従業員を大切にする経営がもたらすもの~「返報性の原理」と企業成長
11月も中旬に入り、
そろそろ年末年始の準備を始める方も
多いのではないでしょうか。
年末と言えば、年賀状ですが、
みなさん、どうされていますか?
私たちは、
数年前から年賀状を送るのをやめました。
それでも、
毎年、年賀状を送っていただく方も
いらっしゃいます。
そのような方には、
以前は追って年賀状を送るように
していたのですが・・・
これからは、
年賀状に代えて、メールなどで
新年のあいさつをさせていただくことが
多くなるかもしれません。
(今年から年賀はがきも値上げされましたしね・・・)
このように、
何かを受け取った時に
お返しをしようとするような心理効果を
行動経済学では
「返報性の原理」というそうです。
「返報性の原理」は、大きく分けると
次の4つに大別されます。
1)好意の返報性
2)自己開示の返報性
3)譲歩の返報性
4)敵意の返報性
今回はその中でも最も代表的な
「好意の返報性」を労務管理に
活用する場合の施策を考えてみます。
「返報性の原理」とは?
「返報性の原理(好意の返報性)」とは、
人は他者から何らかの好意を受けた際に、
それに対して何らかの形で
お返しをしたいと思う心理をいいます。
好意の返報性は、
マーケティングや人間関係の構築において
広く活用されていますが、
労務管理においても非常に有効です。
企業が従業員に対して適切な配慮や
サポートを提供することで、
従業員はその恩に報いる形で
企業に貢献しようとする意識が高まります。
「返報性の原理」を活用した具体的な施策
▶柔軟な勤務制度の導入
企業が従業員のライフスタイルに
合わせた柔軟な勤務制度を
導入することで、
従業員はその配慮に感謝し、
より一層の努力をもって
業務に取り組むようになります。
例えば、リモートワークや
フレックスタイム制度の導入は、
従業員のワークライフバランスを向上させ、
結果として生産性の向上につながります。
▶健康管理のサポート
従業員の健康をサポートするための施策を
講じることも重要です。
健康診断の実施やメンタルヘルスの
サポートプログラムを提供することで、
従業員は、企業が自分たちの健康を
大切にしてくれていると感じ、
企業へのエンゲージメントが
高まるでしょう。
▶キャリア開発の支援
従業員のスキルアップやキャリア開発を
支援するプログラムを提供することも、
好意の返報性の原理を活用する
一つの方法です。
研修やセミナーの機会を提供することで、
従業員は自分の成長を実感し、
企業に対する感謝の気持ちを
持つようになるでしょう。
「返報性の原理」の効果
好意の返報性の原理を活用した労務管理は、
従業員のモチベーションを高め、
企業全体の生産性を
向上させる効果があります。
従業員が企業に対して感謝の気持ちを
持つことで、
離職率の低下やチームワークの向上
といったポジティブな影響が期待できます。
また、
企業文化の向上にも寄与し、
従業員が働きやすい環境を
作り出すことができます。
まとめ
「返報性の原理(好意の返報性)」を
労務管理に取り入れることで、
企業は従業員との信頼関係を築き、
より良い職場環境を
提供することができます。
従業員一人ひとりを大切にし、
感謝の気持ちを伝えることで、
従業員はより積極的に仕事に取り組み、
企業の発展に貢献してくれるでしょう。
【注意】
※行動経済学は万能ではありません。
人それぞれ価値観や
思考回路が異なるため、
必ずしもすべての従業員に
有効な施策とは限りません。
また、
状況や組織文化によっては、
かえって逆効果となる場合も
考えられます。
行動経済学は、
あくまで一つのツールですので、
行動経済学を活用する際には、
自社の状況や従業員の特性を
しっかりと把握し、
柔軟に対応することが重要です。