【レビュー】『歴史を塗り替えた2022年の結末』~J1参入プレーオフ1回戦ファジアーノ岡山VSモンテディオ山形~
試合結果
スタメン
マッチレポート
残酷な結末。幕を閉じた岡山のJ1への挑戦
J1参入プレーオフ1回戦、3位・岡山がホームに6位の山形を迎えた。11,853人が駆け付けたCスタが“ファジレッド”に染まってキックオフすると、いきなり先制点を許す。5分、半田の縦パスを受けた山田康が1タッチでスルーパスを送ると、抜け出したディサロがシュート。1度は堀田が足で弾くも、こぼれ球をディサロに押し込まれた。岡山は輪笠と柳でマークを受け渡す形で山田康を警戒していた。しかし、攻撃から守備の切り替えで捕まえきれなかった山田に対してバイスと柳が同時に寄せたことで、ディサロをフリーにさせてしまった。
連係ミスによる痛い失点だったが、追い付くのに十分な時間は残されている。デュークが起点になり、サイドからクロスやセットプレーで反発していく。22分、河野のクロスに永井が頭で合わせ、36分には敵陣でボールを奪って河野がミドルシュートを放つも、枠を外れる。左サイドの佐野はボールを持つ度にすぐに囲まれてしまい、徹底した対策に遭った。
後半は岡山が開始直後からプレスの強度を上げ、ゴールに向かう意志を強めていくと、ロングスローで決定機を作り出した。47分、徳元が投げ入れたボールに柳がタイミングよく頭で合わせたが、ボール1個分だけ枠の右に外れた。53分にチアゴ・アウベス、66分にはハン・イグォンを投入し、彼らが推進力を発揮して力強くゴールに突進するも、山形の粘り強い守備を攻略できない。PA内で何度か倒れる場面もあったが、レフェリーの笛は鳴らなかった。
リードする山形は攻撃の手を一切緩めずにカウンターから追加点を狙いに行く中で、75分と80分に途中出場のデラトーレとチアゴ・アウベスがネットを揺らした。
3点差を付けられた岡山はバイスと柳が前線に上がり、何とかして望みをつなげようと必死にゴールを目指した。88分にはロングスローの混戦から柳がシュートを放ったが、枠の右へ。最後までチャントがこだます中で攻め続けたが、ネットが揺れることはなかった。
結果は0‐3。1発勝負のプレーオフが待っていたのは残酷過ぎる結末だった。開始5分での失点が2連勝で6位に滑り込んだ山形の勢いを自信に変えてしまい、岡山はそれを超えるパワーを出せず。史上最高順位(3位)、最多勝点(72)、最多勝利数(20勝)、最多得点数(61得点)と記録に残る2022年の最後は儚く散った。
コラム
再び夢を打ち砕いたプレーオフの難しさ
3位の岡山はアドバンテージをもった中でプレーオフに臨んだはずだった。しかし、フタを開けると有利なものが本当にあったのか。そう疑うくらいに苦しさを感じる試合になってしまった。
岡山が得たアドバンテージはホームで試合を行えること、引き分け以上で2回戦に勝ち上がれること。
ホームのCスタを包み込んだ雰囲気は圧巻だった。試合前のアップからGATE 10では熱い魂をもったサポーターが声を張り上げ、それを援護するように爆音の手拍子が鳴り響く。キックオフ前にはコレオグラフィが実施され、“ファジレッド”に染まったスタンドには浮かび上がった“ココロヒトツニ”という文字が選手を高ぶらせる。そして山形にプレッシャーを与えた。
しかし、開始5分に先制を許すと、追い掛ける展開が続き、最後まで主導権を握り切れないままタイムアップを迎えた。
3位という過去最高順位を引っ提げて挑んだ2022年のプレーオフは1回戦で敗退することになった。結果的に、6位で挑んだ2016年よりもJ1に近づくことができなかったということになる。あらためて、プレーオフの厳しさを体感する悔しい結果になったが、それよりもあっけなく終わったことへの切なさも感じる。プレーオフの中で最も上の順位と最も下の順位で挑み、昇格が叶わなかった。その事実から残るのは、自動昇格を勝ち取らなければならないということ。プレーオフの難しさ、味わった悔しさを糧にチームとして、クラブとして基準を高めて夢に向かってリスタートを切りたい。