第九話 始祖
「新鮮というよりかは、久しぶり」
率直な感想はまずこれだった。
何を隠そう選んだ土地は福知山、父方の両親の実家があり年に数回は訪れる場所でもあった。
まさか自分がここで一人暮らしをするとは当時の自分は夢にも思わなかっただろう。
ダイエットに専念する。
こう決めた瞬間から福知山に一人暮らしをしよう。
これは直感というか啓示というか一切の迷いは無かった。
鬼滅の刃からインスピレーションをもらったのも大きかったが、それ以上に運命に導かれたような感が拭えない。
それは私に流れる血、祖父との絆によるものだと思う。
私が高校2年の時に永遠の別れとなった祖父。
最期にもらった言葉は
「信じる道を突き進めば良い」だった。
生徒会選挙を目前にしていた自分は選挙で勝利し会長になるか、空いてるポストの副会長になるかで悩んでいた。
この言葉で私は選挙での闘いを決意、結果として21代目生徒会長の座を手にした。
自分を知る者はいない(父親の兄夫婦と祖母は福知山住まい)。
何のしがらみもなく、自分が思い描く計画を遂行出来る。
そして何より適度な田舎(福知山住まいの方はすみません)。
これ以上、条件が整った場所はない。
明智光秀が築いた福知山城を有する福知山。
三日天下にならんようにしよう!
決意を胸に人生初の一人暮らしが始まった。
次回「散策(さんさく)」
〜歩いて歩いて歩くのみ〜