ラウドネスの検証:基準を越えた動画をYouTubeにアップしてみる
前々から気になっていたYouTubeのラウドネスのお話。実際に検証をしたお話をしたいと思います。
まずはYouTubeのラウドネス基準値が-14LUFSである、という件の検証です。実際に基準を超える音量の動画をアップするとどうなるのか試してみました。
既に多くの方の検証記事が公開されていますが、実際に自分で試してみることも大事。今回はそんな一部始終をご紹介します。
そもそもラウドネスとは
ラウドネスはその動画全体の平均として算出される、音の平均値の基準です。この基準に合わせることで、動画によって音量の差がバラバラになることを防ぐことができます。
例えば、配信の音が小さすぎると、アーカイブを見る人がCMになった時の音量差で驚いてクレームコメントが付く、なんてことはあるあるなお話です。また、逆に音が大きすぎると、YouTubeが音量を下げる処理を行ったりもします。
ということで、私たち配信者もこのラウドネスを意識することは大事なことなんですね。と、言いつつ私もまだまだ勉強中なので、詳細はぜひググってみてください。個人的には↓の記事が分かりやすかったです。
YouTubeの基準は-14LUFS?
このラウドネス値ですが、メディアによって基準は異なります。例えばテレビは-24LUFSですが、Netflixは-27LUFSだそうです。調べてみるとメディアごとにてんでバラバラです。
ではYouTubeはいくつなのか。おそらく-14LUFSだと言われています。「おそらく」と書いたのは、YouTubeが基準を公開していないからです。ですが、検証をするとそのような結果が見えてきます。
実はYouTubeに音が大き過ぎる動画をアップロードすると、自動的に音量が下げられてしまいます。この閾値が、検証してみると「-14LUFS」なんですね。なので、YouTubeの基準は-14LUFSだと噂されています。
この辺りのお話は「YouTube ラウドネス」で検索すると色々な記事が出てきます。興味がある方は、ぜひ検索してみてください。既にそれらの記事で検証はされていますが、自分で試してみるのも大事。今回は本当に音量が自動的に下がるのかを検証してみます。
動画ファイルを作成する
では、まず-14LUFSの動画ファイルを作成してみます。
具体的には、サンプルの音声ファイルを使い、動画編集ソフト上で、ラウドネス値を-14LUFSに調整します。今回はこちらのサイトにあったリファレンス音源を使いました。
ラウドネスの調整は「iZotope RX8」という音声編集プラグインを使っています。このプラグインにはラウドネス調整の機能があり、設定をすると自動で調整をしてくれます。自動処理なので最終的に聞きやすい音かは別な印象ですが、今回の検証では非常に便利でした。
iZotope RX8のラウドネス調整画面
念の為、動画編集ソフトでもラウドネス値を計算してみました。今回は私が普段編集に使っている「Davinci Resolve」で計測します。
その結果、「-14.1LUFS」のラウドネス値が算出されました。0.1の差は気になりますが、ひとまず音が小さい方(基準の範囲)なので良しとします。
動画編集ソフトでラウドネス値を計測した結果
YouTubeにアップする
では実際にYouTubeにアップしましょう。↑の方法で、同じく-13LUFSの動画を作り、それぞれを比較してみたいと思います。
YouTubeの再生画面では、右クリックをすると「詳細統計情報」という項目があります。これを表示すると、実は様々な情報が表示されるんですね。この中にあるのが「Volume / Normalized」の項目です。
もしYouTubeに音量を下げられている場合、ここにそのパーセンテージが表示されます。では、それぞれの動画の情報を見てみましょう。
-14LUFSの動画
-13LUFSの動画
-14LUFSと-13LUFSの動画を比較してみました。すると、-13LUFSの方はボリュームが89%に下げられているのが分かります。これは「基準を超えているじゃないか!」とYouTubeに怒られて、自動的に音量を下げる処理が加わっている状況なんですね。
また、パーセンテージの横には基準をどれだけ超えているのかも表示されています。-14LUFSはピッタリ0(ゼロ)ですが、-13LUFSの方は+1dbになっていますね。ここからも-14LUFSがYouTubeの自動処理の基準になっていることは間違いないようです。
個人的には調整が入らない小さい方がまずいとは思っています。先にも書いた通り、CMや他の動画との音量差が生まれて、アーカイブ視聴者の視聴体験が下がってしまうからです。
とはいえ、↑のように音量を下げられると、本来期待した音と変わったと感じる場合もあると思います。また、そもそも音が大きすぎる状況かもしれませんので、見直す基準として考えられると思います。
より具体的な配信でのラウドネス管理については、先日あけさんが振り返りで語ってくれたり、伊藤さんがオフ会で基準動画を使った運用を紹介してくださいました。ぜひこちらもご覧いただければと思います^^