![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/9479124/rectangle_large_type_2_17462edd31224ea5529a87bbe3a5639d.jpeg?width=1200)
ポールグレアムに学ぶビジネスアイデアの考え方
新しいビジネスアイデアを考え出さないといけない方へ。
会社で何か新しいビジネスアイデアを出さないといけないけれど、「もう新しいアイデアなんて出尽くしている!」と感じている方が多いかと思います。この記事では、ポールグレアムという有名なベンチャーキャピタルの方の言葉をヒントに、アイデアの出し方についての手順を書いていきます。
もくじ
1.ポールグレアムの言葉
2.目的をはっきりさせる
3.最短距離から考える
4.余分なものを省く
5.アイデア例
6.まとめ
僕自身、東南アジアに3年ほど赴任していたことがあり、日々工夫を続けなければならない環境にありました。その際の実績ある手順を元に書いた記事なので、再現性ありかと考えています。
1.ポールグレアムの言葉
ポールグレアム(*1)は「どうやってスタートアップアイデアを得るか」というエッセイの中で、
未来を生き、欠けているものをつくれ。
これは、もうほとんどの最も大きいスタートアップがどうやってはじめられたのかを説明します。AppleもYahooもGoogleもFacebookも、最初は会社になる予定すらありませんでした。創始者が世の中で欠けていると感じて作ったものから巣立ったのです。(*2)
と述べています。つまり、アイデアを出すためには「自分が日常で感じている不満を埋めろ」ということです。
ここで大事なのは、あくまで自分が既に感じていることを起点にするのであって、何か目新しいことを無理やり考え出そうとするのではないという点です。そうと言うのも、無理やり考え出されたアイデアは、現実にそぐわない頭でっかちなものであることが多いためです。同エッセイの中でポールグレアムは、
起業アイデアに関して使用したい動詞は、「考え出す」ではなく「気づく」です。(*2)
とも述べています。
この、ポールグレアムが「気づく」という一言で片付けてしまっている部分を、もう少しシステマチックに実行する方法を以下で述べていきます。
2.目的をはっきりさせる
「気づく」ための土台作りとしてまずやらねばならないことは、「目的」をはっきりとさせる習慣を付けることです。これはアイデア出しに限らないことですが、目的(=ゴール地点)をはっきりとさせないことには、何もかもが行き当たりばったりになってしまいます。
例えば「電車に乗る」という行動の目的は「移動する」ことです。「メールを書く」という行動の目的は「考えを伝える」あるいは「会話履歴を残す」ことです。このように一々、自分の行動に対してその目的を意識するようにします。あくまで「自分が考えた」目的なので、それに正解も不正解もありません。ただ「目的をはっきりさせる」という習慣を持つことに意味があります。
加えて、目的をはっきりとさせる際には「他の人も同じだろうか」ということを考えると、なお良いかと思います。もしかすると、電車に乗る目的が「ただ楽しむ」ためという方がいるかもしれません。その場合、どの目的が多数派なのかを気にしておくと後のステップにつながっていきます。
3.最短距離で考える
次に、その目的を達成するための最短距離(=行動のステップ)を考えます。こうすることで常識から一度離れ、本質的な視点で物事を考えることができます。
先程の電車の例で言えば、「移動する」ための最短距離を考えます。私の考えるここでの最短距離は、移動したい場所を思い浮かべた次の瞬間にはその場所にいることです。しかし実際、現在の科学でワープはまだ実現できていないので、これの実現は難しいでしょう。
では、実現可能に思える範囲での最短距離は、どんなものになるでしょうか。「目的地を直線で結び、高速で移動する」ということは後50〜100年くらいあればできるようになるかもしれません。空か、地中にトンネルを掘るかすれば、現在地⇄目的地間を直線で結ぶことができます。この空か地中に設けられた直線でロケット的なものをまっすぐ飛ばしてやれば、それが最短距離での移動です。
正直、上記の例は非現実的に思えます。しかしここまで考えれば、近い将来には自動車と同じような感覚で個人ドローンをみんなが所持している、というビジョンを思い描くことができます(=空での直線移動)。他の物事についても、同様の考え方で将来を見越したアイデアを持つことができます。
4.余分なものを省く
一方、将来のビジョンではなく、少しだけ先の未来で必要とされるようなアイデアが欲しいときもあります。こういった時には、余分なものを省くという考え方ができます。目的を意識しながら現在を見直すことで余分なものを炙り出し、その非効率の改善をアイデアとします。
改めて電車の例で考えてみます。電車に乗る目的は、あくまで現在地から目的地まで「移動する」ことという想定です。順番に考えていけば、下記の行動が無駄だと気付きます。
①自宅から駅までの移動
②駅入口からホームまでの移動
③改札機を通過する行為
④ホームで電車を待つこと
⑤電車に乗り込むこと
⑥①〜⑤の逆(降りる時も同様の行動が必要なため)
電車の移動に関する本質(合目的な要素)は「ある駅ホームから、別の駅ホームまでの移動」だけで、その他①〜⑥の全てが新しいアイデアの源泉(余分なもの)です。例えば③に関して、高速道路で使われているETCを改札機に応用することが考えられます。また⑤に関して、ホームに並べられた椅子に座れば、その椅子ごと電車内に滑り込んでいくという仕組みを考えることができます。
5.アイデア例
今までに述べてきた考え方で、例えば下記のようなビジネスアイデアを考えることができます。
①移動時に音がしない自動車/電車/飛行機
→あらゆる移動手段で、音は移動そのものには関係のない余分なものです
②より安定した飛行機
→現在、飛行機では離着陸時にシートベルトをする必要があります
→これは余分なので、シートベルトが必要ないほどに飛行機が安定すべきです
③耳に入れないイヤホン
→イヤホンを耳に入れるというのは、聴くという目的からすると余分です
→耳に入れずとも個人で音楽が楽しめるようになるべきです
※と思ったら何社か、指向性スピーカーを使ったものを発売しているようです
6.まとめ
長々と書いてしまいましたが、何か新しいアイデアが欲しい際には、下記の2ステップだけ踏みましょうというお話でした。
ビジョン的なアイデアが欲しいとき
①目的をはっきりさせる
②ワンアクションで目的を達成するための手法を考える
カイゼン的なアイデアが欲しいとき
①目的をはっきりさせる
②現状から合目的的でない部分を洗い出し、そこを省く方法を考える
アイデアの出し方にも色々あると思いますが、今回は目的にフォーカスしたものを紹介しました。何かコメント等いただければ喜びます。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
(*1) ポールグレアムは、自身で起業した会社を49万ドル(50億円程度)で米Yahoo!に売却して億万長者になった後、Y Combinatorというベンチャーキャピタルを立ち上げ、DropboxやAirbnbを世に送り出した方です。元はLispというプログラミング言語を得意とするハッカーで、同時に大学の専攻は哲学だったりします。彼のホームページ(http://www.paulgraham.com)ではエッセイが積極的に公開されているため、興味を持たれた方は是非確認してみてください。
(*2) 下記サイトの和訳を引用させていただきました。
http://merrybiz.jp/blog/future_working/how-to-get-startup-ideas-part-03/