【速報】『首尾貫徹した熊本がJ1初昇格へ王手』~J1参入プレーオフ2回戦ロアッソ熊本VSモンテディオ山形~
J1昇格プレーオフ2回戦、4位・熊本が6位の山形を迎えた一戦は、互いのスタイルが真っ向からぶつかり合った。
熊本は引き分け以上で勝ち上れるアドバンテージを持っているが、守りに入る気は毛頭ない。髙橋利樹を先頭に激しいプレスを敢行し、山形に襲い掛かる。敵陣で相手をマンマークしてボールを奪うと、杉山直宏が推進力を発揮していく。背番号18が右サイドから中央に切れ込んでいき、立て続けに獲得したCKから先制点を奪取する。12分、杉山のCKに飛び込んだイヨハ理ヘンリーがニアで合わせてネットを揺らした。
追い掛ける山形は山田康太が起点を作り、強度の落ちない熊本のプレスをかわして反発していく。ヤマのプリンスが熊本の中盤の間に顔を出してパスを受けると、そこから前を向くことで攻撃を加速させる。ピッチ中央で起点ができたことにより、山形のビルドアップがスムーズに。敵陣への新入会数を増やしていき、18分に同点に追い付く。山田を経由したパスワークで熊本を押し込むと、南秀仁の縦パスは味方に届かなかった、こぼれ球に反応した山田が左足を一閃。鋭いシュートが左隅に突き刺さった。
同点弾で山形の勢いに火が付いた。もう1つの持ち味であるハイプレスで熊本を飲み込んだ。24分、敵陣で杉山からボールを奪うと、パスを受けた山田がスルーパス。これに抜け出した南が飛び出してきたGKの頭上を越す鮮やかなループシュートを沈めて逆転に成功した。
後半はビハインドで迎えた熊本が勢いをもってゴールに向かった。プレスの出力を上げ、縦に早い攻撃を加速していく。46分、右サイドからのクロスに髙橋が頭で合わせる。ヘディングシュートはGKのセーブに遭った。決定機を仕留められなかったが、背番号9はレギュラーシーズンで14得点を記録したストライカーだ。チームの勝利のために、ひたむきにゴールを目指し続ける。48分、髙橋がCBの背後から抜け出すと、PA左で山崎浩介に倒されてPKを獲得。これを杉山がGKの逆を突くシュートでネットを揺らした。J1昇格に1歩近づく得点にスタジアムが沸き、赤いサポーターが揺れた。
勝ち上がるために熊本よりも多くの得点が必要な山形は、61分に2選手を同時に交代する。1回戦で途中出場からそれぞれ得点を決めた、デラトーレとチアゴ・アウベスを投入して3点目を奪いに行く。しかし、ボールを中心に攻守で人数を掛ける熊本を相手に劣勢を強いられる。なかなか局面を打開できず、シュートまでもっていくことができない。71分には國分伸太郎に代えて、河合秀人を投入すると、その直後に決定機を作り出す。左サイドから川井歩が上げたクロスに河合が飛び込んだ。シュートはクロスバーに当たり、こぼれ球をデラトーレが詰めるも、ポストに身体をぶつけることも恐れない佐藤優也の魂のセーブに防がれた。82分にも山田と藤田息吹に代えて小西雄大と樺山諒乃介を投入する。ピーター・クラモフスキー監督は5人の交代枠を使い切ってピッチの選手を信じて託した。
試合終盤、アディショナルタイムは6分。山形はCBの野田裕喜を前線に押し上げるパワープレーを敢行し、熊本は77分に3選手を投入し、88分にも選手交代を行って維持した強度と集中力を発揮して最後まで山形の攻撃を跳ねのけた。
熊本が大きくクリアして、試合終了のホイッスルが鳴り響く。11,429人が駆け付けたえがお健康スタジアムが歓喜に包まれた。試合は2‐2の引き分けで終了したが、4位の熊本が勝ち上がりを決めた。
90分を通してチームのスタイルを曲げずに貫いた熊本がプレーオフを勝ち上がり、京都が待つ決定戦へと駒を進めた。自分たちがやってきたことに自信を持ち、それを信じ続ける。J2復帰初年度なんて関係ない。強い信念を貫き通した熊本が悲願のJ1昇格を目指して、13日に京都に乗り込む。