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第二十四話 訣別
「思い出の中で、じっとしていてくれ」
思いのほか、感動しなかった。
多分、達成することに何ら疑いを持たなかったからだと思う。
それほどまでに、私は自分を信じ続けた。
運命をこの手で変えると誓ったあの日から。
ダイエットを始めてちょうど180日目。
目標に掲げた-50kg。
遂にそれを達成し、64.9kgに。
夢ではなく、現実のことなのだ。
今まで完遂出来ないことだらけだった私の人生。
初めて報われたような気がした。
思い返せば始まりは酷いもんだった。
親戚中から馬鹿にされ、マウントを取られる悔しさ。
反面、自分が世間的には間違っていると分かってるが故に反論出来ない。
昔の自分なら力を使って反抗していただろう。
しかし、私はそうしなかった。
むしろ、その悔しさを力に変えてやった。
言いたい奴には言わせておけば良い
今に見てろって熱くなれるから
私の好きなアニメのセリフであり、当時もその言葉がよぎり、自分を抑えることが出来たんだと思う。
今回、自ら社会のレールから外れたことで見えたことがある。
世間には間違っていること、正解つまるところ正論の2種類しかない。
でも本当は3つ目の自分の判断というものがある。
これは誰かにジャッジされるものではなく、ただひたすらに自分に正直かどうかというものだ。
人は必ずこの世を去る。
その去り際に後悔しない選択をし続けることが大切だと私は思う。
無論、人様に迷惑をかけるのは論外だ。
だが、その責任を自分で取り切れるのであれば、大いに挑む価値があるし、それこそが自分の人生を形作ると考える。
私は当初、過去の自分を完全に消し去るつもりでいた。
完膚なきまでに屠り、新たな自分を手に入れるその一心で。
しかし、本を読んで私は変わった。
今の自分があるのは過去の自分のおかげなんだと。
どうして過去を否定出来ようか。
むしろ過去の嫌な思い出や悔しかったあの気持ちが力となったのでは無かったのか。
無かったことにしてはいけない。
過去の全てが今の自分に繋がっているのだ。
こうして私は過去の弱い自分を認め、歩んでいくことを決意した。
第三幕 〜完〜
これで全てが上手くいくはずだった…
だが、私の生まれた星、天命は更なる試練を課すのであった。
次回 第四幕「破滅の物語」
〜崩壊へのカウントダウンが今始まる〜