パリ親子二人旅〜6日目
そろそろパリの街にも行くところがなくなりつつあるので、この日は朝からルーアン(Rouen)へ。理由はアパートメントホテルから最寄りのサンラザール(Saint-Lazare)駅から直通で行けるから。
久しぶりに来たSaint-Lazare駅は構内がびっくりするくらい綺麗になっており、非常に機能的。
またチケット購入に並ぶかと思いきや、ノルマンディ方面のチケット売り場は空いており、5分ほどであっさりチケット購入が出来た。
そして何より感動したのが、そのでサポートしてくれた駅員の女性の優しさと細やかな気配り。日本にいても上位の接客レベルで、他の平均的なサー日クオリティがあまりに残念なフランスにいると、こういったサービスの素晴らしさに感銘を受ける。
電車も中は綺麗で、Classe 2 でも十分快適。
社内ではMacBook AirでNoteの記事を書いているうちに、1時間半ほどでRouenに到着。
如何にもノルマンディ地方という鈍色の曇り空で、これもまた風情があって良い。
街並みはパリと違って巨大な建物が無いので、パリ以上に中世の雰囲気が感じられる。
まず目指したのは、一番の見所であるノートルダム大聖堂(Cathédrale Notre-Dame de Rouen)。
この大聖堂はモネが多くの絵に残したことで有名。
着いたのは午前中だったが、中に入れるのは14時からとのことで、そこから歩いてジャンヌ・ダルク教会(Église Sainte-Jeanne d’Arc)へ。
Googleフォトの履歴観ると、前回家族で訪れたのは2010年だったので、実に14年以上ぶりの再訪だ。
この教会のある広場は覚えていて、小さい頃の子供達を連れてきた記憶がよみがえる。
この教会の作りは非常に独特で、教会自体は大きな螺旋構造のカタツムリの殻の中のようになっており、そしてその外側にある三角屋根の建物の中はマルシェになっている。
歴史と建築と現代の生活が一体となった空間で、実に面白い。
お昼は14年前に家族で食事したのと全く同じレストランにて。
地元の人も多く訪れるようなレストランで、食事もいかにもフランスといった感じで美味しかった。
鴨のコンフィを堪能した後は、定番のクリームブリュレ。
日本人的にこの量は一人には多いので、息子と二人でシェア。
これがまたスタンダードかつ絶品で、カラメルのカリカリ感と中の生っぽさ、クリーミーさが素晴らしい。
二人で食べながら、なんでこんなに美味しデザートを作れる技術がありながらパスタになるとあそこまで不味くなるのかという話で盛り上がった。
観たかったジャンヌ・ダルク博物館(Historial Jeanne d’Arc)はあいにく月曜日の今日は休みだったので、食後は大聖堂に戻って中を見学。
驚いたのは、大聖堂は第二次世界大戦でかなりの損害を受け、その後12年以上かけて教会として再公開されたよう。
修復作業は今も続いており、大聖堂の尖塔にはクレーンがかかっていた。
丁度ノルマンディ上陸作戦が始まる直前の第二次世界大戦末期に、ナチスドイツ軍に選挙されていた街を連合軍が爆撃することで奪還を図った際に大聖堂もかなりの部分が崩落してしまったのだった。
400年以上かけて建築された大聖堂が一瞬のうちに破壊され、そして80年以上経った今もその修復が続いている。京都出身の人間として、これ以上歴史的建造物の無為な破壊が起きないことを願うばかりだ。
その後は街の中心から少しだけ外れたルーアン美術館(Musée des Beaux-Arts)へ。
この一般公開無料の美術館が、想像以上に素晴らしく、個人的には最も記憶に残る訪問となった。
モネが大聖堂の絵を数多く残していることからも、この美術館は印象派の作品が数多く展示されている。
これまで印象派の作品はぼんやり取りしていてあまり好みではなかったが、当時のサロンで新しい表現を作ろうとするその情熱とモネ自身の年齢とともに変化する作風を知るにつれ、絵の奥にある背景に惹かれるようになった。
そして何より美術館訪問を彩ってくれたのは、通りすがりのおじいさんがホールに置かれただれても弾いていいグランドピアノで弾き始めたピアノのメロディー。
ホールの広さとそこに飾られている大きな絵画と相まって、聴き入ってしまうような演奏だった。
こんな瞬間に日本よりも気軽に出会えるのはやはりフランスならでは。
芸術に対する向き合い方が実に自然で、肩肘を張らずに参加型で楽しめるのは素敵だなあと思ってしまう。
駅までの帰り道にはたまたま見つけた塔があり、何やらダンジョンゲームをやっているとの説明書きがあって興味を引かれたが、後から調べてみるとこれはジャンヌ・ダルクの塔(Tour Jeanne d’Arc)で、実際に彼女が幽閉されていたらしい。
寒くなってきたので、この日は18時過ぎの電車を1時間早めてパリへの帰路についた。
郊外の旅も満喫して、旅は後半7日目に続く。