【勝因】『罰走が奏功? 縦への速さ、運動量、集中力で掴んだ勝利』~第3節マンチェスター・ユナイテッドVSリバプール~

試合結果

2022‐23 プレミアリーグ 第3節
8/23 4:00 @オールド・トラッフォード
マンチェスター・ユナイテッド(2‐1)リバプール
16分 ジェイドン・サンチョ
53分 マーカス・ラッシュフォード
81分 モハメド・サラー

スタメン

選んだ理由

プレミアリーグの強豪2クラブが開幕スタートに失敗する中での対戦。30年ぶりに開幕2連敗を喫したマンチェスター・ユナイテッドが、開幕から2試合連続で引き分けをしているリバプールを迎え撃った試合です。リバプールが勝つだろうと寝て起きたら、ユナイテッドが勝っていたので、何が起こったのか気になって選びました。

罰走が奏功? 縦への速さ、運動量、集中力dで掴んだ勝利

ユナイテッドは完全に息を吹き返しました。

アヤックス(オランダ)からやってきたユナイテッドのエリック・テンハフ監督は、開幕2連敗をしたチームに罰走を課しました。休日を返上し、気温33度の中で13kmを走らせたのです。

ユナイテッドは開幕2連戦で自陣からのビルドアップに固執して、相手のプレスをモロに受けて敗れたんですが、2敗目を喫したブレントフォードとの走行距離の差である13.6kmを走らせました。自ら監督も“罰走”に参加したようで、一緒になって過酷なメニューを消費する姿を見た選手たちが監督に付いていこうと思ったのでしょう。

キックオフを迎えると、リバプールに襲い掛かりました。

リバプールが自陣からパスをつなぐ形でスタートする中で、ユナイテッドは猛烈にプレスを掛けます。最前線のマーカス・ラッシュフォードが追いかけて、ブルーノ・フェルナンデスがアンカーのジョーダン・ヘンダーソンをケアし、サイドに誘導するとSBが前に出て行って縦パスを潰す。ディフェンスラインをハーフウェイラインに設定して、陣形をコンパクトにすることによって、縦パスを受ける相手に猛チャージして奪っていきます。

中央を閉じられたリバプールはWGが両サイドから仕掛けてゴールに向かいますが、なかなかシュートを打つことができません。

ユナイテッドは1対1の対応でも粘り強さを見せます。クロス、シュートに体を投げ出していくと、16分にカウンターを発動させます。

自陣左サイドで我慢強い対応でボールを奪うと、一気に右サイドのスペースにボールを流し込みます。抜け出したラッシュフォードのクロスは流れるものの、こぼれ球を拾ったタイレル・マラシア、リサンドロ・マルティネスをつないでアントニー・エランガがワンツーで左サイドを突破してクロス。ジェイドン・サンチョが巧みなキックフェイントで相手選手をスライディングさせ、GKを飛び込ませて、逆突く形で左スミに流し込みました。

ボールを奪ってから迷わずにスペースを突き、後ろから選手がなだれ込む雪のようにゴール前に駆け上がっていく。さっきまで自陣で守備をしていたのに、あっという間に押し込む状況を作りました。

その後もリバプールはサイドから攻めていくも、マルティネスを中心とするタイトな守備を崩すことができません。前半はリバプールがボールを70%保持して6本のシュートを放つも、枠内シュートはゼロ。決定機を作れず、ユルゲン・クロップ監督が頭を横に振る中で試合を折り返します。

後半もリードするユナイテッドが縦に早い攻撃、前に強く出ていく守備で主導権を握ると、56分に追加点を奪います。

ヘンダーソンのコントロールミスを突いた途中出場のアントニー・マルシャルが敵陣でボールを奪うと、ロケットスタートを切ったラッシュフォードがスルーパスに抜け出し、GKとの1対1を冷静に沈めました。

2点を追いかけるリバプールは58分にファビーニョを投入してシステムを[4-2-3-1]に変更し、ダブルボランチになったことで中央を経由するパス回しが可能になりました。しかし、ユナイテッドが固めるゴール前を崩せません。73分にはファビアン・カルヴァーリョがピッチに入ってシステムを再び[4-3-3]に戻すと、カルヴァーリョとハーヴェイ・エリオットのインサイドハーフが推進力をもたらし、前半は内側で窮屈そうにしていたトレントアレクサンダー=アーノルドがタッチライン沿いを駆け上がり、ゴールを脅かすクロスが増えていきました。

79分にCKをロベルト・フィルミーノが頭で合わせ、81分にはアンドリュー・ロバートソンのクロスが相手選手に当たってオウンゴールになりましたが、どちらともダビド・デ・ヘアが立ちはだかります。

しかし、その直後にCKのこぼれ球からモハメド・サラーが頭で押し込んでネットを揺らしましたが、反撃はここまで。

ユナイテッドは86分に3選手を同時に投入して落ちかけていた強度を維持して、リバプールの攻撃をしのいで、今季初勝利を飾りました。

嵐のように襲い掛かるスタイルが“ストーミング”と称されるリバプールを超える勢い、強度を出したユナイテッドの選手たちからは「これ以上、負けることは許されない」という覚悟を感じました。やはり監督と一緒に罰走をこなしたことで、チームの迷いが消えたのでしょう。また、2連敗の要因の1つだった自陣でのビルドアップへのこだわりが見えませんでした。リバプールがボールを握ることを許容して、自分たちは“つなぎ”で勝負せずに、強度を高く縦への速いサッカーを粘り強く続けることを徹底したことが会心の勝利につながったのだと思いました。

ただ、僕はリバプールが大好きです。開幕から3試合で勝利できていない現状に汗が止まりません。


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難波拓未|サッカーライター
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