初心者向け:ライブ配信における「逃げのカメラ」という考え方
今回のテーマはライブ配信でのカメラ映像の切り替えについてです。
ライブ配信中、カメラの調整をしたくなるシーンがあります。そんな時は別のカメラに切り替えて、調整の様子が本番に映らないようにします。
そんな基本的な運用である「逃げのカメラ」ですが、実際にやってみるとメンバーの連携など難しい点もあります。
今回は初心者の方に向けて、そんなお話をしたいと思います。
スイッチングはどう行う?
ライブ配信と言えば、複数のカメラを切り替えながら、色々な角度の映像を映していきたいですよね。いわゆるスイッチングは、配信の醍醐味の一つだと思います。
では、そのカメラ映像の切り替えはどのように行なっていくものなのでしょうか?
もちろん機材を使って切り替えるのですが、運用面で大事な考え方があります。それは「逃げのカメラ」という考え方です。
「逃げのカメラ」とは
「逃げのカメラ」とは、配信中にカメラの画角などを調整する際、画面を切り替えておくカメラのことです。
どのカメラも常に固定の画角なら問題ないのですが、そうではない配信の方が多いでしょう。
その際に画角調整中の映像を流してしまうと、見栄えが良くありません。そのため、一度別のカメラに逃げておき、その間に調整を行うのです。
カメラは2台以上がオススメ
そのため、必然的にライブ配信のカメラは2台以上がオススメになります。
これは逃げのカメラ以外にも、万が一カメラにトラブルがあった際の予備にもなりますね。たとえ1台で十分な配信でも、やはり予備があるに越したことはありません。
実際に配信現場では色々なカメラのトラブルが起きます。バッテリー切れ、熱暴走、故障…etc。もう一台カメラがあると安心です。
カメラマンとの連携も必要
もう一台カメラを用意すれば安心かと言うと、話はそう簡単ではありません。もしカメラを操作する担当者を置く場合は、彼らとの連携も重要になってきます。
何もしなければ、カメラ担当者は自分の映像が本番に映っているかが分かりません。これでは画角を調整したくても、カメラマンもいつ調整を始めて良いのか判断ができません。
連携せずに調整を始めてしまうと、実は本番に映っていて、画面が大きく揺れる映像になってしまった…なんて事になってしまいます。
カメラマンとどう連携するか
では、カメラマンとはどのように連携をしていけば良いのでしょうか。
いくつかの方法を紹介します。
映像を送る
以前サポートした現場では、カメラマンの手元にモニターを設置し、スイッチャーの本番映像を送って連携していました。
非常に有効な方法ですが、一方でケーブル配線など映像を送る手間が大きいのはデメリットです。
タリーランプを使う
「タリーランプ」という便利な機材もあります。これはスイッチャーと連携して、今本番に映っているカメラのランプを点灯させるというもの。
例えばCerevo社が販売している「FlexTally」は、ワイヤレスで接続できるなど比較的手軽に導入ができるかもしれません。
私はタリーランプを使った経験はないので、経験者がいれば是非感想を教えてください!
コミュニケーションする
例えばトランシーバーなどで、直接コミュニケーションする方法もあります。直接会話ができるメリットがある一方、実際に使うと連携の難しさや、バッテリー管理などの煩雑さもあると聞きます。
最低限はLINEなどのチャットツールは用意した方が良いでしょう。ただ、チャットツールの難点は即座に伝わらないことがある点です。
カメラ操作中は見れなかったり、通知に気がつかないこともあります。それを念頭においてコミュニケーションをとる必要があります。
指示系統も大事
連携の手段も大事ですが、その運用も重要です。カメラマンも増えてくると、指示系統も決めておく必要があります。
難しい話ではなく、各自が意見を言い出すと収集がつかなくなるときうことです。そのため、誰が指示を出して統括するかは、事前に決めておく必要があります。
多くの場合は、映像をスイッチングする配信卓側の人間が適任なのではないかと思います。他の映像を見ながら、俯瞰的に指示を出せるからです。
この時、入力した映像を並べて確認ができる「マルチビュー」があると、連携もよりしやすくなります。ATEM miniだと「Pro」以上のモデルに搭載されている機能ですね。
ビデオ雲台がオススメ
もう一点盲点になりやすいのが「雲台」です。「ビデオ雲台」の使用をオススメします。
雲台とは三脚の上につける、カメラの向きや傾きを調整するためのツールです。さまざまな雲台が存在しますが、配信ではビデオ雲台が活躍します。
ビデオ雲台は、上下左右に滑らかな調整ができる雲台です。ただ動かすだけでなく、油圧などの抵抗でゆっくりとカメラの向きを変えることができます。
写真用雲台のデメリット
写真用の雲台は色々な種類がありますが、自由雲台という広い角度で調整できるタイプが使われることが多いです。
自由雲台は画角調整の幅が広い一方、カメラがあちこち向いてしまいます。また、ゆっくりと動かすための抵抗もなく、画角調整中はガクガクした映像になりやすいです
やはり写真用のツールなので、実際に使ってみるとライブ配信では不便なことが多くあります。状況次第では活躍してくれるのですが、基本的にはビデオ雲台の方がオススメです。
運用を決めておくことが大事
以上、「逃げのカメラ」についてのご紹介でした。
色々と書いては来ましたが、これらはあくまで手段のお話です。カメラマンとのコミュニケーションツールも、決して必須なものという訳ではありません。
一番大事なのは「運用を決めておくこと」だと思います。事前に練習やリハーサルを行い、ネックになるポイントを想定した上で、チームでの運用が決まっていることが重要です。
これがぶっつけ本番になると、メンバー一同が慌てふためく事になり、良くない配信となってしまいます。実は先日、そのような初心者の配信を見た経験から、この記事を書くに至りました。
ぜひこの記事が、これから配信を行う方の参考になればと思います。
皆さんのコメント大募集です!
この記事はあくまで私の数少ない経験から捻り出した情報となります。そのため、今回のテーマに対して、色々なことを感じる方がいるのではと思います。
ぜひ経験者の方はそんな声をお寄せください。また、初心者の方の疑問や感想なども大募集です^^