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キング砥石の10Good「砥ぎ場」新聞掲載

バイヤー、一人問屋の日野明子さんが10Goodの砥ぎセット「砥ぎ場」を読売新聞の夕刊の連載で紹介してくれました。
14年目、今回で終了とのことですが、砥石を選んでくださりました。

2024年8月6日 読売新聞夕刊 いま風

日野さんとの出会いは大学3年に遡ります。友人の桑野と2人で活動していた時に高岡クラフトコンペに出店して入選にも満たないような結果だった試作をコンペの図録に載った小さな画像から見つけてくれて連絡をくださり新宿駅で会いました。それから色んな企画に声をかけてくれて、鍛えてくれて。日野さんほどつくり手との関係を大切にされているバイヤーは知りません。
どんな小さなコラムでも、つくり手は常に変化、成長しているから今の話を聞いて書きたいと毎度東奔西走取材に行きます。実際にばったり産地や現場でお会いすることもしばしば。それゆえ、つくり手からの信頼はぶ厚い。日野さんから話を聞いて買うことでつくり手には会ってないし現場にも行ってないけどそのものに長い付き合いになりそうな安心感と親しみを持った状態からものづきあいが始まるから不思議。

日野さんとのお付き合いの話に戻すと、大学を出て桑野と2人で良品計画のデザイナーになったときには「私の目に狂いはなかったわ」と喜んでくれました。無印良品の器のデザインをしていることを報告したときだったでしょうか、工業デザイナーの秋岡芳夫さんが書いた「食器の買い方選び方」の古本を譲ってくれました。秋岡芳夫さんは工業デザイナーで日野さんの大学の恩師でもありました。1970年代に「消費者をやめて愛用者になろう」と消費社会にいち早く警鐘を鳴らしました。経済成長に沸く日本で、量産を前提とした工業デザイナーという自分の仕事自体も問い直し立ち止まりました。

日野さんの仕事の仕方に大きな影響を与えた秋岡芳夫さんのことが気になり古本を少しづつ買い集めました。寝食を忘れてプロダクトデザインのアイデア出しと模型制作に夢中になっていたデザインオタクに、秋岡さんの半世紀ほど前になるメッセージは効きました。その著書の中で、必ずと言っていいほど砥石のことが書かれていて、今回キング砥石の仕事をする上で見直していたところ、キング砥石を使っている様子も確認できました。それもそのはず。職人も家庭も刃物を砥ぐという技術は今よりはずっと身近だったから。


木工(道具の仕立て) 手づくりの原点を探る 秋岡芳夫 美術出版社 1976年初版


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はじめに

ホモファベルのために書きました 

ー地球に砥石を固定するぐらいのつもりで、流しに砥石を据えました。素人のぼくにはこうしないと、いい研ぎができません。
大工をまねて庭先にしゃがみこんで研いでみましたが、大工のようには研げませんでした。大工と同じ方法でやったんでは大工以上の研ぎはできません。

 本職のよりいい道具を買おう、揃えよう。
本職よりもていねいに道具を仕立てよう。仕立てにたっぷり時間をかけて、本職も持っていないような治具・工具を、自分で工夫して自分で創ろう。そう考えている仲間がよって、
この本づくりを手伝ってくれました。

<木工(道具の仕立て) 手づくりの原点を探る 秋岡芳夫 美術出版社 1976年初版>より

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木工(道具の仕立て) 手づくりの原点を探る 秋岡芳夫 美術出版社 1976年初版

10Goodというキング砥石創業以来初の自社で販売するブランドをつくるにあたり、5代目・渡辺敏郎くんに秋岡芳夫さんのことや日野さんのことを話しました。既存の問屋さんとの仕事は大事にしながら、自ら砥石の使い方を伝えていきたいと社長交代に向けて砥ぎを学んだり着々と準備をしていた当代にとっては大きな支えになったと思います。そんな日野さんから新聞掲載の応援歌が届いたのでした。

10Good 砥ぎ場 

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