副業について
政府の新しい資本主義の政策の一環でスタートアップ振興というのがありますが、この流れで副業の解禁もされることになっています。というかもはや明確な理由なしに企業は副業を断ることができなくなります。
経営者的視点にたてば本業をおろそかにされても困る云々と従業員を縛り付けたくなる衝動に駆られるでしょうが、副業にも色々とメリット(経営者側視点でも)はあります。
かくいう私も何度か副業はしてますが、エンジニアにとって副業はだいぶやりやすい環境になってきたかと思います。出社を伴うものか、在宅でもいいものかにもよります。出社OKで開発ができるというエンジニアで、かつ最大週5可能という人であれば仕事はかなり選べるのではないでしょうか?それほど最近はエンジニアのニーズが高まりすぎているという状況でもあります。ただ、一昔前の在宅NGという企業側の条件は、ほぼ撤廃されてきています。コロナでのリモート推奨が背景にあります。これのおかげで東京の会社の仕事を沖縄や北海道で受託することも出来るようになります。
これの何がすごいって、賃金格差みたいなものは解消されてスキルさえあればフラット化されるということです。例えば北海道は平均年収は447万に対して、東京は620万円です(Hurex参照)。ところが東京の企業の仕事を受ければ北海道在住でも高単価の仕事を受けられるので副業で本業並みの収入を稼ぐのも不可能でないと思います。
私の知り合いで湘南界隈に住んでいる起業家がかなりいるのですが、もともと東京にいたのにそちらに移住してきたという人もいます。感染者や密集を避け、もしくは東京のコミュニティに馴染めないという人がどんどん他のエリアに移転してきているのです。当然物価は安いし、環境もガラリと変わるし、収入がきちんと入れば、生活の質も向上という点で考えるとアリと言えます。他の知り合いには2拠点生活している人もいますし、Addressで全国回ってワーケーションしている人もいるから、かつて無いほどに自由度は上がっています。たとえ社員採用だったとしても、必要なとき以外出社しなくてOKとなれば住んでいる地域を限定しないで採用してもらえる世の中になってきています。
実はこの副業エンジニアは冒頭に書いた通り、スタートアップ振興の一つの切り札でもあります。なぜなら立ち上げたばかりのスタートアップには人材を雇用するだけの資金余力もないので、安価で獲得できるエンジニアほど貴重な存在はありません。本業で生計を立てているからこそ、副業での報酬に関しては相談ベースにしやすいというのがあります。例えば時給単価2000円台や3000円とかでも副業エンジニアとしてやりたい仕事であれば、その金額で受けるということも考えられます。10年くらい前だと副業が禁止されている企業が多くて、カルチャーも浸透してなかったので、どうしてもボランティアベースでやってもらうことも多かったように思います。ボランティアベースの何が問題かというと、エンジニアとしてはなかなかコミットしづらいのでプロジェクトが進行しないというジレンマに陥ります。
よくあるパターンが、ハッカソンであるアイデアに人が集まってきて、週末の2日や3日で簡単なデモを作るところまではみんな協力してくれたのだけど、せっかくハッカソンで優勝したのに、そのあとの継続開発までは協力してくれなかったというケースです。やってくれても長期にはコミットできずそのままそのプロジェクトは五月雨式に解散というのは結構あるかと。
最近では簡易的な起業体験をしたければハッカソンで、本気で事業立ちあげたい人はスタートアップスタジオを活用するようになってきました。
さて、我がフレンバシーでも過去には何名かの副業エンジニアにはお世話になりました。いくつか重要な機能を作ってもらい、事業進捗につながったところもあります。一方で色々とコントロールが難しいと感じたところもありました。もちろん本業があるので、時間数をコミットしてもらうのは難しく、どこまで進めてもらえるかが不確定というところはあります。
とはいえ、キッチリやってくれる方もいて、このあたりは副業エンジニアによるということもわかってきました。
一つ大事な視点として、副業エンジニアは将来の社員エンジニアという考え方があります。お試しで仕事して、お互いに相性を見極めるという考えです。企業としては単純にコストを抑えるためだけに副業エンジニアを採用で、ある種パーツを補うように一部の仕事をアサインするという考え方では副業エンジニアとのいい関係性は作れないのかなと。エンジニア側としては将来の転職先候補、企業としては社員候補ということでお互いに譲歩し会える関係性を作れるようであればいい出会いになるかもしれません。
ちなみに今年3月の記事ですが、副業経験ある人は3割以上もいるとのこと。
ちなみにユーグレナでは副業は推奨されており、社長自らやっているので気を遣う必要がありません。大事なのは従業員側としてはどちらの仕事もきっちりやるということと、本業に対しては学んできたことを活かして仕事に付加価値をつけていくことなんじゃないかなと思います。
自分の場合だとRubyの書き方やアジャイル開発の進め方など、現場でなければ学べないことがたくさんありました。それらを本業にも随時導入しては人がいてもいなくても回せるような体制を維持してきました。
ただ、これはエンジニア特有のものもあるかもしれません。意外とビジネス職の副業先というのは多くない印象です。これを読んだ企業の方が部署の仕事のいくつかでも外部の副業ワーカーに開放してくれたらと思わずに入られません。
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