このあと、社会はどんな速さで変化していくのか
さて、私は兼ねてより
社会の大転換が起こるという話をしてきました。
それは、人類が「会社」や「経済」を発展させてきた
ここ400年の歴史が終わり、
新しい時代に入っていくという大転換の意味で、
もちろんそれは経済や社会システムの在り方が変わるわけですが、
その原因には気候危機と、資本主義の限界、
そして人口増減などが絡み合って引き起こされるわけです。
これは、生まれた時から貨幣経済や資本主義に慣れ親しんだ
現代を生きる我々世代にはなかなか理解しにくいことですが、
それでも人類の歴史の中で何度か発生していることで、
逆に私は「必然」だと思っています。
そもそも永遠につづけられる仕組みは存在しないのですからね。
その社会の大転換が、どんなタイムスケジュールで表出してくるのか?
ということをちょっと考えてみたいと思っています。
※
今、日本では自民党・岸田政権が発足し、
少なくとも今までの安倍・菅政権時代とは
少しだけ異なる趣を見せています。
それがどんな結果につながっていくかはまだわかりませんが・・・。
私が特に注目しているのは「貨幣観の変化」が
どの程度進むか、ということです。
財政出動をした結果どうなるのか、ということを見極めるには、
いい材料だと思いますし、それを政権与党がやってくれるなら、
今後は野党も財源の設計が根本から変わってくるはずですね。
さて、ここで今後の世界的なイベントを確認しましょう。
来年、2022年には中国の北京で冬季五輪が開かれます。
ナニゲにもうすぐですね。
そしてその2年後、2024年にはパリでの五輪開催。
翌2025年には大阪での万博が開催されます。
そして2030年がSDGsの期限。
2050年には日本の脱炭素が完了。
ここに温暖化の予想を重ねてみましょう。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、
2030年の段階で地球の平均気温は産業革命前と比べて、
プラス1.5℃に到達してしまうだろうと予測しています。
この二つのタイムテーブルをまず頭の中で重ねてください。
それと日本人の人口減少予測も加えてみましょう。
国交相の予測では、日本人の総人口は2030年で1億1千500万、
2050年では9500万人になると言われています。
これらはすべてが同時に起こることですから、
頭の中でも同時に解釈しなければいけません。
しかし、これらの数字を並べれば、少なくとも2030年までの風景は、
非常にリアルに想像できるようになると思います。
ここでひとつの事例を示してみます。
それはテレビのアナログ放送の終波です。
皆さん、ご記憶でしょうか。
もうすっかり地デジが当たり前になってしまったので
忘れてしまったかも知れないですが、思い起こしてください。
テレビがデジタル放送に完全に切り替わって、アナログ波が終了したのは
2011年の7月です。東日本大震災のすぐ後でしたね。
鹿のようなキャラクターがいたのを覚えています。
でも、実際に終波を迎える頃には、
ほぼすべての家庭が地デジを視聴できる環境となっていて、
終波そのものはひっそりと行われましたよね?
滑り込みセーフ!という感じではなくて、
状況が切り替わった状態で、前のものをひっそり引っ込めた。
何が言いたいのか?と言うと、
例えば2030年のSDGsの目標達成をリアルに考えると、
それは2028年ぐらいになって必死に頭を捻っている、
というようなことではなくて、そのときには社会が
インフラも含めてどんどん
切り替わっていくというフェーズなはずなのです。
地デジの普及を思い出してください。
そうでしたよね?
※
話をタイムテーブルに戻しましょう。
北京の冬の五輪はもうすぐやってきます。
その2年後のパリ五輪までの時間は、
我々がコロナ禍に見舞われてから今までの時間とほぼ同じです。
つまり、あっという間だということです。
そのパリ五輪は、その名の通りパリで開催されますね。
ヨーロッパの人々のサステナビリティへの決意は
日本のそれとはまったくちがうレベルですから、
このパリ五輪では、
ムダを極力省くことが当初のコンセプトだった東京五輪が
本来どのようにあるべきだったのか、ということが
まざまざと世界中の衆目に晒されることになります。
お弁当の大量廃棄なんて、絶対に起こり得ないと思います。
フランスは、五輪という世界中が注目する機会を最大限に利用して、
自国の持続可能性への取り組みのアピールと、
世界中に対する脱炭素への呼びかけをすることでしょう。
そしてそのわずか1年後に、大阪で万博が開催されます。
この万博でのテーマも、恐らくサステナビリティ、脱炭素だと思いますが、
この段階では「脱炭素を実現する夢の技術」のような話で
果たして許されるのか?
ということがあると思います。
何しろ2030年まで、たったの5年です。
日本は、2030年の段階で2013年比で46~50%の
CO2の排出削減を掲げています。
半減ですね。
・・・ということは、2025年の段階で、
「こんなことをやろうと思っています」ではなくて、
具体的に半減を実現できる方策を発表する場が
万博でないと間に合いません。
そこからは急ピッチで、
実際に排出量をガンガン減らしていく、ということなのです。
その減りっぷりといったら、もう、毎年毎年、みるみる減っていく、
という勢いでなければいけないのです。
参考までに目標のグラフを冒頭に貼りつけておきますが、
人口減少に匹敵するほどの驚くべき落下具合ですよね。
想像できると思いますが、
その実現には、今のままの社会システムではもう限界なのです。
電気の送電システムから、社会インフラまで、
すべてを「持続可能型」に本気できり変えていかなければなりません。
今、日本では自動車はEVなのか、水素なのか、
という議論がありますが、
そのどちらだったとしても、普及させるにはインフラ整備が必要です。
ガソリンスタンドに代わる充電スタンドや水素スタンドですね。
そういうものが街の中に普通に存在するようにならないと、
ガソリン車ではない車が普通に走る世の中にはなりません。
そのような変化も地デジのように急激に実現していくわけです。
そして、わずか10年弱の間に、社会の景色をガラッと変えて、
「数年前まで、よくあんなことしていたね」という気分の人間に
みんながなっているくらいのドラスティックな変化を実現するわけです。
もちろん、そのような物理的な変化は、
政治的な変化を伴いますし、財政の考え方の変化、
貨幣観の変化、そして、価値観の変化を伴う大転換とともにしか
起こることはできないでしょう。
それが、我々を待ち受けているこれからの10年です。
※
さて、では、考えてみましょう。
10年前のことです。
2011年ですね。奇しくも震災のあった年ですね。
その頃と、今を比べてみましょう。
この10年の変化を比べてみみるのです。
初めてiPhoneがソフトバンクから登場したのが2008年で、
auでも取り扱うようになったのが2011年です。
震災の時、確か私はギリギリまだドコモのFOMAを使っていましたね。
確かFacebookが生まれた頃で、
日本ではまだユーザーはそれほどでもなかった。
そんな頃でした。
あの頃なかったものや、あの頃なかった常識で
今は普通に存在しているものがありますね。
でも、おそらく、次の10年は、
前の10年よりもっと大きな変化が要求されるはずです。
なぜならそれは人類全体の「価値観」の変化であり、
数百年に一度の大転換になるからです。
そこに向けて、変化の担い手になるのは、実は私たち自身です。
まだまだしばらくは、私たちはここ30年ほどの誤った行動の後始末、
敗戦処理をしなければならないでしょうが、
それはあっという間に終わらせて、
次なる前進のシテージに進まなければなりません。
そのとき活躍するのは、いったい誰でしょうか。
きっと今までの人ではありません。
新しい人です。
その人は誰なのか? 今から探しましょう。
もちろん私やあなた自身もその候補者の一人です。
大転換の時を楽しみましょう!