【ベスト4敗退国】うろ覚えで振り返るEURO2020
どっちもとってもよい試合だったなー。ラストは1試合のみ!!
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スペイン
何がカウンターだ、めちゃくちゃポゼッションしてんじゃねーか!何がトラオレ列車だ!(俺しか言ってない) トラオレのユーロ出場時間は13分でした。メディアから疑問視されるメンバーで臨んだスペインだったが、1戦目、2戦目は低空飛行。圧倒的に押しながらスウェーデン睡眠装置に眠らされた1戦目、ジェラール・モレノが外したPKを押し込もうとしてモラタが外したポーランド戦と共に引き分け。しかし、3戦目でキャプテン・ブスケッツが復帰してようやく爆発。圧倒的なパス回しからドゥブラフカのAクイックオウンゴールを誘発し、最終的には5-0の完勝。それまでは地球が滅亡するまでパスを回し続けそうだったが、ようやくブロックの中にボールを差し込める頻度が増えてきた。ベスト16のクロアチア戦も圧倒的にボールを支配するが、ウナイ・シモンのファンタスティックオウンゴールが炸裂。
この後スーパーセーブ連発してるんだよな
しかし、これに動じずに得点を取り、終盤までに3-1と勝ち越しながらも、モドリッチ率いるクロアチア軍に理屈に合わない2失点で延長へ。ただ、そこでさすがに力尽きたクロアチア相手に2ゴールを決めて勝利。ベスト8もスイス相手に先制して支配しながらも追いつかれる展開。スイスのフロイラーを謎退場させてくれた主審のナイスアシストを生かせずにまたも延長戦に突入する。そして、PK戦ではウナイ・シモンが左右ステップで相手を幻惑してシュートを止めて勝利となった。そして、イタリア戦は今大会ベストの内容。ダニ・オルモの0トップという秘策が大当たりで、試合のほとんどの時間で中盤で優位を保って、絶好調だったイタリアを自陣に釘付けにした。ダニ・オルモの出来は素晴らしく、ボールを受けてはターンして相手の逆を取ったり、絶妙なワンタッチの落としを連発しており、解説の関塚@催眠術師さんをダニ・オルモ素晴らしいbot化させていた。圧倒的スペインペースで前半を終えるも、後半60分には一瞬の隙でDFラインを突かれたボールを処理しきれず、最後はキエーザの右足一閃で先制点を決められた。この時、キエーザに対面していたガルシアの「俺はちゃんと守ってるぜ」というアリバイ守備はかなりガルシアっぽかった。なんなんだよ、そのちょこっと足出したやつ。そこから躍起になって攻めるも、「守ると決めた」イタリア相手にはなかなか崩せなかったのだが、80分に途中投入されたモラタが一瞬のエアポケットを突いてダニ・オルモとのワンツーで同点ゴールをゲット。今大会乱高下するモラタ株がストップ高を記録した瞬間である。そして、試合は延長へ。さすがに疲れたスペインとPKを覚悟したイタリアは両者ゴールを決めることができず、PK戦へ。1人ずつ外した後の4人目でモラタが無職のドンナルンマに止められて、ジ・エンドとなった。PK戦前になぜかやたらとご機嫌だったキエッリーニに毒気を抜かれてしまったのかもしれない。
ジョルディ・アルバ「なにこの1杯引っかけてきたおっさん…」
惜しいところで負けはしたものの、今大会のベストゲームをイタリア相手に披露しながらのベスト4は、戦前の期待値よりは遥かに上だったのではないか。ここで決め切るという決定力がないのはもうお国柄だから諦めるとして、ブスケツ中心のポゼッションサッカーは実現できていたし、ダニ・オルモ、オヤルサバル、フェラン・トーレス、ウナイ・シモン、ペドリという若手がかなり使えることもわかったので、来年のW杯は楽しみではないだろうか。ただ、「何もしてないのに壊れた」「口の中でとろけてく」「偽装建築」「虎じゃなくて羊になった我が友、李徴子」と評判のCBはいくらなんでも強度がなさすぎて常に事故の臭いしかしなかったので、何とかしたほうがよい。ラポルトとガルシアにブスケツのアンカーで守れというのは、豆腐で作った家で台風を防げというようなもので、さすがに無理である。あと、今大会延長も含めてほぼフル出場だったペドリ18歳は、ボールの扱い、オフザボールの動き、守備、パス出しと凄まじい才能を披露して代表の中心となたったのだが、この後のオリンピックにも出場するようで、さすがに児童労働でEUから訴えられませんか。クロアチア戦で最後の2分だけ交代させるというの、いかにも法の網を潜り抜けてる感じがして笑えたのだが、裁判では負けますよ。そして、プレー的には今大会あんまり何もしてないが、大会ナンバーワン“男の涙を受け止めてきた”チアゴ・アルカンタラさんを最後にどうぞ。
これは惚れる
・気になった選手 アルバロ・モラタ
今大会で最も毀誉褒貶が激しかった選手なのではないか。1戦目では決定機を外し、2戦目ではPKを押し込もうとして失敗、3戦目では得点したもののPKは失敗、ベスト16では決勝ゴールを記録、ベスト8は無得点、そしてベスト4では起死回生の同点ゴールを決めるもPK戦では失敗。スペイン国民はけなしたり褒めたり忙しかったのではないだろうか。
ずっとこんな感じである
裏抜けも得意としているので、ゴールするもVARでオフサイドというモラタムーブが随所で起きるのも、評価がネタっぽくなってしまう要因だろう。しかし、そもそもスペインの1トップというものはパスワークに絡めるかとか、献身的にオフザボールの動きができるとかがまず重視されるので、自然と問答無用のパワー系・決定力系FWは除外されていくので、ある程度ネタ枠になってしまうのは仕方がないというのがフェルナンド・トーレス大先生以来の伝統である。
モラタ自身に面白発言が多いのも絶対影響している
散々言われすぎて嫌になったのか、クロアチア戦延長で決勝点を上げた後、武装解除したクロアチア相手に見せた永久死体蹴りムーブは狂気を感じるほどだった。これは2012EURO決勝でほぼ戦意を喪失したイタリア相手に1人だけ元気に死体蹴りを続けていたトーレス大先生を彷彿とさせるものであり、やはりモラタはプレースタイル的にも師匠の正当後継者と言わざるをえませんね。今回の件を含めてさらにモラタが好きになったので、来年のW杯でもモラタらしいストライカー像を貫いていって欲しいと思います。
まあこの瞬間絶対外すと思ったよね
デンマーク
ベスト4で散ったが、今大会はデンマークの大会と言っても過言ではなかったのではないだろうか。初戦で大黒柱エリクセンが試合中に倒れるという大事件が起き、こんなことあったらまあ普通は負けます。2戦目も相手がベルギーということで善戦したのだが惜しくも敗戦。そして、3戦目ではきっちりとロシアをボコって決勝トーナメント進出。ここらへんから世界がデンマーク推しになってきましたね。ベスト16ではウェールズを普通にボコり、ベイルをゴルフに早く行かせてあげる優しさを見せた。ベスト8では難敵チェコを相手にががっぷり四つの展開から90分で勝ち切るという強さを見せた。この時のホイビュアの男泣きはグッときましたね。
イカつい男の涙はズルい
そして、ベスト4でここまで悠々と勝ち上がってきたイングランドと対戦。敵に嫌がらせをすることに全リソースをぶっこんでいるイングランドに苦戦するが、30分にエリクセンの代役として今大会活躍を続けるミッケル・ダムスゴーのFKが炸裂。縦に落ちる美しい軌道のFKはピックフォードの手が届かずにゴールに突き刺さった。
今大会のベストFK候補
今思えば、そこからピックフォードがしばらくバグっていたので、ここで追加点が欲しかった。10分後にはケインのスルーパスに裏抜けしたサカのクロスをカバーに入ったケアーがOG。まあ触ってなかったらスターリングが押し込んでいたから仕方ない。後半は圧倒的にイングランドのペース。後ろに十分人を残しながらスターリング、サカ(途中からグリーリッシュ)が溜めて、そこにルーク・ショー、ライス、フィリップス、あたりが絡んでくる攻撃は単純だが非常に強烈なパンチ。デンマークは時折カウンターを繰り出して耐えるが、後半30分過ぎにはほとんど攻撃ができなくなっていた。それでもなんとか耐えきって延長に持ち込んだのだが、そこで大事件発生。PA内にドリブルで切り込んだスターリングがパッと見にはダイブとしか見えない倒れ方でPKをゲット。VARも発動せず、そのままPKとなり、PKはケインが一度止められるも押し込んで2点目。もうデンマークに反撃する力は残っていなかった。
羽毛かお前は
ほとんどサンドバッグだったのでPKがなくてもかなり劣勢だったことは否めないが、PK戦までいってればどうなっていたかわからないので、ピッチにボールが2個入っていたことを見逃していたのも含め、これは非常に残念なジャッジだった。ともかく、これで大会は終了。世界中から愛されたチームの冒険は終わった。とにかく勤勉なチームだった。GKシュマイケルはパワーがあって、鉄壁。最終ラインのクリステンセン、ケアー、ヴェスタゴーはちょっと遅いが固くて強く、その前でフィルターをかけるディレイニーとホイビュアは無骨だが確実でタフだった。前線はブライスワイトはイマイチ軽かったが、ダムスゴーはエリクセンの代わりとして十二分に機能。左サイドを駆け回ったメーレ、決勝トーナメントで覚醒したドルベリと要所でよいタレントが活躍していた。プレビューでは「全員2番セカンドみたいなスタメン」と書いたが、エリクセンが倒れたことでその結束が強まり、全員がクリーンアップみたいなパワーを発揮していたような印象がある。サッカーはメンタルスポーツですな。突発時に対応した選手も素晴らしかったが、その後にきっちりとメンタルをコントロールできた監督・スタッフも素晴らしかった。そして何よりもエリクセンが助かってよかった。次回W杯に向けてその結束力をさらに高めるために、大会後にはスターリングを攫って体育館裏に連れていき、二度とダイブする気がないくらいにかわいがってあげて欲しいものである。
・気になった選手 ミッケル・ダムスゴー
ベスト・サプライズ・プレイヤ―賞があったとしたら、今大会はダムスゴーが受賞するのではないか。「とりあえず入れとくか」くらいの枠だったはずが、エリクセン不在となってからは大車輪の活躍。ロシア戦の鮮烈なミドル、イングランド戦のFKなどきっちりと印象に残る得点を上げただけではなく、守備で走り回り、前線のギャップで受けるテクニックを見せて攻撃を牽引した。めちゃくちゃ華奢に見えるのだがボールを失わないし、ブライスワイトは判断悪くて縦がんがん行っちゃえマシーンで、ドルベリは男は黙って得点しろタイプなので、普通に前線の軸となっていた。代表でのエリクセンの正統後継者になりそうなのだが、今のところ生え際も正統後継者っぽくなってるので、早めにいい薬を使って闘っていってほしい。今大会の活躍で移籍金も3倍から5倍に跳ね上がったと思うので、一番喜んでいるのは所属しているサンプドリアかもしれんね。ただ、唯一不満の残ったのはダイブの技術。ベルギー戦で披露したダイブは、Distance(距離)、Decision(決断のタイミング)、Direction(方向)というダイビングの3D原則全てで最低の出来でした。ベスト4では敵チームながら、ラヒーム・スターリングさんという絶好のお手本が出てきたので、参考にしていただければ幸いです。まずはダイブの大家アシュリー・ヤングが描いた『俺とダイブ その基本姿勢と精神』という入門書から始めるのがよいでしょう。それと、飛び込み競技のオリンピック代表に選出おめでとう、スターリング先生!
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