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ネタばれミーティング10/02--高橋照美の「小人閑居」(43)

四 あの。
照 どうしたの。最近のペースには珍しく、五日あいた。あのくだり、僕けっこう気に入ってるよ。僕がバチンとやられるトコとあわせて、逡巡した?
四 うん。そうなんか、気に入っとったんか。いじらずに聞けばよかった。
照 お前、十六歳の女の子の気持ちのゆれ、書くのうまいね! 読んでてきゅっと来るよあれ。
僕についてはさあ、「~というわけにはいかない。」とつけ加えることによって、「自分が本当はこうだったらいいなあ」ってことを全部白状する愛の告白なんて、いかしてるじゃん。しかも親友を裏切りかけた「キスの練習」に凝りて、がちっと食い止めてるところが案外男らしいというか。

なんか僕らしくて好きだな。あのね、他人には「そういうのは、発火点から可燃物を離しゃいいんだよー」とか言って距離を取らせるんだよね、こういう奈々ちゃんと四郎の恋の相談係みたいなケースとかパワハラまがいのケースとか、他人には離れろ離れろっていうの。ぜったい持ちこたえられないからって。
そのくせ、自分では状況に入り込み続けるんだよね、怖いもの知らずというか、やらかしちゃうギリギリでハンドル切ったるって思ってるというか。僕のそんな変なとこが匂って好きだな。

四 そっか。
高橋が客先でどう言われるんかなぁ、とか気になりだしてな。

照 それで手が止まったの。
四 厳密にはそれで手が止まったというよりかは、気になりだしたら描写が上滑りしてって、「あれ? 俺すっごい流して書いてないか?」みたいなとこで時間食った。読み直したとき、自分の文なのに「しっくり噛まん」てっていうか。

照 ははあ。それって、なかなかいい経験なんじゃないの。
四 あとはな。やっぱり文体とか描写とかの問題以前に、構造とか構成やて。
照 お前の口からその課題意識が出ますか、現時点で。いいね。
四 無意識にやらんと、「ストーリーがぶつぎれたみたい」になる。やっぱりそれはある。PowerPointのスライド使ってこないだ部署内で話したんやけど、スライドもそうなるもん俺。「はじめにこの話をします。詳しい状況はこうです。問題点はこれです。対策はこうです」みたいなさあ。「で? それで?」みたいなさあ。感情がな、人間の感情がわからへんのやて!

照 うねってくドライブ感をもった感情が、掴みきらない? みたいな? 話をポイントと落としどころへ持ってくような。
四 うん、それ。俺それ。やで紙の中でしか暮らしとらんかっても、人とうまいこと話が合うようになる、読んでもらえるもん書けるなんてってのはうそやん。紙の中にしかおらなんだ分、俺やっぱり人として欠けたとこがある……

照 誰だって欠けだらけだよ、「紙の中にいたせい」にしたら話が終わっちゃう。書いていじくって、書いてふりかえって、ピンと糸を張るのはどこがどうすればいいのかなんてふりかえって、無意識と意識が噛み合うところまで、noteの中でみんなに作業を公表していって、書き直しフェーズにも、つきあってもらうのはどうだろうか。

四 人目があるほうがええの? ほんとは俺ひとりでせんならん作業やないの?
照 いままであまりにも一人だったからさあ、いろんな人が見ててくれる環境、一度ぐらい使わせてもらったら? こわい?
四 わからん。「おそがいであかんて」てって言うのはこの場合反射でいっとって、そうでもないかもしれん。

照 あ、それでさ。ずっと読んでくれてる人から、『先の一打』後ろで書いてるうちに、シリーズ第一作の『あしたの雪』noteで公表しといたら? って。順番どおりに読んでもらったら、四郎と奈々ちゃんがどんな風に出会ったか、僕が途中からどんな風にからんだか、わかりやすいからって。

四 うわあー。今わかりにくすぎるてってことかー。
照 な。もう僕ら、noteで読んでくださってる方には、重々ご迷惑さまで、いっぱいいろいろ、許してもらってるわけだよ! 気楽にいこう。

成長小説を書きながら成長していく主人公たちを入れ子構造で見せてるなんて、今までないはずだからおもしろいじゃん!

四 おもしろい……
照 四郎が「楽しい」とか「おもしろい」とか「うれしい」とかの感覚が、早くわかるようになりますように。(両手を合わせてお祈りポーズ)
四 なるんか?
照 たぶんこの体験の果てに。そうだといい。

「最大値の2割」ぐらいで構わないから、ご機嫌でいたい。いろいろあって、いろいろ重なって、とてもご機嫌でいられない時の「逃げ場」であってほしい。そういう書き物を書けたら幸せです。ありがとう!