俺のCD棚 第29回
今回は、NELLY「SUIT」。
NELLYは、2000年~活躍しているラッパー。
今でこそ当たり前に浸透しているが、メロディに乗せて歌うようにラップするパフォーマンスの先駆者で、セントルイス訛りの英語の響きも相まって独特なファンキーさを感じるため、英語がわからなくても雰囲気だけで十分に楽しむことのできる曲が多く、いい意味で聴くハードルが低い。
※ネイティブの人が聴いても、当初は「何言ってるかわからないけど、なんかカッコいい」と感じたようだ。
このCDは、そんな彼が「SWEAT」と2枚同時でリリースした、所謂コンセプトアルバムで、当時のインタビューによると、「HIP HOP版のホワイトアルバム(言わずと知れた、ビートルズの名盤)」を目指して作られたアルバムの内の一枚である。
このアルバムとの出会い
当時(2004年頃)、社会人としてなんとなく大人の仲間入りをした時期で、今思い返すと、「大人らしさ」みたいなものへの強烈な憧れを抱いていたように思う。
そんな時に、ふと聴いた「Dilemma」がとてつもなくお洒落で、自分が求めていたムードはこれなんじゃないかと思って、その時新譜で出ていた2枚を衝動買い…今では淘汰されてこの1枚のみ所有…に至る。
※なぜ、「Dilemma」が収録されたアルバムを選ばなかったのかは謎だが、時折聴いてみると、当時の色々な事を思い出すことが多く、個人的には「若気の至り」みたいな位置付けのアルバムになっている。
楽曲について
R&B寄りの楽曲が多く、従来のHIPHOPのイメージとは裏腹に、アルバム全体にわたって都会的でお洒落な雰囲気が漂っていて、夜にゆったりと聴くことができる。
彼の出世作である、「Dilemma」収録の「Nellyvill」で脚光を浴びた、メロディアスな側面がより強調された印象で、当時のリスナーのリクエストに全力で応えた、とも捉えられるかもしれない。
※因みに「SWEAT」の方はというと、ラップ主体のマッチョなイメージが強く押し出されており、俺は断然「SUIT」が好み。
ちょっと頑張った平日の夜に、ビールならプレモル…など、いつもより奮発したお酒をお供にリラックスして聴くのがおススメ。
一曲挙げるとするならば、3曲目「My Place」。
真っ先にシングルカットされた曲でもあるので、聴いた事がある方も多いのではないだろうか。
メロディやフィーチャリングされたボーカルの良さもさることながら、サンプリングネタも秀逸で、掘り下げていく楽しみ・発見があるのがまたたまらない。
ジャケットについて
2枚が対になっていることを表現するかのように、スーツを着こなした本人の顔半分だけを写したものになっている。
しかし、カッチリした着こなしではなく、派手なアクセサリーやカットソーを合わせているあたり、ギャングスタの正装といった感じで、そこはやはりラッパーだなあ、と思うところである。(因みに、裏側はこんな感じ)
以上、約半年振りの再開となった、第29回でした。
次回は、「JAZZはお父さん SOULはお母さん」でお馴染み、大阪発・生音でHIPHOPを体現するクルー・韻シストのアルバムを紹介します。
それでは、また。