Astar Tokenomics 2.0 ~現在のモデルと新しいモデルの比較~
今回は、2023年8月11日に詳しく明らかになった「Astar Tokenomics 2.0」について紹介したいと思います。
以下の情報を元にしています。
Astar Tokenomics 2.0: A Dynamically Adjusted Inflation
Tokenomics & Inflation Model
Astar Tokenomics - Final Report
これらから、できるだけ端的に表現した図・表を加えながら特筆すべき部分をひろっていきます。みなさんが、上記文書を読み進める上での助けになればと思います。
トークノミクスのアップデートの背景
現在のトークノミクスではいくつか課題が上がっています。そのための改善、アップデートということになります。以下はその課題のサマリーです。
高いインフレ率と固定インフレ率・・・インフレ率は低下させ、特定のネットワークパラメータに基づいて調整可能にするべき
スケーラブルで包括的な dApp Staking・・・固有の問題が概説されているー>詳細
ネイティブおよびイーサリアムの手数料の調整・・・理想的は手数料をできるだけ揃えるように努力が必要
高いトレジャリーおよびコレーター報酬・・・トレジャリーの維持は重要だがブロック報酬総額に占めるその配分が現状過剰ではないかという点、コレーター報酬も一度下方へ調整されているがまだ高く、実際のネットワークセキュリティの担保はPolkadot側でされている点を考慮することも重要
そして、Astar の持続的な成長を確保するため、現在のトークノミクスの状態を分析し、Astar チームは、専門家が密接に協力をしながら多くの時間をかけて新しいモデルを提案するために取り組んできました。
現在のトークノミクスモデル
表および、円グラフをご確認ください。
Astar Network 上で生成される各ブロックは 253.08 の新しいASTRトークンを発行します。これがインフレーションの仕組みです。
この量は固定されており、初期供給に基づいて年間約9.5%のインフレーション率が設定されています。
このインフレーション全体を 100% としてどのような分配になっているかが示されています。
ここで、TVL および TVL率(%)について言及しておきます。
現行のモデルですと、トレジャリーやステーカーには、「ベース」として固定で割り当てられる部分と、この TVL の多寡に応じて変動する部分があります。そしてこの変動(調整部分)は全体の 47.38%となっています。
新しいトークノミクスモデル
こちらも表および、円グラフをご確認ください。
詳細な調整値等については表を見ていただき、新しいモデルでは、大まかに以下のような調整が行われています。
インフレーションの割り当て数値を調整
トランザクション手数料のバーンされる割合を調整
Build2Earn である開発者へ充てられる報酬の調整(dApp Staking v3)
現行モデルと同様に調整部分があるが、TVL に応じてその量が変動する
Substrate Native と Ethereum のトランザクション手数料を可能な限り揃える
オンチェーンストレージのレンタル料を 1/100 に調整
インフレ率はオンチェーンパラメータにより調整される
自分は経済の専門家ではないですが、かなりオンチェーンデータなども見ながら緻密に設計されたのがうかがえます。
今後
そして、今後は下記のように進められていくということです。
実装計画と実行の共有: 計画は今月中(8月中)に共有する予定
包括的なドキュメントの作成: 実装計画と実行と並行してすすめる
また、今回公開の「Astar Tokenomics 2.0: A Dynamically Adjusted Inflation」の中では、新しいトークノミクスを語る前に下記のようにふれています。
これが、”せーの”と同時にではなく徐々に展開されるということでしょう。実際、dApp Staking v3 についてもかなり詳しく見直される点についてこのドキュメント内で言及されています。今後は、実装・監査なども行われ第4四半期には整うよう計画がなされているということで・・・さらに詳しい情報が共有されたら私も学習し共有したいと思います。
参考
表を並べた 1- Pager を付けます。
ASTR Block Rewards に換算した場合の同比較表は以下のようになります。