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コッペパンを抱えてDIC川村記念美術館に行ってきたよ

「来年の1月から休館」

こんな情報を目にしたのが少し前のこと。以前から気になっていた千葉県の佐倉市にある美術館「DIC川村記念美術館」が来年の1月から休館してしまうという。

アホみたいに暑い夏もようやく終わりを迎え(まだまだ暑いけど……)、自然を嗜みたい季節がやってきた。そこで今回は、山でも川でも森でもないけれど、自然が豊かなDIC川村記念美術館を訪れることにした。HPにも書かれているとおり、美術館を構成する三要素のうちの一つが「自然」なのだ。

美術館について
DIC川村記念美術館は、DIC株式会社が関連企業とともに収集してきた美術品を公開する施設です。
20世紀美術に主眼を置いた多彩なコレクション、作品にふさわしい空間づくりを目指した建築、四季折々の変化が楽しめる豊かな自然環境。これら「作品」「建築」「自然」の三要素が調和した美術館として、1990年5月、千葉県佐倉市の総合研究所敷地内にオープンしました。

DIC川村記念美術館


「コッペ田島」との突然の出会い

田島くんとの出会いは本当に突然だった。美術館に向かう道中、偶然にも目に付いたコッペパン専門店。その名も「コッペ田島」。良い名前である。自分は全く知らなかったけれど、どうも巷では有名らしい。調べてみると東京だけでも結構な数の店舗があった。

国道側の看板は褪せているが、それもいい。それがいい。
この看板を目にしてスルーできるわけがない。
地元の?お兄さんも「コッペ田島」に夢中だ。

しかし突然のコッペ田島は反則だ。こんなに魅力的なメニューがたくさんあったら決められないよ。店頭に貼られているメニュー表の前で立ち尽くす。好き嫌いがないことは良いことではなかったのか?全部美味しそうに見えて決められないんですけど……

「ハムたまご」
「アボカドタラモチェダーチーズ」
「コンビーフポテト」

で、なんとか決めたのがこちらのラインナップ。散々時間をかけて決めたくせに「タラモ」と「ポテト」でじゃがいもが被ってやんの……
急なコッペ田島に要注意。メニューは前日に知らせてくれ。


コッペパンを抱えてDIC川村記念美術館に到着

コッペ田島で予想外に時間を使ったけれど、それなりに予定通り美術館に辿り着いた。町から少しばかり離れたその場所は、とても静かでひっそりとしている。

地方や自然が深い場所で車から降りた瞬間に感じる、あの「空気感」ほどのものはないが、コンクリートジャングルから来た身としては多少の違いを感じることができる。しかし、あの空気感が恋しい。混じりっ気のない澄んだ空気。普段の倍ほどの勢いで、スーハースーハーと呼吸をしたくなる。当たり前になってしまっている都会の空気との違いに毎回驚く。

DIC川村記念美術館
美術館入り口の左側にあるオブジェ
美術館入り口の右側にあるオブジェ
美術館の入り口


館内は撮影禁止

館内はどこもかしこも撮影禁止だった。途中の廊下で窓から見える木々がすごく綺麗で、「この窓から見える作品(景色)が一番良いじゃん!」なんて思いながら写真を撮ったら、そこも撮影NGだったらしく警備員さんに優しく注意されちゃった。

美術館のコレクションと企画展を一枚のチケットで同時に見れるシステム。企画展は西川勝人さんというドイツを拠点にする美術家の展示。彫刻や写真、絵画、ドローイング、インスタレーションなどなど、さまざまな手法で表現されていた。彩度を失った作品が多く、どれも静かに鑑賞者の視線を受け入れている。「静寂の響き」という企画展タイトルのとおり、広い空間に静寂が響いていて、とても心地良い空間だった。

「よく分からないけれどなんか良いじゃん」で13年間創作してきた自分は、作品に対してあーだこーだとコメントできるような引き出しをほとんど持っていない。たまに「アートはよく分からないし、敷居が高い」みたいなことを耳にするけど、「別によく分からなくて良くない?」なんて思っている。「この作品は〇〇時代に作られた〇〇で、〇〇を表現していて……」みたいな難しいことは、そういうのが好きな人とか専門家にお任せして、「なんか好き」とか「なんか嫌い」で良いじゃない。「なんか好き」って思えるものに出会えただけでもすごく尊いと思うのよ。


敷地内を散策する

作品を観終えて、館内のショップでコーヒーをお土産に買った。外に出ると、残念ながらポツポツと雨が降っている。そもそも天気予報で一日怪しい天気であることは事前に分かっていたけれど、いざ降ってくるとやっぱり少しショックだ。敷地内の散策も楽しみにしていたし、何よりも外でコッペパンを食べたいからね。

敷地内の自然散策路
森から見る広場
広場の真ん中にオブジェが見える
『ブロンズの形態』ヘンリー・ムーア
緑が生き生きしている

散策中も微妙な雨が降り続いている。大した雨ではないけれど、傘をさすレベル。コッペパンを外で食べるにはなかなか厳しい状況だ。

自然散策路にある木製ベッド

結局、自然散策路に戻ってきた。ここなら木に囲まれているので、ある程度の雨は凌げる。木製ベッドに腰を掛け、念願のコッペパンを食べることにした。まずは、アボカドタラモチェダーチーズ。

「美味い!!」

森の中で食べるコッペ田島は最高だった。おめでとうございます。私からベストオブコッペパンの称号を与えます。(コッペパンの印象は小学校の給食しかないが……)

3つ買ったけれど、このときは2つで満足した。ボリュームもそれなりにある。これで300円くらいだから安いよね。残りの1つは翌日に食べた。次の日もやっぱり美味しかった。


ありがとう、DIC川村記念美術館

素敵な美術館でアートを鑑賞し、森でコッペパンを食べるという最高の時間をありがとう。あいにくの天気ではあったけれど、とても良い時間を過ごすことができた。

「また、いつの日か……」

と思ったが、来年の1月から休館ということを思い出す。どうも、規模を縮小して東京に移転するか、そのまま撤退の可能性が高いらしい。うーん、残念だね。縮小して東京に移転というのも残念だよね、この場所にあるからやっぱり良い。

地元の人たちや佐倉市が美術館存続を求める活動をしている。ちょうどこの記事を書いている日(9月30日)が署名受付の最終日だったので、書くのを中断して佐倉市のHPから署名をした。オンラインでサクッとできるので、思いがある人は是非。


「また、来るね」

これからも多くの人が、この場所にアートを観に来れることを願っている。そして、森の中で食べるコッペ田島をおすすめしたい。


相変わらず雨は降っているが、止まない雨はないはずだ。




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岸部 タクロウ
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