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The White Lounge

もう2ヶ月も前の夢のような出来事を、公式や皆のレポート・感想を元に掘り起こす。引用する言葉は正確とは限らない。読んだら♡お願いします。

2023.12.26 大阪

今日はミセスのライブだ!待ちに待った4ヶ月ぶりのMrs. GREEN APPLEのライブ。そんなライブは着席観覧・白のドレスコード着用・ネタバレ禁止。そんな特別なファンクラブ会員限定ライブ。その名もThe White Lounge。

どこまでが演出かわからない。ファンを信用して回る挑戦的なツアー。賛否両論あると思う。何を信じて、疑われるんだろう。観た人によって受け取り方が異なる。
本人からこのように形容されるツアー。

正直な話、ワクワクよりドキドキが勝っていた。果たして自分はこのライブを受け止め切れるんだろうか、受け入れられるんだろうか。

2023年12月26日 17時30分。

開場時間になる。真っ白な服装で入場へ。

チケット確認の時から頭には❔が浮かんでいた。スタッフの後ろには白いスーツを纏った黒人男性が微動だにせず立っていた。え、人だよね、と友達と顔を見合せた。

さぁ、いよいよ入場。ミセスのライブはやはり常にセットに驚かされる。ホールという小規模な会場でどのようなセットが組まれているのか。

入場して、息を飲んだ。

大掛かりな真っ白の二階建てのセット。ルームツアーのセットを彷彿とさせる。そしてゆっくりと歩く白い仮面を被った複数の人たち。

「ほぉ、😶」

思わず声が漏れる。
席に着く。13列目。

観察する。白い仮面を被った人達を数える。8人、いや9人。少しずつ増えていく。階段を上る人、客席に降りてくる人。皆これでもかというくらいゆっくり動いている。

音を聴く。食器がぶつかる音。レストランのよう。

セットに目を凝らす。たくさんのテレビ。冷蔵庫。バーカウンター。2階にも机と椅子。天井から逆さまにぶら下がる椅子。

客席を見回す。白い。当然セットも白い。異質な空間。ドアをくぐっただけで外部と隔絶された完全な異世界に来てしまったようだ。

ステージセット

開演が近づくにつき、ワクワクが増す。ただそれ以上にドキドキが増す。着席観覧・白のドレスコード・ネタバレ禁止。経験したことないライブが始まる、そのことはあの場にいた誰もが分かっていた。やはり緊張が走る。

そして同時に感動する。
こんなワクワク・ドキドキを見せてくれるMrs. GREEN APPLEを好きでいて良かったと。

白い仮面の人達を観察していると時が流れるのは早かった。18:30。そろそろ始まるのか。いや、もう始まっているのか。どこまでが演出かわからないという大森の言葉を思い出す。

メンバーを含めた楽器隊が配置に着く。ドアの奥から白のタキシードに身を包んだ大森元貴が登場する。白いトランクを持っていた。歓声が上がる。ただ、すぐに歓声は止む。

始まったのだ、と皆が悟る。

#1 マスカレイド

ドアを開けたら何かが変わるのか

The White Lounge

曲が始まる。知らない曲だ。だだ、今回の為に書き下ろされた曲だと言うことは分かった。非常にポップで、大森とキャスト含め音に乗って踊っていた。

白い部屋には独り達 それは具象かはたまたイメージか

The White Lounge

少し不安に駆られる。果たして既存曲は披露してくれるのか。もしかして全部オリジナル曲なのではないか。隣の友達も同じことを思っていたらしい。

#2 水と影

彼が冷蔵庫をあけバーカウンターに座ると、聴き覚えのある曲が始まった。

砂舞うは夏の花の様で 滴る水は海へ戻る
その花散る頃夢思って また日照りが心を戻す

Folktale

安心した。が、それ以上に呆然とした。思えば前半はずっと前のめりで、口を開けていたような気がする。

今、ライブを観ているのではない。音を観ているのだ。そう思う作品だった。

大森は歌いながら音に乗って舞う。キャストたちも同様に軽やかに舞っていた。

曲の終わりと同時に冷蔵庫を閉めた。拍手も起こらない。皆、同じ気持ちだったんだろうな。混乱と興奮。そしてやはり混乱。

#3 手紙(過去との対話)

大森がステージ奥に移動する。言葉を発する。タイプライターを打つ。

「お久しぶりです、お元気ですか。僕のこと覚えていますか?僕はあれからずっと君のことを考えています。でも、考えれば考えるほど分からなくなるのです。」

恋文。でも、悲しい。おそらくもう会えない人へのラブレター。

「幸せが逃げるわよ。きみはよくそう言っていた。また君と踊れたらいいのに。そうしたらあの頃みたいにどんなに幸せだろう!」

曲が始まる。

分かり合えることはない。そう気付いてしまったよ。

君を知らない

ズーーーンと心を打たれる。大森が女性を追いかける。女性は気付いているのか、気づいていないのか、華麗に大森をかわしていく。もう少しで届くのに、届かない。手紙が宙を舞う。地に落ちる。届けたくても届かない。そのことを痛烈に知らしめさせる描写。

泣けてしまうけど 悔しいけど 君を思っていたい

君を知らない

ストーリーに曲をはめ込む。大森が作るライブの形。それを今回これまで以上に感じられた。

視線は左のテーブルに集まる。

「あぁ、また君と踊れたらなぁ」そう言い放ち歌い始める。

いつだって 大丈夫 この世界はダンスホール

ダンスホール

大森の悲痛なアカペラがホールに響く。これまでライブで楽しく歌っていた曲だとは思えない。
原曲ではポップに響くが、アカペラでは自分に言い聞かせるかのように歌い上げた。悲鳴のようにも聞こえた。

ただ、途中から元の盛り上がりを取り戻す。若井と藤澤が登場しテーブルにテーブルクロスをかける。3人が踊る。昔に戻ったのかな。それまでとうってかわって華やかだった。

#4 反射

場面が変わる。雷鳴が轟く。雨が斜めに降りこむ。どうやらミセスのライブに雷はつきものらしい。
でも心の内に秘める曇天こそミセスの本質のようにも感じる。彼らの曲は快晴のように見えて、心の中では常に大雨が降っているのだ。

分からないことだらけで 学ぶこともキリないな
あぁ。だからか。

ツキマシテハ

まさに心のうちの荒ぶりが表現されていた。椅子を倒し暴れる。何があったのか。この辺りから徐々に違和感が蓄積されていく。その違和感の正体に気付くのは翌朝になる。

テレビのスイッチが切れる。

#5 愛という名の種

場面が変わる。2階に視線が移る。

メガネを掛けた大森と、女性が話している。

ここで大森がラジオを流す。流れた曲は「They are」。思わず声が漏れそうになる。

「ブラックで良かった?」女性はそう尋ねる。
どうやら牛乳の期限が怪しかったらしい。でも彼女ブラックが飲めないようだ。

「牛乳、買っとけば良かったね」大森はそう言う。
彼女の前ではどこか寂しげ。ラジオから流れる歌詞が彼の本心を物語る。

「今日もただ、“独りで寂しい”と君の前で思ってしまう」



藤澤がフルートを構える。

僕らを繋いでいるのは何?

coffee

恋愛を苦いコーヒーに例えた曲が始まる。

女性は机に伏して眠ってしまう。大森は彼女に毛布を被せる。

苦味という 傷とまた違う 心を養わなきゃね

coffee

まるで彼女に言い聞かせるよう。ただ、彼女はやはり苦味を味わえなかった。ブラックを飲めなかった。

電話が鳴る。

「伝えたいことは、いつも言葉にならない。伝えたい思いはずっとここにあるのに。どうしてだろう。」大森はそう語る。

エンドレス鳴り止まない 酸いも甘いも 引っ掻き傷も愛して

ニュー・マイ・ノーマル

眠っていた女性が目を覚ます。大森の姿を探すが見当たらない。

間奏、電話での様々な会話が聞こえる。どれも喧嘩しているようだ。コミュニケーションとは、いつも伝わらず、すれ違うものなのか。

人間の数だけすれ違いが起きていて たまに嫌になる

ニュー・マイ・ノーマル

女性が大森を見つける。場面は華やかになる。曲が終わる。
大森が膝を着き、女性に指輪を差し出す。
「ありがとう」
プロポーズは成功する。

急な展開に混乱した。そしてまたも蓄積する違和感。ただそれ以上にライブに夢中で、一時足りとも目を離せない。

プロポーズの成功により祝福モード。祝福と言えばこの曲。

あぁ、素晴らしい 賑わしい 僕が死ぬまでのパーティだ!

PARTY

すごく華やかで、ステージも左右に動いて広大な空間が生まれた。現れる4枚の白いドア。4枚のドアには♠◆♣︎♥の文字が。大森は明るい表情でドアを次々にくぐる。

なんでだろう、ここで泣いてしまったのは。今までPARTYは音源で泣いたことがないのに。ずっと聴きたかった曲だからか。それとも表現が素晴らしかったからか。おそらく両方だろう。

あぁ、ミセスを好きでよかった
。そう噛み締める度に涙が溢れた。素晴らしいPARTYだった。


会場に電気が灯る。場内が呆気に取られる。
間髪入れずBGMが15分の休憩を知らせる。

驚きつつ、そしてPARTYの余韻に浸りつつ、隣の友達と感想を共有する。
実は彼、ミセスのライブは初めて。前々から異質なライブだとは散々伝えていた。どう受け取ってくれたんだろう。楽しめているだろうか。正直少し心配だった。
だが彼はこちらが嬉しくなるほど感動していた。冒頭のFolktaleで思わず涙したそう。普段そんな人じゃないのに。歌声の音圧だけで泣けたんだと。なにより彼自身が1番驚いていた、人が人の歌声だけで涙できるという事実に。
慌ててセットリストを再現する。なぜか彼が全部覚えていたので再現に成功する。なんでそんな覚えられるんだ。
りょうちゃんとひろぱ一言も喋らなかったねー、なんて話をしているうちに15分は経つ。


第2幕

依然セットは左右に広がったまま。街頭やベンチがあり、部屋の外の世界だと気付かされる。
若井と女性の会話。お花見に来ていた。ただ少し時期的に早かったみたい。女性は若井の為にお弁当を作ってきていた。若井もこんな美味しい唐揚げは小学生以来だ、と感動する。
女性はお花見のリベンジに誘う。
「もし、今週末暇だったらでいいんだけど、お花見リベンジしない?」ただ、若井は断る。やはりどこかずっとこのラブストーリーは寂しげなのだ。
交わりたい、交わらない。伝えたい、伝わらない。

#6 青さのカケラ

パラパラと雨が降り出す。先程のタキシードとは裏腹にパーカーを着て、フードを被った少年のような大森が現れる。

「1人になりたい。でも独りになりたくなくて。」
大森は語る。
「こんなことを考えるとキリがないし、こんなことを考える自分が嫌になる、、」

思春期の葛藤。

「早いものね。」と心が囁いた

春愁

黒のレインコートに黒の傘を持った人々が登場する。傘を使ったダンス。雨のためステージは暗く、やはりどこか寂しげ。
そこに先程の女性が現れる。傘を持っていない大森を気にかける。
「どうして雨なのに傘さしてないの?」
「いや、何となく。雨に触れてたかったから、かな。」
大森は心を見せないような喋り方。一方女性は積極的にアプローチをしている。彼女が大森をデートに誘った。
「ねぇ、今週末予定ある?」
「いや、別に...」
「じゃあ買い物付き合ってよ」
「え...」
「嫌ならいいけど?」
「い、いやじゃない、。」大森は断りきれない。
「じゃあ決まりね!」女性は言い残す。

君は好きな人の話をするんだ今日も
近いけどまるで遠いこの距離

Just a Friend

服屋、CDショップ、ランチ、映画、ディナー。
様々な場面が展開される。
ただ所詮はJust a Friend。ただの友達。
簡単にはいかない恋愛模様もダンスで表現されている。大森は手を繋ごうとするが、繋げない。ここでもやはりすれ違う。

あぁ、どうかいつか 僕の我儘が終わるまで

Attitude

会場にいた誰もが衝撃を受けたであろう。二度と聴くことはないと思っていた。Attitudeを生で聴かずに終わる人生だと思っていた。だからこその衝撃、そして感動。死ぬまでに聴けて良かった。その想いが強かった。

この1年でなにがあったのか、そう思いたくなるほどポップでシンクロしたダンス。

私のそう遺言

Attitude

でもやはり神々しかった。

#7 虚構と虚無

舞台の開演前の様子。

終わったことだから振り返ったりしない

Feeling

こちらも歌詞に合ったポップなダンス。


セットが変わる。小ステージの登場。

ORICON NEWSより

藤澤が口を開ける。思えば藤澤が初めて口を開いたのはこのときだ。

「劇場! 私たちはあなた方を1枚の屋根の下に閉じ込めました。」
我々に向けて言ってるようにも感じれる、そんなセリフ。

「夢のような現実を、現実のような夢をお届けします。」

今回のホワイトラウンジを象徴的に表す言葉だった。かなり長い話で、話すの緊張しただろうな、りょうちゃんのことだから。
微笑ましく見ていた。
この頃、会場内の誰もが、フィナーレに近づいてきていることを悟っただろう。

ケセラセラ 今日も唱える

ケセラセラ

上記の写真はケセラセラのときのもの。華やかだったが完全に没入してしまっていたため、恒例のクラップなんてできるはずもなかった。それほどまでの没入感。終わったあと拍手が起こった。

ケセラセラの後は、舞台の終演後の雰囲気。「お疲れ様です!」の声も飛び交っていた。

どの世界線にいるのか分からなくなる。

星空を背景に、床にはスモークが溢れる。ステージには大森だけ。先程と真逆の荘厳な雰囲気。

貴方に会いたくて 生まれてきたんだよ

Soranji

圧倒的な没入感のまま歌うSoranjiは更なる没入感を引き起こす。真っ白なステージ。真っ白な客席。真っ白な煙。圧巻の他に表す表現がない。
時を戻して約1年前。ゼンジン未到とリライアンス。Zepp名古屋。前から6列目ど真ん中。あのとき歌われたSoranjiは近さ相まって衝撃的で。終わったあとしばらく動けなかったのを鮮明に覚えている。
今回のSoranjiはそれに匹敵していた。スタンドマイクじゃないから、大森はその身をもって自由に表現していた。不意に涙が零れた。

#8 僕の一部

僕の我儘はもうすぐ終わる

The White Lounge-reprise-

再び冒頭のオリジナル曲が、ショートバージョンで流れる。ホワイトラウンジの世界が、この曲で始まり、この曲で終わったことを物語っていた。
ずっと見ていたい、大森の観てる世界をもっと見たい。そう強く思ったことを覚えている。

#9 終わりの始まり

ステージが元に戻った。そして初めて色が生まれた。白と黒だけの世界が急にカラフルに彩られた。プロジェクションマッピングで白のステージは急に華やかに、彩やかになる。

ずっとコドクでも いつの日か今までの全部
報われると良いんだけど

フロリジナル

エンドロールが流れる。

大森だけが最後に残る。トランクを手にドアを開けて帰ろうとする。しかし、戻ってくる。
何かを悟ったような、満足気な表情を浮かべてトランクを置いて部屋を出ていった。

夢のような現実。いや、現実のような夢を見ていたのか。

〜Fin〜

P.S.

考察

大森はこの音楽劇をオムニバスなのだと話している。だから、セクションごとに主人公も異なる。でも、使われている曲は全てMrs. GREEN APPLEの曲であり、そこには相通ずる何かがある。それ故にこれらの物語は緩やかに繋がっている。そこに正解はなく、逆に全てが正解だとも言える。ここでは1つ考えたものを記す。

まず大まかな構成について

君を知らない→破局後
ツキマシテハ→幸せの終焉
coffee→結婚生活・裏には孤独
ニューマイノーマル→プロポーズ
Just a Friend→出会い・片想い

服装も前半はスーツ(大人)
後半はパーカー(少年)

ライブ中このように時間軸は巻き戻っていた
これが蓄積された違和感の正体。
そして度々テレビのスイッチが付き、曲が始まり、テレビのスイッチが消され、曲が終わった。

彼は一体どこから来たのか、そして何を見ていたのか、そして何故トランクを置いていったのか。

彼はホワイトラウンジという曖昧模糊とした世界に迷い込んだ。それは意図的では無い。おそらくとある女性への未練や後悔、そして抗いようのない孤独が彼をこの世界に連れてきた。

その世界はテレビを通じて彼に過去を見せた
#3 手紙 では失った彼女への届かぬ愛を。

#4 反射 では怒りを。(彼女との間に何かあったのか。もしくは自分自身への怒りか。)

#5 愛という名の種 では彼女との愛を育む生活を。coffeeの前のシーンで彼は既に孤独を感じている。ニュー・マイ・ノーマルでは最大限の純粋な愛を。

#6 青さのカケラ では若き頃の出会いを。上手くいかない孤独を。

#7 虚構と虚無
この章の名前を見た時なるほど、と思った。Feeling(ノア最終曲)・ケセラセラ(Atlantis最終曲)・Soranji(ゼンジン最終曲)を披露した瞬間だけ、彼らはMrs. GREEN APPLEだったのだと。だからケセラセラの時にはステージが組まれていた。但し、それはあくまで虚構なのだと。華やかなミセスというイメージは虚構にすぎないのだ、と。華やかなステージに立つ彼らも、ステージから降りれば普通の人だ。夜には1人になり、孤独を感じる。それ故の虚無。その孤独をSoranjiで歌い上げたのだ。大森自身インタビューでこのセクションはかなりドキュメントだと話していた。

#8 僕の一部 曲の内容が分からないからごめんなさい、分かりません。ただ、ホワイトラウンジの世界はここで終わり。具象・イメージはここまで。

#9 終わりの始まり 「終わりで始まり」ではなく、
終わり「の」始まり。つまりこれは始まり。やはり後ろから物語を見るべき。彼の根底にはやはり愛されないことでの孤独が常に溢れている。そのことを象徴するフロリジナル。

最後に満足した表情で置いていったトランク。中には何が入っていたのかな。想い出なのかな。未練のある想い出に踏ん切りをつけて旅に出たのかな。

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