ドラマ脚本「チョイスマン」※YouTubeにて公開
「チョイスマン」
人間は日々選択の中で生きている。
自身でそれを選び、自分にとって最善の道を歩もうと努める。
時はそれがマイナスになろうとも、選択肢から逃れることはできない。
何故なら選択をしないということも、一つの選択になりうるからだ。
しかし、その選択を第三者が決めることになったら。
愛するものの死の運命を避けるため、主人公のいおなが立ち向かう。
登場人物
・いおな:オネエ。椎名のことが好き。
・チョイスマン:いおなの前に現れる。
・椎名淳:家が貧しいが良い奴。
・成田洋平:口が悪い椎名の友人。実は…
――――――――――――――――――――
椎名、早朝ランニングをしている。
いおな、その様子を見ている。
いおな「はぁ~、かっこいいわねぇ」
椎名、走るのを止め汗をぬぐい水を飲む。
いおな「あの走っている姿、汗をぬぐう姿、水の飲み方、どれをとっても ス・テ・キ」※ト書きと連動
椎名、水を頭からかける。
いおな「そしてお決まりの・・・(椎名の水かけ)」※ト書きと連動
いおな「はぁ~、もうたまらない!」
椎名、再び走り出す。
いおな「いつか・・・この気持ちを伝えられたらなぁ」
いおな「って、私これじゃあストーカみたいじゃない!」
椎名、靴紐がほどけるが気づいていない。
いおな「あ、椎名君靴紐ほどけてる。あれじゃ転んじゃう。・・・でもいきなり話しかけたら毎朝私が来てるのがばれちゃうし」
椎名、そのまま走る。
いおな「・・・まぁ、椎名君なら気づくわよね、大丈夫」
チョイスマン「選択肢①、『彼が転ぶのを止めるか』」
いおな「!?」
チョイスマン「選択時間は30秒です」
いおな「・・・は?」
チョイスマン「29・・・28・・・27・・・」
いおな「ちょ、ちょっと!誰よあんた!」
チョイスマン「私はチョイスマン。未来への選択肢を与える者」
いおな「選択肢?」
チョイスマン「彼の靴紐。ご覧の通りほどけている。彼は気づいていない。このままいけば彼は転んでしまう。しかし、今あなたが彼に靴紐がほどけていることを伝えれば彼は転ばずに済む。さぁ選択です!」
いおな「そ、そんなの椎名君が自分で気づくかもしれないし・・・てゆーか転ぶ確証だってないじゃない!」
チョイスマン「いいえ。彼は必ず転びます。その未来を変える選択肢をあなたは握っているのです」
いおな「なんでそんなこと言いきれるのよ!」
チョイスマン「・・・私は未来を知っているから」
いおな「そ、そんなはず・・・」
チョイスマン「時間切れです!」
ドサッと人の転ぶ音がする。
椎名転んでいる。
いおな「な!?」
チョイスマン「選択肢①の結果、『止めない』。従って選択肢②Bへ移行します」
いおな「・・・もしかして、本当に未来を知ってるの?」
チョイスマン「はい」
いおな「じゃ、じゃあ私の未来も知ってるの?」
チョイスマン「知りません」
いおな「なんでよ!」
チョイスマン「私は死期の近い人間の未来しかわかりません。あなたはまだ死期が遠いのでわかりません」
いおな「じゃあ私はまだまだ長生きってことね!よかったぁ!・・・ん?あれ?っていうことは・・・」
チョイスマン「・・・。」
いおな「椎名君はもうすぐ・・・」
チョイスマン「死にます・・・。」
いおな「そんな!何とかならないの!?」
チョイスマン「そのために私はあなたの前にいるのです」
いおな「え?」
チョイスマン「言ったでしょう。私は未来への選択肢を与える者。だから、彼が死なない未来への選択肢をあなたに与える。そしてそれを選択するのは、あなたです」
いおな「私が、椎名君の死なない未来を選ぶ・・・。」
チョイスマン「そう。彼の未来はあなたの選択によって決まるのです」
いおな「じゃ、じゃあ今私が止めていたら・・・!」
チョイスマン「彼が死なない未来に向かっていたかもしれません」
いおな「・・・。」
チョイスマン「でも彼が死ぬか死なないかは最後の選択肢が出るまで分かりません。可能性は無数にありますから」
いおな「なら、まだ私は椎名君を救ってあげられるってこと!?」
チョイスマン「その通り。だからまだ諦めてはいけない」
いおな「・・・私、絶対椎名君を救ってみせる!だからチョイスマン!私に選択肢を与えて!」
いおな、チョイスマン、目を見合わせる。
チョイスマン「では、ルール説明をしましょう」
いおな「ルール?」
チョイスマン「はい。これにはいくつかのルールが存在します」
いおな「・・・。」
チョイスマン「ルール1。選択は合計7つ。今1つ行ったので残り6つです」
いおな「残り6つ・・・。」
チョイスマン「ルール2。選択時間は30秒。その時間が経過すると必ずその場の彼にとって良くない結果になります」
いおな「じゃあさっき椎名君が転んだのもよくない結果なんだ・・・。」
チョイスマン「ただ、さっきも言った通り『その場の彼のとって』の良くない結果なので、結果として彼の死を避ける方向に向かっているかもしれません」
いおな「本当に最後の選択肢が出るまで分からないってことね・・・。」
チョイスマン「そして最後。ルール3。選択肢外で彼の未来を変えうる行為をしてはならない。つまり私が選択肢を与えていないときに彼に干渉する行為は禁止です。もしそれを行ってしまうと・・・」
いおな「してしまうと・・・?」
チョイスマン「選択者、つまりあなたが彼の代わりに死ぬことになります」
いおな「私が代わりに・・・。」
チョイスマン「だからくれぐれも気を付けてくださいね」
いおな「わかった・・・。」
チョイスマン「以上でルール説明は終わります」
いおな「・・・」
場面転換
いおな宅、いおな、チョイスマン向かい合わせで座る。
いおな「・・・。」
チョイスマン「・・・?どうかしましたか?」
いおな「・・・1つ気になったんだけど」
チョイスマン「はい?」
いおな「あなた、ずっと居座るつもり?」
チョイスマン「はい、そうですけど」
いおな「ご飯は?お風呂は?」
チョイスマン「もちろん人並みには」
いおな「私の家で!?」
チョイスマン「はい」
いおな「うそでしょ!?」
チョイスマン「選択肢はいつ現れるかわかりませんから」
いおな「そ、そうだけど・・・。」
チョイスマン「何か問題でも?」
いおな「・・・私・・・その、オネエだから、その・・・男性と一緒に1つ屋根の下にいるのって、なんか・・・。」
チョイスマン「私のことは気にしなくて構いません」
いおな「気になるわよ!しかもそんな変なスーツ着てるし!」
チョイスマン「これは私のアイデンティティですから」
いおな「アイデンテっ?・・・はぁ・・・。もういいや。コンビニ行く」
いおな、チョイスマン、コンビニに向かう道中。
いおな「・・・ねえ」
チョイスマン「はい?」
いおな「やっぱりついてくるの?」
チョイスマン「選択肢はいつ現れるかわかりませんから」
いおな「またそれ?もう椎名君にそうそう会うわけじゃないんだから・・・」
椎名、いおなの前を歩いている。
いおな「あ、椎名君!」
椎名歩き続ける。
いおな「やっぱり、さっきの話信じられないわ。あんな元気そうな椎名君がもうすぐ死んじゃうなんて・・・。」
チョイスマン「人の死は突然やってくるものですから」
いおな「そういうものなのかなぁ」
椎名、財布を落とすが気づかず歩き続ける。
いおな「あ!椎名君財布・・・」
チョイスマン「選択肢②B、『彼の財布を拾うか』」
いおな「!」
チョイスマン「回答時間は30秒です。・・・29・・・28・・・」
いおな「財布・・・拾う!拾うわ!」
いおな、椎名の財布を拾い届ける。
いおな「し、椎名君!」
椎名「ん?あぁいおなか!久しぶりだな!どうした?」
いおな「その・・・これ・・・。」
椎名「これ、俺の財布!」
いおな「拾ったの。さっき落としたのが見えて・・・。」
椎名「まじ?ありがとう!ほんと助かった!」
いおな「い、いいのよ・・・」
椎名「ん?『のよ』?」
いおな「え?・・・あぁ!いいんだよ気にしないで!次から気を付けてよ!」
椎名「お、おう!サンキューな」
いおな「うん・・・」
椎名「じゃあまたな!」
いおな「うん、じゃあね」
椎名、立ち去る。
チョイスマン「選択肢②Bの結果、『拾う』。従って選択肢③Aへ移行します。」
いおな「これは正解だったのかなぁ」
チョイスマン「正解かどうかは結果が出るまで分かりませんよ」
いおな「でも、財布を無くしていいことなんてないし、きっとよかったのよね・・・。」
チョイスマン「選択肢③A、『彼を追いかけるか』」
いおな「え?もう!?早くない!?」
チョイスマン「回答時間は30秒です。・・・29・・・28・・・」
いおな「ちょ、追いかけるって・・・。さっき別れたばっかりなのに。どうすればいいのよ!」
チョイスマン「(カウントダウンをし続ける)」
いおな「もう!あぁ、どうしよう。・・・でも私が見てないところで椎名君が事故にあうかもしれないし・・・。」
チョイスマン「(カウントダウンをし続ける)」
いおな「・・・決めた!追いかけるわ!」
いおな、椎名の方へ走り出す。
チョイスマン「・・・選択肢③Aの結果、『追いかける』。従って選択肢④Bへ移行します。」
場面転換
いおな、椎名に追いつく。
いおな「椎名君!」
椎名「ん?あれ?いおな?どうしたの」
いおな「え?あぁ、そのどうしたっていうか・・・。」
椎名「?」
いおな(追いかけるって言って追いかけてきたはいいけどどうしよう・・・。特に用があるわけじゃないし。)
椎名「いおな?」
いおな(まして用はないけどなんて言えないし、チョイスマンのこと言っても信じてもらえないだろうし、どうしよう・・・。)
椎名「いおな!」
いおな「はい!」
椎名「大丈夫か?なんか考え込んでるみたいだけど」
いおな「え?だ、大丈夫・・・。」
椎名「?・・・ならいいんだけど」
いおな、椎名、沈黙が続く。
いおな(あーもうどうしよう!)
チョイスマン「選択肢④B、『彼を誘うか』」
いおな「チョイスマン!」
チョイスマン「回答時間は30秒です。・・・29・・・28・・・」
いおな「さ、誘うって・・・!」
椎名「え、誰ですかあなた?」
チョイスマン「(カウントダウンをし続ける)」
椎名「ちょっとあなた!」
いおな「あ、あのね椎名君!彼は私の・・・あ、いや僕の友達でちょっと変わってる子なんだよね」
椎名「あ、いおなの友達?なんだよびっくりした!俺椎名って言います、よろしくね」
チョイスマン「(カウントダウンをし続ける)」
椎名「?」
いおな「と、ところで椎名君!よかったら今度・・・。」
椎名「ん?なに?」
いおな(私これ誘っていいのかしら?もしかしたら誘わない方が・・・。いや、でもやっぱり私の目の届くところにいてもらった方がいろいろ都合がいいわよね。・・・よし)
椎名「?」
いおな「今度、ご飯でも食べに行かない?」
椎名「お、おう!いいぞ!久々に会ったしな!」
いおな「ほんと!?よかった・・・。」
椎名「じゃあ、連絡先交換しとこうぜ。よく考えたらいおなの連絡先知らなかったわ」
いおな「う、うん!」
いおな、椎名、携帯の連絡先を交換する。
椎名「じゃあ、今週辺りで都合のいい日を後で連絡するわ!」
いおな「うん!わかった」
椎名、立ち去る。
チョイスマン「選択肢④Bの結果、『誘う』。従って選択肢⑤Bへ移行します。」
いおな「ど、どうしよう・・・椎名君とご飯行く約束しちゃった!どうしようどうしょうどうしよう・・・」
チョイスマン「・・・。」
いおな「あぁ何食べに行こう、何着ていこう・・・。はぁぁぁ・・・。」
チョイスマン「・・・あの、ちょっといいですか?」
いおな「う、うん?なに?」
チョイスマン「なにか、目的を見失っていませんか?」
いおな「み、見失ってなんかいないわよ!」
チョイスマン「その割には浮かれているような・・・」
いおな「浮かれてないわよ!ちゃんと椎名君を助けようと思ってるわよ!」
チョイスマン「ならいいんですが」
いおな「ちゃんと考えてるわよ。椎名君が目の届くところにいたほうが私が助けてあげやすいでしょ!大体なによこの選択肢ラッシュ!一気に3つも来たわよ」
チョイスマン「それは私に言われても。選択肢は急に現れるものですから。」
いおな「まぁいいわよ。私がいる以上絶対に死なせない!」
場面転換
1週間後、いおな宅
いおな「はぁ~、全然連絡来ないなぁ椎名君」
チョイスマン「・・・。」
いおな「なんかあったのかなぁ・・・。」
チョイスマン「・・・。」
いおな「まさか、もう死んじゃったんじゃ・・・!」
チョイスマン「・・・。」
いおな「ちょ!何とか言いなさいよ!」
チョイスマン「・・・。」
いおな「ねえってば!」
チョイスマン「ZZZ」
いおな「寝てるの!?その態勢で!?」
チョイスマン「ZZZ」
いおな「もう・・・」
着信、いおなの携帯に椎名から連絡が入る。
いおな「あ!椎名君からLINEだ!」
椎名(おーす。連絡遅くなってごめんね。実はちょっと風邪ひいちゃってさ。だから飯行くの来週あたりでもいいかな?)
いおな「風邪!?大丈夫かな・・・。(返信する)」
チョイスマン「選択肢⑤B、『彼のお見舞いに行くか』」
いおな「え!?」
チョイスマン「選択時間は30秒です」
いおな「起きてたの!?てかお見舞いって・・・そんなの・・・。」
チョイスマン「(カウントダウンをする)」
いおな「でも、心配だし・・・よし」
いおな(そうなの!?大丈夫?よかったらお見舞い行きたいんだけどいいかな?)
いおな「送信っと・・・。」
チョイスマン「(カウントダウンをする)」
いおな「あぁ~これじゃあ気持ち悪いとか思われないかなぁ・・・。いっても男同士だし・・・。」
チョイスマン「(カウントダウンをする)」
いおな「てかカウントダウン止まってないし!椎名君、早く返信して!」
チョイスマン「(・・・3・・・2・・・1・・・)」
いおな「あぁぁぁぁぁ・・・」
着信、いおなの携帯に椎名から返信。
いおな「きた!」
椎名(まじ?具合悪くて友達と会えてないからありがたいよ。これうちの住所ね。ありがとう!)
いおな「やった、椎名君の家にお見舞い・・・椎名君の家・・・。よし!じゃあなんか買っていこうっと!」
いおな勢いよく外に飛び出す。
チョイスマン「選択肢⑤Bの結果、『お見舞いに行く』。従って選択肢⑥Bへ移行します」
場面転換
いおな、椎名宅前でチャイムを押そうとする。
いおな「・・・はぁ、緊張する」
チョイスマン「・・・。」
いおな「・・・。」
チョイスマン「・・・。」
いおな「・・・やっぱり付いてくるのね」
チョイスマン「選択肢はいつ現れるかわか・・・」
いおな「はいはい。もうわかったから」
いおな、椎名宅のチャイムを押す。
いおな「はわわわ、緊張する!」
扉が開き中から人が出てくる。
いおな「椎名君!具合は平気・・・?」
成田「ん?」
いおな「!?・・・だ、誰?」
成田「・・・。」
いおな「・・・。」
成田「・・・お前、いおなか?」
いおな「え!?」
成田「あー、やっぱりいおなだ!なんだ、椎名の見舞い来る奴っていおなか。へぇ~・・・。」
いおな「・・・?」
成田「あれ?俺のこと覚えてない?・・・成田だよ、成田洋平。中学の時同じクラスだっただろ」
いおな「あ、・・・成田・・・。」
成田「思い出した?まぁ、あがれよ」
いおな「あがれよって、椎名君は?」
椎名、いおなと成田の元へくる
椎名「おう!いおな、わざわざ来てくれてさんきゅーな!」
いおな「し、椎名君・・・、その成田は・・・?」
部屋。いおな、椎名、成田、チョイスマン話す
いおな「シェアハウス!?」
椎名「そ!俺と成田大学同じでさ。ほら、シェアハウスって家賃とか光熱費節約できんじゃん。それで」
いおな「そ、そうなんだ・・・。」
成田「・・・。」
椎名「まぁともあれ、なんか久々だな、中学の同級生が集まって話すのって」
いおな「・・・。」
椎名「?どうした」
いおな「いや、別に・・・」
成田「・・・てかさ」
椎名「ん?」
成田、チョイスマンを指さす
成田「こいつ、誰?」
チョイスマン「・・・。」
いおな「え!?あぁ・・・」
椎名「この人はいおなの友達だよ!この前会ったよね」
チョイスマン「はい」
椎名「そういえば、名前は?」
チョイスマン「チョイスマンです」
椎名「は?」
成田「は?」
いおな「ちょっ・・・!」
チョイスマン「?」
椎名「チョイスマン?」
チョイスマン「はい」
椎名「チョイスマンって・・・」
いおな「あ、あだなよね!」
椎名「あだな?」
いおな「そう、あだな!・・・ね!チョイスマン!」
チョイスマン「?」
いおな「はいって言いなさいよ!」
チョイスマン「はい」
椎名「なんだ、あだなか!おもしろいね!」
いおな「そ、そうなのよ。おもしろいのよね!」
いおな、椎名笑う
成田「なぁ、もう1ついいか?」
いおな「ん、うん?なに?」
成田「お前、何その話し方?」
いおな「え?」
成田「さっきから、『なのよ』とか」
いおな「そ、そんな話し方してないよ!気のせい気のせい・・・」
成田「隠してんじゃねぇよ!」
いおな「・・・。」
椎名「な、どうしたんだよ」
成田「椎名、こいつがなんでお前に近づいてきたか知ってるか?」
椎名「いや、偶然再会しただけなんじゃ・・・」
成田「違うね。俺知ってんだわ。こいつは・・・」
いおな「やめて・・・」
成田「・・・こいつは・・・お前のことが好きなんだよ」
いおな、椎名、驚きの表情
椎名「は?いや、いおなは男だろ」
成田「見た目はな。でもこいつ、オネエだから」
椎名「・・・。」
いおな「・・・。」
成田「気持ち悪いよな?男が男を好きなんて!お前が必死に隠そうとしてるのすげー笑えたわ。・・・誰にもばれてないと思ってたか?そんなわけねぇだろ。話し方とか動きとか見てりゃわかんだよ。まぁ、椎名みたいな鈍感な奴は気づかないだろうが。てか、椎名の次はそのチョイスマンとかいうふざけたやつか?ほんとオネエとか、何考えてるかわかんねえから気持ちわ・・・」
いおな「やめ・・・」
椎名「やめろよ!」
いおな「!?」
成田「なんだよ」
椎名「そんな言い方ねぇだろ!」
いおな「椎名君・・・。」
椎名「いおなだって好きでそういう風になったわけじゃねーんだぞ!お前、そんなこともわかんねぇのか!」
成田「けど実際問題どうだ?気持ち悪くねぇのかよ!」
椎名「気持ち悪くなんかねぇよ。人に好意を向けられて気持ち悪いなんて最低だろ!いおなが男かどうかなんて関係ねぇ!」
成田「へぇ、お前も同レベルってわけだ。お前はいっつもいいやつだよな。もう少し人間味出したほうがいいんじゃねぇか?つーか、お前ちょっと俺に対して口わるすぎねぇか?」
椎名「なんだと?」
成田「そもそもここの家賃。誰が出してると思ってんだ?まぁ貧乏人に出させるほど俺は鬼じゃないけど」
椎名「それは今関係ないだろ!そりゃ、ありがたいと思ってるよ。だから普段家事とかはおれがやって・・・」
成田「そんなんあたりまえだろ!金のない奴は金のあるやつに使われる。常識」
椎名「使う・・・。」
成田「まぁ、貧乏人とオネェ、お似合いじゃねぇか。世間の最下層同士仲良くやれよ」
椎名「お前に、俺の何がわかるんだよ、ふざけんな!」
椎名、成田、言い合う
いおな「ちょっと、二人ともやめてよ・・・。」
椎名、成田、言い合い続ける
いおな「私のせいで・・・、どうしよう・・・。」
チョイスマン「選択肢⑥B、『二人のけんかを止めるか』」
いおな「チョイスマン!」
チョイスマン「選択時間は30秒です」
いおな、仲裁に入る。
いおな「ふ、二人とも落ち着いて・・・。」
椎名、成田、言い合い続ける
いおな「・・・も、もうやめてよ!!」
椎名、成田、言い合いをやめる
いおな「ごめん、私のせいで・・・。」
椎名「いや、いおなのせいじゃない。・・・こっちこそごめん」
成田「・・・椎名、お前さっきいおなのこと気持ち悪くないって言ったよな?」
椎名「あぁ」
成田「・・・いおな、椎名の本当の気持ちを教えてやるよ」
いおな「え?」
椎名「なんだよ」
成田「じゃあ聞くが、お前、いおなと付き合えるのか?」
椎名「!?」
いおな「ちょ、成田!」
成田「どうなんだよ、気持ち悪くないっていうなら付き合えるよな」
椎名「・・・。」
成田「・・・いおな、これが真実だ。口ではどんなきれいごとを抜かしても結局は心のどっかでお前みたいなのを気持ち悪がってる」
いおな「・・・。」
椎名「そ、そういうわけじゃ・・・。」
成田「でも俺は・・・」
いおな、外に飛び出していく
椎名「ちょ、いおな!」
しいな、いおなを追って飛び出す
成田「・・・。」
成田、中学時代にとったいおなとの写メを見つめる
チョイスマン「選択肢⑥Bの結果、『止める』。したがって選択肢⑦Aヘ移行します」
場面転換
椎名、走るいおなを追いかける
椎名「おい、ちょっと待てよ!」
いおな「・・・。」
椎名「いおな!」
椎名、いおなに追いつく
いおな「・・・。」
椎名「・・・いおな」
いおな「・・・どう思った?」
椎名「え?」
いおな「私が椎名君のこと好きだって聞いてどう思った?」
椎名「・・・。」
いおな「気持ち悪いって思った?」
椎名「そ。そんなことない!」
いおな「うそつき!もう隠さないでいいよ・・・。」
椎名「いおな・・・。」
いおな「そんなの、自分が一番よくわかってる・・・。だって普通じゃないもん。」
椎名「・・・。」
いおな「でも、しょうがないじゃん!好きになっちゃったんだもん・・・。私だって何度も女の子を好きになろうと思った。それでも椎名君のことが頭から離れなくて。それでも必死に隠してたのに・・・ばれちゃったね・・・。」
椎名「・・・。」
いおな「・・・ごめんね私のせいで。成田と仲直りしてね。・・・さよなら」
いおな、立ち去ろうとする。
いおなのほうへトラックが走ってくる。
椎名「いおな!」
いおな「!?」
椎名、いおなをかばい下敷きになる
椎名「うぅ・・・」
いおな「椎名君!」
椎名「・・・いおな、大丈夫か・・・?」
いおな「待っててすぐ助けるから!」
いおな、椎名を助けようとするがチョイスマンのルール3(選択肢のない時に彼に干渉する行為は禁止)がフラッシュバックする
いおな「・・・どうすれば」
チョイスマン、いおなの隣に立つ
いおな「そうだチョイスマン!最後の選択肢は!?」
チョイスマン「・・・。」
いおな「いつもみたいに選択肢を出してよ!最後の選択肢!『彼を助けるか』とかあるでしょ!」
チョイスマン「・・・。」
いおな「お願い、このままじゃ椎名君が・・・、選択肢、なんで最後の選択肢でないのよ!」
椎名、気を失いかけている
いおな「椎名君!」
椎名「もう、俺のことはいいから・・・」
いおな「いいわけないでしょ!」
椎名「どうせ俺は助からない・・・」
いおな「そんなのわからない!あきらめんな!椎名!」
椎名「・・・ありがとな」
椎名、気を失う
いおな「椎名君!・・・。」
いおな、椎名を助ける決心をする。
いおな「あ、あ、あぁぁぁぁぁぁぁ!!」
チョイスマン「・・・選択肢⑦A、『椎名淳に告白する』。回答時間は30秒です」
場面転換
二年後。
椎名、成田が財布を落としたのに気づく
椎名「いつか、仲直りできたらなぁ・・・。」
チョイスマン「選択肢①、『彼の財布を拾うか』。回答時間は30秒です」
椎名「お前は!」
チョイスマン「私はチョイスマン。未来への選択肢を与える者」
おわり
2017年執筆
こちらもYouTubeドラマ版があるので、よろしければご覧ください。
https://www.youtube.com/playlist?list=PL-JH5bpQRzPh1gdlX8Q9QkTKJZe-XzgOV