【欧州サッカーの勝因】『少ないチャンスをものしたマジョルカが勝利』ラ・リーガ第33節マジョルカVSアラベス
19位のマジョルカが20位のアラベスとの直接対決を制し、16位に順位を上げて降格圏から脱出した。
前半からアラベスに押し込まれる展開が続き12本のシュートを打たれたマジョルカだったが、前半に放った2本のシュートでゴールネットを揺らして競り勝った。
マジョルカが勝つことができた要因は少ないチャンスを確実に決めきることができたから。[4-4-2]の形でブロックを組んだマジョルカは、前半特にボールを握ったアラベスに攻められる時間が続いた。サイドからのクロスを入れられたり、押し込まれてミドルシュートを打たれたりするも、CBが跳ね返し、GKセルヒオ・リコのファインセーブでしのぐ。集中した守備でアラベスの攻撃を耐え、素早い反応で球際を激しく戦い、2トップへのロングボールで陣地を押し返して、セットプレーのチャンスを個人の素晴らしいプレーもあり、確実に仕留めた。
11分、敵陣左サイド深い位置でFKを得ると、サルヴァ・セビージャが右足でゴール前に入れたボールをニアで反らして、ファーサイドに待っていたパブロ・マフィオが中央に折り返して、アブドン・プラッツが左足を上手くたたみながらアウトサイドで流し込んだ。セットプレーのオーガナイズも奏功したが、アブドン・プラッツのシュートテクニックも素晴らしかった。シュート気味のアバウトな折り返しに咄嗟に反応し、左足をコンパクトに振ってバウンドの上がり際を上手くミートしている。攻撃的なプレーがなかなかできない展開の中で、訪れた1発のチャンス、しかも難易度の高いシュートを決めきる。集中力の高さを感じるファインゴールだった。
前半終了間際の49分にヴェダット・ムリキが決めたゴールも、先制点に次ぐ2本目のチャンスだった。ロングボールで陣地を押し返して、左サイド深い位置でのスローインからゴールをこじ開ける。ブリアン・オリバンが投げたロングスローは弾かれるも、PA左でこぼれ球を収めた背番号7が巧みな身のこなしで相手2人の間を縦に抜き去り、角度のないところから左足を振り抜いた。
マジョルカが前半に放ったシュートはたったの2本。チャンスは少なかった。攻められる展開も続いた。しかし、サッカーはチャンスの量を競うものではない。相手より多くゴールネットを揺らしたチームが勝つスポーツだ。焦れずに守り切って、訪れたチャンスを確実に生かす。試合に勝つために大切なことを再確認できたマジョルカの勝利だった。