NetflixかAmazonプライムで見た胸糞悪い海外映画5選
この記事がめちゃくちゃ面白かったので、勝手に海外編をやってみたいと思いまーす。NetflixかAmazonプライムです!
クライマックス
『カノン』、『アレックス』などの作品を世に出した、みんな大好き(大好きじゃない)ギャスパー・ノエ監督の相変わらずの一作といった感じの映画。人里離れた廃墟に22人のダンサーを集めてオーディションをした後の打ち上げで、バカがこっそりサングリアにLSD(ドラッグ)を混ぜたことにより、とんでもないことが起こってしまったという映画です。実話が基らしいですけど、大幅に脚色したそうな。まあ、そうでしょうね。
物語に筋というものはほとんどなく、LSDをたらふくキメたダンサーたちがトランス状態に陥って、常識外れのことをやりまくるだけです。ひたすらキマった状態で踊り続けてたり、幻覚を見ながら小便をまき散らす女だとか、妊娠してる女に集団で暴行を加えたりだとか、もう無茶苦茶。とにかくひたすら理性のない人間の動きを見せられるので、気分が悪いんですよ。しかも全員ガチのダンサーだから異常に動きにキレがあるんですよ。なんつうか、人間の形をした活きのいいエビを見ている感じ。やでしょ、モラルも理性もないエビ。
『ドッグヴィル』『ダンサー・イン・ザ・ダーク』などのラース・フォン・トリアー監督、『ファニーゲーム』『白いリボン』などのミヒャエル・ハネケ監督と並んで、世界三大「人に嫌な思いをさせるために映画撮ってるでしょ監督」の1人に俺が勝手に数えてるギャスパー・ノエ監督いわく「アンチ・ドラッグ映画」だそうで、「若い人たちに見て欲しい」とのこと。絶対うそでしょ。ラストの後味の悪さも、アスファルト舐めた時くらい最悪(舐めたことないけど)。非常に上質な胸糞の悪い逸品になっております。
プリジョネイロ
みんな大好き現代の奴隷ものだぞーっ!! ブラジルの田舎から大都会サンパウロに出稼ぎに来てみたら、そこは悪徳経営者が好き放題にやりまくる地獄のようなブラック企業だったのです。
ブラジル版『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』なんですけど、さすがブラジル、ブラックの度合いがブラックを通り越して漆黒。パスポートもスマホも取り上げられ、給料は巻き上げられるし、寝床は檻の中です。逃げようとすると、ムキムキメンにめっちゃ腹パンされます。経営者は銃も常備していて、もはやブラックすぎて、コーラが白く見えるレベル。
ただ、それだけじゃないのがこの映画のさらに胸糞が悪いところ。ちょっと知恵の利く主人公のマテウスが、経営者のルカから労働者たちのまとめ役に選ばれるんです。他の労働者よりも自由を得たマテウスが次第に労働者を抑圧するプチ暴君と化していく姿を見ていると、「うわあ、俺もこの役に選ばれたらめっちゃやりそう、ていうか率先してルカに媚び売りそう」と自分の小物っぷりを再確認してしまって、本当に気分が悪いです。
ブラジルに本当にこんな限界現場があるのか知りませんけど、なんかありそうだなと思わせるところがすごいですよね、ブラジル。ただ、日本でもここまではないんですけど、搾取の構造は同じ。漆黒の果てにある無力なラストシーンを見た後に、なんだかとても強い酒を飲みたくなります。キンミヤ、そう、キンミヤのストレート梅割りがいいですね。
おとなの事情
よーし、年に1回のなかよしたちでのホームパーティーだ!!さーて、酔いも回ってきたし、今からスマホに来た連絡は全部みんなに公開することー!王様だーれだ!
なーんてノリでスマホ公開処刑をやっちゃうわけなんですが、もうこんなこと絶対やっちゃダメなのわかるじゃないですか。でもやっちゃう。それが、イタリア人。案の定、出てくる連絡が全部最悪なんですよ。ただ、彼らが悪いってことだけも言えないんですよね。もはやスマホなんか体の一部みたいなもんなので、その中身を見せるってことは全裸になるようなもの。全裸中年イタリア人です。そりゃあ、目を背けたくなるような内容も出てくるってもんですよ。
そのまま暴露大会はをどんどん増していって、倫理的に誰が一番問題ある選手権の様相を呈します。よくできた狂乱のシナリオ、そして救いのあるラスト……?は自分でご確認を。できるだけ一人がいいです。絶対に恋人と見てはいけません。そしてみた後に「ねえ、私たちもやってみる、ダーリーン?」なーんて絶対に提案してはいけません!言ったからな!言ったからな!
ちなみに日本や韓国など色んな国でリメイクされています。なんせ部屋とスマホだけ用意すればいいので金かからないですからね。日本版見てないんですけど、中井貴一100パー出てるだろと思ったら出てませんでした。ムロツヨシも出ていません。
ザ・コール
『殺人の追憶』『悪魔を見た』『親切なクムジャさん』『トガニ』『オールド・ボーイ』『チェイサー』などなど胸糞が悪いことに関しては他の追随を許さない韓国映画界ですが、この『ザ・コール』もなかなか最悪な作品となっております。韓国の映画学校には映画制作コースに「胸糞悪さ表現 上級A」とかの課程があって、みんな必修だったりするんでしょうか。
あらすじとしては、2019年、ある家で電話を受けた主人公ソヨンは、電話の先のある女性ヨンスクから助けを求められます。何度か話すうちに、なんとその電話の相手が1999年を生きていることに気づくのです。そして、女性は実の母親に虐待されて殺されようとしていました……という感じの入りになっています。
韓国映画はよく過去と未来が繋がるのですが、特にその繋がる部分の原理の説明をしないのが潔くていいですね。科学とか、どうでもいいんです。そのおかげかはしりませんが、とにかくハラハラドキドキさせてくれる上質スリラーに仕上がっています。もちろんフリースタイル胸糞選手権でも母親のわけわからない虐待とかできっちりとポイントを取っていくのですが、途中から「あれ?」ってなったところで、胸糞ポイントがめちゃくちゃに跳ね上がるんですよね。この映画が反転するポイントが実にうまくて、それが余計に最悪さを加速させます。詳しく言うと全部ネタバレになっちゃうので、ここから先は映画を楽しんでください。知らない電話には出ないほうがいい in the World !!!
屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ
正確に言えば、2年前くらいに映画館で見て、最近もう1回見直した作品で、2回ともきっちり最悪でした。2回見るものではないですし、別に1回も見なくてもよし。内容は、1970年代にドイツに実在した連続殺人鬼フリッツ・ホンカの活躍を余すところなく描いた殺人鬼ダイアリー。そんなもん描く必要があったんでしょうか。
さて、主人公のホンカの最悪ポイントを1つずつ上げていくんですが、まずですね、相手が適当すぎるんですよ。ホンカはマジで醜男だったために全然女に相手にされないので、部屋に連れ込むのがもう老婆とでもいっていい娼婦ばっかりなんですよね。それと一戦キメてから殺しにかかるわけです。マジで絵面が最悪です。もうちょい殺人鬼だったら相手も若くてきれいなのを選んでみるとか、そういうなんかプライドというか規則性とか、なんかあるじゃないですか、連続殺人鬼には。ないんですよ、ホンカには。ただ、なんとなく、殺す。それだけ。
次の最悪ポイントなんですけど、仕事が雑なんですよね。ホンカはアル中なので死体の細かい処理とかに頭が全く回らないんです。殺したら特になんか処理をするわけでもなく、部屋の押入れみたいなところに突っ込んで終わり。もう画面から臭ってくるようなレベルのひどいレベルの仕事。プロフェッショナルに出たら2秒で打ち切りだし、科捜研もびっくりですよ。あまりに証拠がありすぎて逆に沢口靖子がトリックを疑うレベル。靖子が落ち着くためにリッツパーティーが3回は開かれそうです。
最後にホンカが女を引っ掛けるバー「ゴールデングローブ」もひどいです。アル中しかいない本当にひどいバーで、マジで汚えんだわ。大学のときの同級生の家の中で一番汚かった部屋を、さらに50倍汚くした感じ。そりゃあんなところで飲んでたらアル中にもなるし、殺人衝動も起こるってものです。起こりません、ホンカが悪いんです。ちなみにこのゴールデングローブはハンブルグのザンクト・パウリという歓楽街に今も現存していて、「ホンカの部屋」なんて看板を掲げてたりします。どういうセンスしてたらその看板出してそれで笑わせようって気になるんでしょうか。
みなさんもぜひホンカになりきってドイツの最悪の夜を過ごしてはどうでしょうか。ちなみにこの作品の監督ファティ・アキンは『女は二度決断する』という映画も撮っていて、それも後味はめちゃくちゃ最悪です。
さて、どうでしたでしょうか、胸糞悪い海外映画は。ぜひ見て気分を悪くしてください。最後に、胸糞悪くないけど、最近見た中で全然面白くなかった映画を紹介して終わります。
『スパイダーヘッド』!!!
なめてんのか!