たのしみすぎる
デンマークにいくための航空券を取った。
飛行機のチケットが取れてようやく自分が北欧に行くんだ、
会いに行けるんだという実感が湧いてきた。
海外に行くのなんて10年以上ぶりで、これが2回目。
小学生のその時にわけも分からず取ったパスポートは5年間でとっくに切れてたもんだから、
今回改めて取ったのだ。
今僕は住民票は移さないままで、同じ県内で一人暮らしをしている。
今まで住んでいた市からは電車で片道2時間くらい離れているため、今回のパスポートの申請とその後の受け取りで2度、蜻蛉返りした。
僕の住民票のある市はパスポート申請窓口があり、
どうやらその市に登録されている人はその市でしか申請ができないようだった。
住民票を移せばいいだけの話だったが、今の自分みたいなパターンだと少し大変だなと思った。
でも、
この2度の往復の移動は少しも退屈じゃなかった。
ずっとうきうきした気持ちだった。
不思議とこの移動ですら、デンマークに近づいてるんじゃないかと思えてきたからだ。
きっと12月に飛び立っているときと同じ気持ちなのだろう。
うきうきと浮かれていたせいで、
着いた地元の駅でICカードを落とした。
(直ぐに駅の係の方から電話がかかってきて預かってますよ、の連絡を受けたのでとてもありがたい。)
12月の半ば。本当に楽しみだ。
ちょうどクリスマスまで向こうで過ごすことができる。
最高の機会を作ってくれてありがとう。
とにかく会いに往けることが本当に嬉しい。
何よりの目的だ。
どうか無事で、笑顔で会いたい。
そのおまけとして観光をする。
チーズが食べたいし、お城がみたい。
パン屋さんのカフェで朝ごはんにアボカドのオープンサンドを食べたい。
運良く太陽があれば公園で日向ぼっこがしたい。
本場のロイヤルコペンハーゲンが見てみたい。
雑貨屋さんを回りたい。
図書館に行ってみたい。
あ、あと日本食デーが作りたいって言ってた。
1週間でやり切れるかな。
未来の楽しみを抱きしめて生きられることは、
幸せなことだとつくづく思う。
そして何より未来の楽しみが現実になったとき、
もっと強くその楽しみを抱きしめて感謝を伝えたい。
そこまで生きた自分と、
そこまで生かしてくれた幸せにありがとうって。
これは、
共に同じ方向を見つめてくれたから生まれた楽しみ。
愛だ。
パスポートを取り終えたあと、
エレベーターを待ちながらその真紅の表紙を見つめていたら、
隣にいたおじちゃんがやさしく声をかけてきた。
「どこにいくんだい。」
嬉しそうにみつめていたのが、
見られてしまってたのか。
小っ恥ずかしい気持ちになりながら、
おじちゃんに楽しみなことを伝えた。
別れ際に、
振り返ることなく「じゃっ。」と手を上げた姿が渋くてかっこよかった。
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