輸入柑橘類に使われる防カビ剤には相当な用心が必要です
輸入レモンやオレンジ、グレープフルーツに使われる危険な添加物(防カビ剤)に関する話です。
どのような種類があって、どのような有害性が疑われていて、どうして使用が認められているのか、そして対策について解説します。
(記事の文末に動画を貼っています)
輸入柑橘類は遥か遠い国から
先日、近くのスーパーで国産レモンを見つけました。
店頭に並ぶのは5月くらいまでだと思うので、今回の話題を早急にお伝えしたくて、急いでこの記事を書きました。
結論を言うと、輸入品の柑橘類はあまり薦められないということです。
輸入柑橘類は、アメリカやイスラエル、オーストラリア、チリ南アフリカなど、遥か遠い国から数週間かけて船で運ばれます。
そのため、日本に到着した時に、カビが生えたり腐ったりしないように、農産物には防カビ剤が使われます。
代表的な防カビ剤
おもな防カビ剤は、
OPP(オルトフェニルフェノール)、
ナトリウムをくっつけたOPP-Na、
TBZ(チアベンダゾール)、
イマザリル、
この4つです。
実際の表示を確認してみましょう。同じく近くのスーパーです
上の写真は、イスラエル産のグレープフルーツです。
拡大してみると・・・
字が小さくて申し訳ありませんが「防ばい剤としてOPP、TBZ、イマザリル(ピリメタニル)を使用しています」と表記されています。
防ばい剤は防カビ剤と同じものです。
次は、カリフォルニア産のオレンジです。
こちらには、全部でナント6種類もの防カビ剤が使われていて、その中にはイマザリルとTBZがしっかり入っています。
これらの防カビ剤を初めて聞いたという方は、今度スーパーの売場で確認してみてください。
安全ではないのに認可?
これらの防カビ剤について、国(厚生労働省)は安全だとは一度も言っていません。
けれども、使用することは認めています。
だから大問題なんです。
これらの防カビ剤は、そもそも農薬です。
昆虫や細菌を殺したり、雑草を枯らすなど毒性の強い化学物質です。
そのため、OPPとTBZについては、農薬としては認めていましたが、収穫後の作物に使う添加物としては、イマザリルを含めて全て、国は認めていませんでした。
東京都立衛生研究所(現・東京都健康安全研究センター)という公的機関が過去に行った動物実験の結果は、次の通りです。
ラットにOPPを含むエサを1年9か月与え続けた所、83%の割合で膀胱ガンが発生しました。
次はTBZです。マウスにTBZを毎日経口投与(期間は分からず)した所、催奇形性(外表奇形と骨格異常)が認められました。
イマザリルも同様です。マウスにイマザリルを投与した実験では、神経行動毒性と繁殖および行動発達の抑制が見られました。
つまり、神経や脳に影響するということです。
この結果から、国もかつては、添加物としての防カビ剤使用を認めていませんでした。
それが、「ある時」に手の平を返してしまいます。
安全かどうかは二の次
1995年4月のことです。
アメリカから運ばれて日本に到着した柑橘類の検査を、当時の農林省が行った所、グレープフルーツからOPPが検出されました。
当時は認可されてなく、つまり食品衛生法に違反していたために、陸揚げすることができず、それらは海に廃棄されました。
これに対してアメリカが猛反発、怒りの声が湧き上がりました。
アメリカ政府は、当時の大統領や農務長官を含めて、OPPの使用を認めるように、日本政府に圧力をかけてきました。
その背景として、当時、日米貿易摩擦という問題がありました。
日本から品質がよく壊れにくい自動車や電化製品が大量に輸出された結果、貿易収支のアンバランスが生じてしまいました。
そのため、アメリカは是が非でもグレープフルーツやオレンジを日本に輸出したかったワケです。
最終的にこの問題は高度な政治判断、政治決着に委ねられました。
消費者はたまらないですね。
自分の健康は自分で守る
結局、1997年4月にOPPの使用が認められ、その際にOPPにNaを結合させたOPP-Naも認可されました。
しかし、安全性が確認されての認可ではないことを改めて伝えておきます。
その翌年、1987年、ほぼ同じような経緯でTBZも防カビ剤として認められました。
OPPだけではダメなのか、という疑問もあると思いますが、OPPとTBZを併用すると、防カビ効果が一段と高まるからです。
残るイマザリルは1992年に認可されました。
いずれの件も、日本の消費者よりも、アメリカ政府や業者の利益を優先させていることは明白です。
自分の健康は自分で勉強して自分で守るしかない世の中に、もう30年以上前からなっているということです。
果肉にも届いているのか
ここで皆さんが気になっているのは、有害な防カビ剤が果皮を通過して果肉まで届いているのか、ということだと思います。
こちらのグラフをご覧ください。
東京都衛生研究所のデータです。
OPPのデータはありませんがTBZとイマザリル、その他2つの防カビ剤の果肉、皮、全体の残留値を表したものです。
グレープフルーツとオレンジが分かりやすいかと思います。
グレープフルーツの果肉の残留値は皮の約20分の1、オレンジの果肉は皮の約10分の1程度です。
これを見て、わずかなので大丈夫だと考えるか、わずかだけど残留しているのでダメだと考えるか、これは皆さんの判断にお任せします。
それでも、念のために、妊婦さんは食べない方がいいと思います。
さらに、体重がまだ少ない幼児、小学生低学年くらいまでは食べさせない方がいいのではないかと、私は考えます。
皮を食べる人はほぼいないと思いますが、マーマレードにしたり、オレンジピールとか、ハチミツ漬けにするのは、考え直した方がいいと思います。
防カビ剤対策
①食べない。買わない。
シンプルisベストです。
②国産商品を購入する。
国産のレモン、オレンジ、グレープフルーツにはOPP、TBZ、イマザリルなどの防カビ剤は使われていません。
使う必要がないからです。
デメリットとしては、価格がやや高いことと、数と時期が限られることです。
国産レモン(広島、愛媛)の旬は10〜3月、オレンジ(和歌山)は1〜3月、グレープフルーツ(和歌山)は4〜5月が旬です。
レモンは旬の時期はスーパーでも見かけることがありますが、オレンジとグレープフルーツは一部のスーパーを除き、通販がメインかもしれません。
③塩もみ、または茹でる。
次のようなデータがあります。
塩もみ、または茹でた場合のTBZ、イマザリルの除去率です。
ただ、このグラフでは果肉の防カビ剤まで除去されているのかが分かりません。なので、どうしても皮を使いたいケースには、この方法を使うのも一つかと思います。
まとめ
輸入柑橘類は遠い国から数週間かけて運ばれるため、カビが生えたり腐ったりしないように、防カビ剤が使われます。
おもな防カビ剤は、
OPP(オルトフェニルフェノール)、
OPP-Na、
TBZ(チアベンダゾール)、
イマザリル、
この4つです。
これらの防カビ剤はそもそも農薬で、毒性の強い物質のため、添加物として国は認めていませんでした。
ところが、アメリカ政府からの圧力により、日本は政治判断でいずれの防カビ剤も認可してしまいました。
気になる果肉の残留値は、皮の約20分の1から10分の1程度と見てよさそうです。
これを大丈夫だと考えるか、ダメだと考えるか、これはそれぞれの判断です。
皮を利用するのは、あまり薦められません。
対策は
①食べない。買わない。
②国産商品を購入する。
③塩もみ、または茹でる。
以上の3つが挙げられます。
この記事の内容については動画もアップしています。合わせてご覧ください。
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