【木造勉強記録02】 構造計算書の構成
今回は、木造の許容応力度計算の構造計算書について、おおまかな構成をまとめたいと思います。
構造計算書の構成(許容応力度計算)
一覧にすると、以下の項目があります。
1. 建築物概要と構造設計方針
「本建物は、この方針で設計しています」ということを記載します。
建築物概要
・建物の名称
・建築場所
・建物規模 等
構造上の特徴
・建物用途
・採用する工法
・使用部材の特徴
・構造計算上、特に考慮すべき事項
・採用した基礎・地盤の工法
構造設計方針
・採用する計算ルート
・使用したプログラム
・地震力・風圧力に対する設計の考え方
・各部材の断面設計の考え方
2. 使用材料と許容応力度
使用する部材の許容応力度を記載します。
・木材の許容応力度
・コンクリート、鉄筋、鋼材の許容応力度
・アンカーボルトの許容応力度
・接合部の許容耐力
(筋交い・柱頭柱脚接合部・
横架材の継手・仕口)
3. 仮定荷重
構造計算をするために必要な、建物の荷重を仮定(定義)します。
固定荷重(床・壁)
仕上げの重量や、木部材の自重などを
計算します
積載荷重(床)
室の使い方に応じた、人や物の重量を
計算します
積雪荷重
各地域ごとに決められた積雪量を
考慮した荷重を計算します
地震荷重
建物重量に対し、係数をかけて
地震時水平力を計算します
風荷重
各地域ごとに決められた係数により、
風荷重を計算します
4. 水平力に対する設計
水平力(地震力・風圧力)に対して、「建物全体で耐えることができるか?」という検討をします。
以下の2ステップに分かれます。
■ 壁量計算(仕様規定)
・存在壁量の算定
・必要壁量の算定
・壁の釣り合い配置確認(四分割法)
・偏心率の計算
■ 許容応力度計算による検討
地震力の算定
地震用の建物重量を算定し、
それに係数をかけて、
地震時の水平力を算出します。
風圧力の算定
その地域ごとに定められた係数を用いて、
風圧力を算出します
偏心率・ねじれ補正係数(Ce)の算定
建物が偏心している場合に、揺れが
増幅される影響を考慮します
鉛直構面の検討
各通りの負担するせん断力に対し、
許容耐力以下となっているか、
チェックを行います
水平構面の検討
各通りの負担するせん断力が
床を通じて伝達できるか、
床等の許容耐力以下となっているか、
チェックを行います
5. 各部材断面の設計
常時・地震時・風圧時に生じる力に対して、各部材が許容応力度以下になっているか、チェックを行います。
・柱の軸力算定(鉛直荷重・水平力)
・横架材の断面設計
・柱の断面設計
・垂木・母屋・間柱・根太の断面設計
・その他(耐風火打ち、屋根トラス等)
6. 接合部の設計
各接合部の耐力が、必要とされる耐力以上であることを確認します。
・柱頭柱脚
・横架材接合部
・垂木・母屋接合部
7. 土台・アンカーボルト・基礎の設計
・基礎計算用軸力の算定
・長期接地圧のチェック
・底板の断面検定
・基礎ばりの設計
・土台・アンカーボルトの設計
(引張耐力・せん断)
8. 屋根ふき材等の設計
屋根や帳壁は局部的な風圧力に対して検討を行います。
・屋根葺き材の設計
・帳壁(外壁)の設計
・その他附属物の設計
まとめ
今回は、木造の許容応力度計算の計算書について、項目をまとめました。
今後はこれらの各項目について、掘り下げて具体的な計算方法の記事を書いていこうと考えています。
おまけ
木造の許容応力度計算が未知の領域だったので、漠然と「わからーーーん」と言っていましたが、こうやって項目を並べてみると、S造やRC造と共通する部分が多いことが分かりました。
今後の勉強で不安なところは…各部材の断面検討、接合部の検討、そしてどの材種・金物を選定するのか?というのが未知の領域すぎるところです…
恐れをなしていては始まらない!一項目ずつ、地道に勉強していこうと思います。