子育ては、人類の未来づくりである
「子育ての本質的な意義は、人類の未来づくりである」
そんなことを言ったら、あなたはどう感じるでしょうか?
そんな大袈裟な〜なんて思ってしまうでしょうか?
では、人類って、いったい誰のことでしょう。
人類って、この地球上に住む私たちひとりひとりの人間のことです。
その人間をつくっていくことですから、
子育ってっていうのは、人類の未来づくりそのものなんですね。
今日、生まれた赤ちゃんを、どんなふうに育てていくか。
それは、その個体の人生の行方という意味だけでなく、
この地球の未来そのものなのだ、ということが、厳然たる事実なのです。
そう思って欲しいのです。
とくに赤ちゃんが生まれたばかりのお父さん、お母さんに。
温暖化、気候危機の話は、多くの日本人が想像するような
生優しいことではありません。
先日、国連で発表された啓蒙動画のコピーは、
Don’t Choose Extinction.
「絶滅を選ぶな!」でした。
ご覧になられましたか?
https://www.youtube.com/watch?v=VaTgTiUhEJg
恐竜が国連でスピーチするというその動画。
なかなかユニークな表現です。
恐竜のスピーチ部分を訳してみましょう。
(ここから)
みんな、聞いてくれ。
私は絶滅について、いくつか知っていることがある。
教えてあげよう。
これは当然のことだと思うだろうが
絶滅するというのは、悪いことだね。
では、自分で自分を絶滅させるのはどうだい?
この7千万年の間に、
そんなバカな話は聞いたことがない。
少なくとも我々には小惑星という理由があった。
では、あなた方は、一体、何を言い訳にするんだ?
あなた方は気候危機に向かっている。
それなのに、毎年政府は何千億もの公的資金を使って
化石燃料の補助金を出している。
想像してみるといい。
もし我々が巨大隕石に毎年何千億もの補助金を使っていたら?
巨大な流星に補助金を出していたらと想像してごらん。
今、あなたがやっているのはそれだよ!
そのお金があれば、他にもいろいろなことができるじゃないか。
世界には貧困に苦しむ人々がいる。
その人たちを助けることの方が...
わからないけど......
自分の種族全体の滅亡のためにお金を払うよりも、
彼らを助ける方が意味があると思わないか?
ちょっと真剣に言わせてもらうよ。
あなた方には今、大きなチャンスを手にしている。
経済を立て直し、このパンデミックから立ち直るときだ。
これは人類のビッグチャンスなんだよ。
そこで、私のワイルドなアイデアをご紹介しよう。
絶滅を選ぶな。
手遅れになる前に、自分の種を救え。
今こそ、人類は言い訳をやめて変革を始めるんだ。
ご清聴ありがとう。
コピー:「今、やるしかない」
(ここまで・原文は最下部に)
地球という船は今、まちがいなく「沈没」していっています。
その沈没船の中で、少しでも高い場所に移動しようと争うことに
なんの意味もありません。
船底にいようが、マストのてっぺんにいようが、
この船は沈んでいるのであって、
個々がそのときを迎える時間に差があるだけです。
今、必要なのは、船に空いた穴を塞ぐことです。
同時に、侵入する水をどんどん掻き出していくことです。
決して、自分だけ高い場所に移動しようとすることではありません。
今、全人類にとって必要なのは、穴を塞ぐ人材を作ることです。
70億人のうち、いったいどれくらいがその人材になるのか。
それが我々自身の命運を握っているのです。
さて、その事実を俯瞰するとき、
この国はいったいどういう状況でしょうか?
※
イギリスのグラスゴーで、地球環境について各国の代表が話しあう、
COP26が開かれましたね。
その機会に、我々の国、日本は、環境団体から
「化石賞」という不名誉な賞を授与されました。
そして、そのことを報じるツイッターのニュースを見ると、
そこにつくリプのレベルの低いことと言ったらありません。
いったいこの国は、この国に暮らす人たちは、
自分自身の未来についてどう考えているのでしょうか・・・
とても不安です。
それはさておき、最近、考えることがあるのです。
地球の気候危機に関するこの日本の対応の遅さは
どうすればいいのだろうか、ということです。
この問題の解決には、社会システムの変革が必要になるわけですが、
島国日本の戦後経済を作ってきた諸先輩方には、
どうしてもそこに踏み出す思考力と行動力がないように感じています。
政府も遅い。企業も遅い。何もかもが遅すぎる。
しかし、我々には時間がないのです。
日本の温暖化は、他国より早く進んでいるという話があります。
100年当たりの気温上昇が日本は1.26°で、
これは世界平均の2倍の速さです。
・・・にも関わらず、温暖化への社会変革、対応のスピードも
世界最悪レベルの遅さだと思います。
世界がいかにして化石燃料から卒業できるかを話し合っている時に、
これから石炭火力発電所を作ろうというのですから、
例えそれが「高効率」であったとしても、やはりトンチンカンですね。
しかも日本の脱炭素のロードマップには、
今はまだ開発されていなかったり、
実用化されていない技術を前提にしてしまったものが多い。
もちろん、技術開発は重要ですが、
未知のものが出来上がることに依存して計画を立てることは、
時間に限りのあるイシューの場合は馬鹿げた発想だと思います。
実際に日本は核リサイクル発電技術にトライしながら、
60年以上も実現できないという前科者です。
そのうち誰かが発明するだろう、などという無責任なロードマップは、
未来世代に対してまったく誠実な態度とは言えませんよね。
私はそう思います。
※
さて、この問題の理由について思考を深めていくと、
我々の未来に本当に重要なのは
「金融のあり方」と「教育」の変革なのだ、
ということがわかってくるのです。
金融は、この経済社会の仕組みの根っこであり、
教育は未来の世界をつくる根っこですからね。
そして私がとても注目しているのが「子育て」なのです。
子育てと教育というのは、とても近いものですが、
イコールではありません。
教育というのは教育機関や教育プログラムが絡んできますが、
「子育て」はもっとパーソナルなものです。
そして「家庭」という閉塞したパーソナル空間で起きていることこそが、
その個体の精神に最大の影響を与えると考えられると思います。
それは、お父さんやお母さんがどんな人で、
家の中でどんな会話をし、
子供にどんな話をきかせているか、ということです。
日本の気候危機対策が進まないのは、
今の大人たちが子供の時、
その親がしっかり会話しなかったことが
原因の一つと言えるはずなのですよね。
先日行われた衆議院選挙。
世界規模のパンデミックを受けての選挙にも関わらず、
戦後下から3番目の低い投票率だったのはなぜか?
候補者に魅力がないとか、政治に魅力がない、
などというのはいいわけです。
なぜなら私たちはお客様ではなく主権者であって、
自分たちの未来を自分たちで選択するために選挙はある。
それなのに、まるでサービスを受けるお客さんのように、
自分の運命を人任せにしてしまえるのは、家庭で、親から、
その大切さを伝えられてこなかったことがとても大きいのです。
例えば選挙で金銭の授受という不正があったとします。
その事件を受けて、
親が「こんな汚いことをすることはけしからん」と言うのか。
「政治家なんてみんな汚い連中だ」と言うのか。
それを聞いていた子供たちは、その言葉を100%信じます。
そのことが、世の中の質を下げて行ってしまうのです。
親が家庭で、会話の中から何を伝えるのか。
その言葉の質を上げない限り、
この国の未来はまちがいなく破綻するでしょう。
いま、子育ての本当の意義について、私はこう断定します。
子育ての本当の意義は、これからやってくる地球温暖化、気候危機、
その元となっている社会システム、経済システム、
そこに根差して発生するすべての分断と差別という問題を
解決できる人材をつくることです。
別に全員が科学者や政治的リーダーになるという意味ではありません。
ひとりの生活者として物を買ったり、エネルギーを使うとき、
どのような尺度、価値観で物事を判断するのか、ということです。
そのとき、半径5メートルの視座でなく、「人類のひとり」という意識で
社会に参加していく人材となる、ということです。
人類が解決を後回しにし、
今までために貯め込んだ課題は、すべてがつながっています。
そして、その課題を解決する手段を見出さないまま、
私を含めた今の現役世代は、
そのすべてを次の世代に投げ渡そうとしています。
我々は死んでしまえばそれでいいのかも知れません。
それぞれ、あと何年この地球上にいるつもりかわかりませんが、
2100年まで生きている人は少ないでしょう。
しかし、今、手を打たなければ、2050年になっても、その先も、
地球の温度は上がり続けるし、海面も上昇しつづけ、
気候は破壊的になっていく。
今だに温暖化懐疑論にしがみつく人もいますが、
そういう人はちゃんと勉強して、はやく気づいて、
軌道修正すべきなんですね。
温暖化は、まちがいなく人類絶滅のかかった喫緊の共通課題です。
逃れられる人はいません。
※
私は、今、お腹の中に赤ちゃんのいるお母さんや、
赤ちゃんと会える日を心待ちにしているお父さんに伝えたい。
我が子の健やかな成長を願うのが普通だと思うし、
私もそのときはそうだったのですが、
これから子どもたちが「普通に」成長していくためには、
ひとりひとりの人間を、一人残らず、
地球環境の課題を解決する人材として育て上げる必要があるのです。
だって、残念ながら、そういう時代を生きていくことになるから。
そのためには、まず、若いお父さん、お母さんが、知ることなのです。
世界はこれから変わっていきます。
必然的にそうなるはずなのですが、やはり「勝手に」は変わりません。
変えていく人々や世代がいて、その弛まぬ努力があって、
やっと変わっていくんですよね。
我々の世代は、変化そのものの担い手にはもうなれない。
遅すぎるから。
であれば、今、できることは
環境の傷をもっとも浅い状態にして受け渡すことと、
次の世代の人材を育てることです。
世の中の仕組みを根っこから変えることができるということを
本気で信じる人間たちが必要なのです。
我々にはそれができなかった。
でも、次の世代はまだそれができる。
これからの人類の課題は、
たった一人のスーパーマンが解決するものではなく、
全員が一歩一歩、歩みを進めることによって成し遂げるものです。
だから、家庭の中という、最小単位での変革が必要なのです。
日々の何気ない会話を糧にして、子供は心を発達させていきます。
その内容は一生影響するし、その影響が人類の未来を変えます。
これは、とてもポジティブな希望になりうると、私は感じています。
人類の未来を変える子育て。
是非、それにトライして欲しいのです。
それほど大変なことではありません。
お父さん、お母さんが、少し温暖化のことを知って、
自分ごと化するだけでいいのです。
あとは自動的に、何をすべきかが導き出されるはずですから。
(おまけ/国連動画、恐竜のスピーチ全文)
Listen up, people.
I know a thing or two about extinction,
and let me tell you,
and you’d kind of think this would be obvious,
going extinct is a bad thing.
And driving yourselves extinct?
In 70 million years
that’s the most ridiculous thing I have ever heard!
At least we had an asteroid,
what’s your excuse?
You’re headed for a climate disaster,
and yet every year governments spend
hundreds of billions of public funds fossil fuel subsidies.
Imagine if we had spent hundreds of billions per year
subsidizing giant meteors.
That’s what you’re doing right now!
Think of all the other things you could do with that money.
Around the world people are living in poverty.
Don’t you think that helping them
would make more sense than…
I don’t know…paying for the demise of your entire species?
Let me be real for a second.
You’ve got a huge opportunity right now,
as you rebuild your economies and bounce back from this pandemic.
This is humanity’s big chance!
So here’s my wild idea:
Don’t choose extinction.
Save your species before it’s too late.
It’s time for you humans to stop making excuses
and start making changes.
Thank you.
It’s now or never.
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