デジタル業界で働きながら、複業でパン屋を始めた理由
2020年の6月末にBreadartというパン屋をオープンしました。
パンをつくり始めたのは2018年から。身近な人に美味しいと喜んでもらえるのが嬉しくてハマってしまいました。パンづくりは科学的で大変に奥深く、エンジニア気質の自分に合っていたのか、のめり込んでしまい、理想のパンを追求して毎日試作するように。
2019年頃から自分のパンづくりが世の中に通用するのか試してみたいという気持ちが強くなりました。業界未経験でわからないことだらけなので、ウェブで調べたり本を読んだりセミナーに通ったりしながら事業立ち上げの準備を進めてきました。同時に自分がパン屋をやる意味は何なのか、何を得て何を失うのか、ということを何度も何度も自問自答しました。
最終的には複業という形でスタートすることを決めました。週の内訳は会社勤めが4日、パン屋が3日(準備1日、営業2日)。そこに至る経緯をつらつらと書いてみたいと思います。
プログラマーから始まったキャリア
昔話になりますが、私は大学卒業後にプログラマーとしてキャリアをスタートしました。プログラミングを始めたのは中学生のとき。ゲームが好きすぎて、家にあるカセット(懐かしいw)では飽き足らず、悶々としていたころに、図書館でN88-BASICゲームプログラム集を発見しました。それを家にあるパソコンに打ち込めばゲームができると気づいたのがプログラミングの始まり。プログラムを打ち込んで遊び、改造しながらプログラムを覚えていきました。
高校生の時には3DCGプログラミングの本と出会い、原始的なワイヤーフレームモデルのプログラムをBASICで作成して遊んでいました。
そんな経緯ですので、大学は当然、情報学を専攻。ばりばりプログラム書いてモノづくりができるぞと思いきや、理論のお勉強ばかりでガッカリ・・・。なのでOpenGLとC++で3DCGのプログラムをつくって遊んでいました。
DoomやQuakeといった3Dゲームに衝撃を受け、それらを生み出したジョン・カーマックやジョン・ロメロといったクリエイターの物語を知り、この頃からなんとなく「自分のプロダクトで生きていく」ことを夢見るようになりました。ただ、3Dゲームプログラミングの専門書を読むとチンプンカンプンすぎて、自分の頭では3Dゲームのスタークリエイターにはなれないなと悟ったのもこの頃ですw
最初に就職した会社では、B2B向けパッケージソフトの開発に従事しました。幾何学や位相幾何学を応用したアルゴリズムをつくる仕事は面白かったのですが、エンドユーザーの反応が見えなくて、手応えのなさに不満がありました。
一方でプライベートではテキストエディタのプラグインを開発していました。もともと自分のために必要な機能をつくっていたのですが、多少は業界に恩返ししないとなと思い公開したところ、思いのほか反響があり、自分がつくるもので人に喜ばれるという体験の素晴らしさを知りました。それでtoCを自分の生業にしたいと思い転職を決意しました。
満員電車が苦手だから東京は無理・・・なので関西でB2Cの自社ソフトウェアを開発している企業がいいなと思い、1社だけ心当たりがあったので思い切って中途採用に応募し内定をもらうことができました。それが今現在も勤めている会社です。
転職した頃はスマートフォンの黎明期で、新しいスマートフォンアプリの開発担当というチャンスをもらうことができ、半分くらいは「自分のプロダクト」といえるものなので、必死に取り組みました。事業の成果としては微妙でしたが、PdMを任せてもらい充実していました。
会社の事業ポートフォリオや組織体制が目まぐるしく変化する中で、自分の役割もどんどん変わっていきました。プロダクト企画・プロモーション、オフショア開発管理、ウェブ運用、コンテンツマーケティング、写真撮影、自社ブランディング、等々。新しい役割を任さられるたびにいろんな苦労がありましたが、多くのことを経験して学ぶことができました。
中途半端なキャリアを突き抜けた先は?
ふと自分のキャリアを振り返って思ったのは、スペシャリストだと思っていたらいつの間にか中途半端になっちゃったなということ。できることの組み合わせが、一般的なジョブにハマらず希少性をいかしずらい。
またアプリ開発に専念するのも一つの選択肢だけど、それは違う気がする。中途半端だけど間違った方向に来ているとは思っていないから。
逆にこの方向を突き抜けた先でハマる仕事はなんだろう?それは商売をまるごとやることだと気づきました。
何から何まで自分でやらないといけないスモールビジネスなら、いろいろできるということが武器になる。
しかもこれはずっと思い描いていた「自分のプロダクトで生きていく」ことにもつながる。お客さんと直接つながる商売なら、自分のつくったもので多くの人に喜んでもらうことができます。
パンづくり vs デジタルプロダクトづくり
それではどんな商売をするのか、やっと冒頭につながってくる訳ですが、当然追求してきたパンづくりが念頭にあり、他に選択肢があるとしたら専門分野であるデジタルプロダクトづくりでした。
そのとき思ったことは、デジタル業界にいてデジタルプロダクトをやるのは自分じゃなくていい。デジタルと縁遠い領域でデジタルの力を掛け合わせることに意味がある。なぜならそれができるプレイヤーが少なく、自分だからこそ取り組める課題がたくさんあるはずだから。
複業でやる理由
デジタルと食、この2業界で日々オペレーションに関わる人は多くないと思います。同時に関わっているからこそ、わかること・できることがあります。デジタル業界の課題を食で解決することと、飲食業界の課題をデジタルで解決すること。その両面で自分にしかできないことに取り組んでいきたいと思っています。
また、これからリモートワークと複業が当たり前の時代になり、地方で小さな商売を始めるパラレルワーカーは増えていくと思います。自分自身が同じ環境に身を置くことで課題を知り、その解決に自分の力が活かせたら良いなとも思います。
最後に
初回ということもあり自分語りばっかりになってしまいましたが、次回からはセミハードなパンの話、Breadartの話を書いていこうと思います。これからよろしくお願いします。
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