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俺のCD棚 第10回
今回は、Asgeir 【IN THE SILENCE】
Asgeir(アウスゲイル)は、アイスランド出身で、幼い頃から楽器に触れていたおかげで、数多くの楽器を演奏できる多才な一面を持つシンガー・ソングライター。今までに何度か来日ライブも経験しており、フジロックでそのパフォーマンスを見た人もいるかもしれない。こちらは2013年にリリースされた、1stアルバムの英語版。
楽曲については、アコースティックギターを主軸にしたフォークソングに、電子ドラムの独特なリズム・エレクトロな音が組み合わされた、ミニマムでアンビエントな雰囲気が特徴。全体的にリズムは跳ねているがダンスっぽい感じは皆無で、むしろ暗く静かな曲調が最後まで一貫されている。曲によっては様々な音を重ねて録音されており、耳を澄ますほどに新しい発見があるので、イヤホンで聴くのが一番おすすめのアルバムである。
一曲挙げるとすれば、4曲目「KING AND CROSS」。こちらはFM802のヘビーローテーションにもなった名曲。耳をもっていかれてしまう程きれいなギターの音色から始まり、単調なようで実は複雑な展開から、ファルセットボイスが利いたサビまで持っていく流れが素晴らしい。
この何とも言えない、アナログとデジタルが融合されたことによって得られる不思議な浮遊感は、今聴いても変わらず新鮮に感じられ、それがこのアルバムを気に入っている理由でもある。
ジャケットは、本人の顔写真を加工した抽象的なイメージ。開くと、黒を基調とした全体像に光を当てられたような色のグラデーションが、タイトルの「静寂」と、しかし実は幾重にも重ねられた音から構成されている複雑さを連想させる、秀逸なデザイン。
※写真当時のAsgeirの年齢は21歳(見た目以上に若い!)。
因みに彼の家族も同じく音楽家で、なんと彼の父親がこのアルバムに収録されている楽曲の作詞のほとんどを手掛けているというのだから凄い。そもそも1stアルバムの段階から家族ぐるみで活動するなんて、なかなか珍しいケース。まあ、親子の仲がいいのは良い事である。
以上、第10回でした。次回は、既に世界的な人気がありながら、同じようなテイスト(ミニマム・アンビエント・エレクトロetc…)の音を追求していた時期があり、Asgeir同様ファルセットボイスが特徴のボーカルを擁する、挑戦することを恐れないロックバンド、COLDPLAYのアルバムを紹介します。
それではまた。
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