オンライン出演者には、その音声を除いた(マイナスした)音声を送らないといけません。
更に、配信と会場スピーカーの音量は異なるバランスでの調整が望ましいです。会場に最適な音量でも配信では小さい、といったケースがよくあります。理想としては入力音声ごとに分けて調整できるとベストです。
そのため可能なら3系統、少なくとも2系統の音声を作れることが必要となります。
結論:ハイブリットはできるが、理想ではない
以上の前提のもとで、MG10XUを使ったハイブリット配信を考えていきたいと思います。
先に結論を書くと、MG10XUでハイブリット配信の構成はできました。ただし、理想的な構成ではないという結論になりました。
その大きな理由はMONITOR OUTとPHONESの音量を同じツマミで調整することがあります。
↑はMG10XUでハイブリット配信する場合の、音声の流れを整理した図です。色々と書いてはいますが、肝心なのは右上の点線四角の部分です。
ここで会場スピーカーとヘッドフォンに出力する音声調整が、一つのツマミで兼用になってしまっています。これだと会場スピーカーには丁度良くとも、ヘッドフォンで確認するには大き・小さ過ぎる場合があります。
ヘッドフォンまたは会場スピーカー側で調整ができれば問題なく運用ができます。ただ、そういった外部要因に依存してしまうため、単体で考えるとベストな機材ではないと言う結論に達しました。
細かな解説は後編で
以上、MG10XUを使ったハイブリッド配信を考える、前編をお送りしました。
ちょっと前振りが長くなってしまいましたが、初心者の方に向けて前提となる情報を多めにまとめてみました。
後編では、より細かな機能や操作感、またなぜ図に表した音声の流れになるのかなどを解説していきたいと思います。
どうぞご期待くださいませ。