高温加熱の恐怖 ヒドロキシノネナールとアクリルアミド
ある種の食材や油を高温加熱すると、
ヒドロキシノネナールあるいは
アクリルアミドという有害物質が発生します。
ヒドロキシノネナールとアクリルアミドは神経毒や発がん性のリスクがあり、出来る限り体に入れたくない物質です。
今回は、どういう食材や油からヒドロキシノネナールとアクリルアミドが発生するのか。
そして、その有害性について解説します。
ヒドロキシノネナールとアクリルアミドは全く別の物質ですが、一つの記事にまとめたのには理由があります。
後半でそれが理解できますので、ぜひ最後までお読みください。
(記事の文末に動画を添付しています)
ヒドロキシノネナールには神経毒のリスクが
ヒドロキシノネナールは、リノール酸に分類される油を高温加熱した時に発生する有害物質です。
リノール酸は、菜種油、コーン油、大豆油、綿実油、ひまわり油、それらのいくつかをブレンドしたサラダ油などを指します。
多くの家庭で食用油として使われている油です。
リノール酸は、家庭向け食用油以外にも、外食やテイクアウト、あらゆる加工食品に使用されています。
上の記事で、リノール酸を加熱すると酸化して過酸化脂質が発生することを説明しました。
ヒドロキシノネナールは、過酸化脂質がさらに分解されたもので、過酸化脂質より大きな危険性を孕んでいます。
その理由は、
①過酸化脂質よりもヒドロキシノネナールの方が、腸管から吸収されやすいこと
②過酸化脂質よりもヒドロキシノネナールの方が、毒性が強いこと
この2点です。
ヒドロキシノネナールは、タンパク質(体の材料)やDNA(遺伝子情報)、ミトコンドリア(エネルギーの工場)を傷つけます。
このことは、生体にとって致命的な損傷です。
さらに、ヒドロキシノネナールは神経毒を持っています。
とくに脳内で拡散しやすく、脳の細胞膜(材料はおもに脂質)にダメージを与えてアルツハイマー病のリスク要因になる、とも言われています。
油の使い回しがヒドロキシノネナールを生む
ヒドロキシノネナールは、185度の加熱だと約30分で、200度の加熱だと約5分で発生すると言われます。
ただ通常は、このレベルでの高温加熱調理はないと思います。
その点ではほとんど心配ありませんが、もう一つ、ヒドロキシノネナールの発生要因があります。
加熱した油をもう1回再加熱すると発生します。
「使い回しが危ない」ということです。
自宅で揚げ物調理をした時には、極力1回切りにして、オイルポットに保管しないでください。
「もったいない」と思うのであれば、油を最少にして揚げる「揚げ焼」がお薦めです。
問題は外食です。
外食やテイクアウトの揚げ油は、ほぼ100%使い回しです。
とくに昨今、食用油が高騰しています。
となると、使い回しの回数も増えているのではないかと推測します。
それもあって、外食やテイクアウトの揚げ物には、とくに注意を要します。
アクリルアミドは焼いても炒めても発生する
アクリルアミドは、アミノ酸と糖分の化学反応により生成されます。
分かりやすく言うと、米や小麦、芋、とうもろこしに含まれるデンプンを高温加熱した時に発生する有害物質です。
なかでも、ジャガイモはアクリルアミドが発生しやすい食材です。
アクリルアミドは、ヒドロキシノネナールの発生温度よりもかなり低い120度以上の高温加熱でできやすくなります。
ですから、揚げ物だけではなく、炒め物、オーブン、グリル、焙煎などの加熱調理によってもアクリルアミドは発生します。
アクリルアミドには発がん性のリスクが
アクリルアミドは細胞の遺伝子(DNA)を傷つけることから、発がん性が疑われています。
農林水産省のHPを閲覧すると、
という表記を見つけることができます。
また、2016年4月の食品安全委員会の発表では、
「日本人が食品からアクリルアミドを摂取した場合、発がん性以外のリスクは低い」
という内容ですので、やはり減らす努力は必要だと考えます。
アクリルアミドの含有量が多い食品ワースト7はこちらです。
予想通り、先ほどのジャガイモが1位と2位です。
この2つが多いのは、原材料がジャガイモであることに加えて、表面積が広いことも関係しています。
この表の7つ以外にもアクリルアミドが含まれる食品は数多くありますが、まずはこの7つを減らすことから始めて下さい。
1位と2位に輝いたポテトチップとフライドポテトは・・・
この2つはアクリルアミドのみならず、油の高温加熱と使い回しによるヒドロキシノネナールも含まれていることを忘れてはいけません。
ヒドロキシノネナールとアクリルアミドを一つの記事にまとめたのは、これが理由でした。
とにもかくにも、ポテトチップとフライドポテトを減らす、できれば食べないことが重要です。
ヒドロキシノネナールとアクリルアミド。減らせるところから減らしてください。
まとめ
ヒドロキシノネナールは、リノール酸の油を高温加熱した時に発生する有害物質です。
ヒドロキシノネナールは、タンパク質やDNA、ミトコンドリアを傷つけたり、その神経毒で脳にダメージを与えます。
ヒドロキシノネナールは、185度で約30分、200度で約5分の加熱で発生します。
それ以外に、加熱した油をもう1回再加熱すると発生します。
「使い回し」の油には要注意です。
アクリルアミドは、デンプンを高温加熱した時に発生する有害物質です。
なかでも、ジャガイモはアクリルアミドが発生しやすい食材です。
アクリルアミドは120度以上の加熱で発生しやすく、細胞の遺伝子(DNA)を傷つけることから、発がん性が疑われています。
アクリルアミドの含有量が多い食品の1位と2位であるポテトチップとフライドポテトには、ヒドロキシノネナールも含まれています。
まずはポテトチップとフライドポテトを減らす、できれば食べないことが重要です。
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