法務にも役立つゲーム紹介
はじめに
法務界隈を見渡すに、Steam(PCゲームプラットフォーム)をインストールしている人はほとんどいないと思う。そのことに寂しさを覚える毎日である。
思うに、人生は有限であって、人には生活があり、法務なぞという真面目な世界に生きる人間に、ゲームのための時間は残されていない気がする。
あったとしても、ポケモン、モンハン、イカといった輩に占領されてしまっている気がする(無論筆者はこれらもプレイ済みである)。
今回は、もっと法務の皆様にもゲーム沼にはまってほしいという願望に基づき、法務にも(きっと)大変役立つゲームと称し、非常に素晴らしいが、(スプラトゥーンくらいしか知らない)一般人基準からすると馴染みのないゲームを紹介したい。
良質なゲームは、歴史上にある数多くのコンテンツの融合体でもあり、現実の模写でもあり、そして新たな世界観を垣間見ることができる。何かに行き詰まったら、下記に問わず、ぜひゲームをプレイしてほしい。
1.ELDEN RING(エルデンリング)
基本情報
ディベロッパーは、フロムソフトウェア
パブリッシャーは、フロムソフトウェア、バンダイダムコ
配信プラットフォームは、PlayStation®5 / PlayStation®4 / Xbox Series X|S / Xbox One / Steam
みんな大好きアクションRPGで、覚えゲー。多くの人は、このゲームのジャンルを「フロムゲー」と答える。
フロムゲーはとにかく難易度が高い。ただ、今作はファストトラベル機能が充実していたり、色々と手助けしてくれる機能が揃っているので、これまでのフロムゲーより遥かにユーザーフレンドリーであって、フロムゲー初心者でもとっつきやすい内容になっている(重ねるが、難易度は高い)。
美しいオープンワールドの世界
エルデンリングはオープンワールドゲームとなっている。
オープンワールドは、とてもいいものである。
ゲームというものは、敵を倒す、相手に勝利する等、設計者が用意した達成基準を攻略しようとしがちだが、そればかり追いかけていても面白くない。新鮮な目標はいいが、段々と飽きてきてしまう。
オープンワールドは、仮想空間に広い世界が存在してており、設計者も考えつかないような(もしくは裏をかいて実は用意をしていたりする)ところまで探索することができるので、いつしか敵を倒すことを忘れ、「この山登れるのかな……」とか、「この崖はジャンプで向こう岸にいけるのかな……」と、探索に夢中になってしまう。
山登りに飽きてきて、ふと視線を上げて見上げる美しい景色は圧巻である。
ぜひ一度体験してほしい。
理不尽な敵
そんなわけで、別にクリアしなくても差し支えないゲームだが、クリアを志す場合、敵を倒す必要がある。が、とにかく敵が理不尽な動きをすることが多い。
普通に攻撃時のエフェクトがでかく当たり判定を読みづらい、そして攻撃は追尾しまくってくる上(仕様上おそらく)こちらの入力を盗む敵もいて、こちらの入力に関係なく敵が動くモンハン等のゲームより、遥かにやり辛さを感じると思う。
しかし、安地は絶対あるし、必勝パターンは無限にあり、それを見つけるまでが楽しい。
名状し難きストーリー
オープンワールドとか、敵の理不尽さとか、そういった要素も好きだが、ストーリーも味わい深い。
オープニング開始早々、プレイヤーは「褪せ人」なる謎の存在として世界に放り出されてしまう。
が、自分がなぜそこにいるのか、そして何をすべきなのか、という点については、ほとんど語られない。
RPGでは、一般に人と話すことでストーリーが進むが、出会う人は、いずれも狂気を有していて、話しても大体が意味不明。真偽も不明。
そういうわけで、普通に敵を倒しているだけだとストーリーは全然わからないが、全エンディングをクリアをしたり、フレーバーテキストを読み返し、その他色々目を通すと、単に「なんじゃこりゃ」としか思えない各シーンも、ゲーム全体としてまとまった意味を持っていることがわかり、とても関心したものである。
法務にとって……
以上がこのゲームの紹介である。
法務としては、以下のことが学べるゲームだと思うので、ぜひプレイしてほしい(とって付けた補足)
2.RimWorld
基本情報
ディベロッパーは、Ludeon Studios
パブリッシャーは、Ludeon Studios
配信プラットフォームは、Steam
個人的には一番大好きなコロニー(箱庭)シミュレーションゲーム。RTS要素もある。
エルデンリングとは異なり、小規模ディベロッパーが開発したインディーゲームである。しかし、AAA級以上の奥深さがあり、3D、2.5Dでもなく、昔馴染みの2Dではあるが、全く飽きがこない。
ちなみに、自分は1000時間以上プレイやmod弄りをし、人生が崩壊していたので、将来二度と起動しないことを誓った。
生きること=マネジメント
このゲームの(デフォルトの)目標はシンプルで、「スペースシャトルで宇宙に出る」、である。というのも、最初の人(住民)は、宇宙船で難破をしていて、脱出ポッドで未知の惑星に不時着するという、スターオーシャン的な設定から始まるのだが、惑星の文明レベルが低いので、自分たちでスペースシャトルを作れるくらいの文明まで発展させ、資材を収集・運搬・加工し、生活等に必要な作業もしながら余力でスペースシャトルを作り、脱出する必要がある。
住民はある程度自律的に作業を行うが、プレイヤーは指示を出したり操作したりすることもできる。ただ、デフォルトの作業のプライオリティ設定は「その人が相対的に得意なこと」になっているので、住民は、ある意味、やりたい(できる)ことしかやってくれない。
例えば、初期住民の能力はランダムで決定されるので、例えば料理能力がみんな低いと、料理作業をしない。しかし、料理作業は生きるために必須なので、見込みがありそうな住民の料理作業のプライオリティを上げて、住民に労務を課す必要がある(そして、作業を熟していくうちに成長する)。
このように、生き残るためには、プレイヤーは各住民に作業のプライオリティの設定をしたりして、住民がいかに効率よく仕事をするかを検討し、マネジメントする必要がある。
人というものの表現
このゲームの恐ろしいところは、「人」の描き方である。
コロニーシミュレーションゲームは、ある特定のテリトリー内のコロニー(箱庭)内に住民を放り込み、そこでの活動を観察することを主眼とする。
そこで住民はプレイヤーの指示に従い、自動的に動き、生活をし、戦い、何かを行っていく。そのため、いかに住民を精巧に描くかが、そのゲームの面白さに直結してくる。
このゲームでは、名前から生い立ち、苦手な行動と行動スキル、才能・性格、健康状態、そして人間関係等がパラメーターになっている。また、持ち物・装備品によって、パラメーターも変動してくる。
すべてのパラメーターについて語りたいことはあるが、「健康」パラメーターは特筆するものだ。体全身についてパラメーターがあり、敵に攻撃されると、右手だけ出血状態になったりするし、左手だけ古傷が残ったりする。そして、出血は出血量が致死量に達する前に傷が塞がらなければ(=時間経過によって増加する治癒パラメーターが閾値に達しなければ)死んでしまうし、古傷があると、「痛み」に苦しんでいく。
そして、「痛み」に苦しむと、メンタルがやられていき、(個人毎に異なる閾値を超えると)メンタルブレイクを起こし、引きこもったり、裸になったり、他人や物を殴り始めたりするのだ。
また、敵から逃げて部屋にひきこもっていると、「キャビンフィーバー」となり、メンタルを病んでいき、メンタルブレイクを起こしていく。
他方、メンタルが強い性格の住民は全然ブレイクしないし、神経質な住民はちょっとケガしただけですぐにブレイクしてしまう。
ここまでリアルに人を描写するゲームも稀で、それがインタラクティブに複雑に絡み合う姿は、いつ見ても飽きないものである(メンタルブレイクを一人が起こして殴り合いが発生、殴られた相手は痛みでメンタルブレイクを起こし壁を破壊、その壁から敵が侵入し他の住民も……という連鎖もあり得る)。
自分が望む世界を知る
また、このゲームの最大の特色の一つは、無限のカスタマイズが可能であるという点である。
まず、これまで説明した内容は、ほぼ全て設定で変更が可能となる(開始人数、開始条件、難易度等)。また、ソフトウェア自体で設定できなくとも、modの適用によってすべて変更ができるし、新要素もmodによって追加することができる。こういうキャラを作りたい、こういう機能が欲しい、ちょっと強キャラ作ってみたい、新しい武器が欲しい、自分好みのストーリーを取り入れてみたい、、などなど。
海外ゲームには概ね存在するmodコミュニティだが、このRimworldは飛びぬけている。正直、公式コンテンツも十分面白いが、mod適用後はほぼ別ゲームになっており、時期を変えてプレイしても、新しいmodが出てきて、また別のゲームとして遊ぶことができる、恐ろしいゲームでもある。
こうした数多あるmod等を介して、自分が望む世界がどこにあるのか、ということの片りんを見ることができる。
法務にとって……
まだまだ全然語りつくせていないが、以上がこのゲームの紹介である。
法務としては、以下のことが学べるゲームだと思うので、ぜひプレイしてほしい(とって付けた補足)
おわりに
本当は、法務に役立ちそうで、しかし一般人には知られていないゲーム(Cyberpunk 2077、Project Hospital、Idol Manager、HoIシリーズ等)が山ほどあるが、上述のとおり、人生には時間がなく、仕事もしなければならないので、ここで紹介は終了したい。
リスク管理部門である法務は、いつも厳しい現実と向き合っている。
しかし、厳しい現実ばかり見ていたのでは頭が凝り固まってしまい、想定外の事態を想像する力や柔軟性が失われてしまう。
ゆえに、たまには羽を伸ばして、ゲーム(架空)の世界に飛び込んでみるのはいかがだろうか(という自分への言い訳)
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