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9/28:建築が生まれたことの肯定 archiintime事務所訪問




起ーきっかけ

9/29:非定期にやっている勉強会で知人の建築家の甲斐さんの事務所訪問して学生時代から今に至る考えていることの変遷や、最近の仕事を紹介してもらう。


・甲斐さんは、青木茂建築工房に10年以上勤めていたため、改修で強みを持っており、新築よりむしろ改修の方に可能性を感じている。
・自分はゼネコン設計部にいるからといこともあり、新築で1から作り上げることが本筋だという意識が少なくなくある立場からすると新鮮に感じる。

承ー記憶の重ね方

・具体例に話をしてもらうと、ローマのパンテオン前のオベリスクが元々エジプトにあったものである例や、パンテオン自体が元々キリスト教でなくローマ帝国古来の多神教の神殿だったこと、ハギアソフィアがキリスト教からイスラム教徒のモスクに改修されたことを例として、改修によって多様な文化が重なることで豊かな建築が生まれるという点に可能性を感じている点が説明され共感することができた。

転ー暴力によって生まれた建築と建築が生まれたことの肯定

・しかし、偶然ではあるが上記、オベリスク、パンテオン、ハギアソフィアも全てその使用目的が変わったのは、それぞれの時代の覇権国家による強烈な暴力によって、生まれている点についてどう考えているか深堀してみた。

この点については
「どのような理由で生まれた建築でもまたむしろそのマイナスの値が大きいほど、改修を行うことによって大きくプラスの要素のなりえることがありそこに改修の可能性がある」という回答となった。

・これは、その建築が生まれた背景や状況でなくそこに建築があることを認める。別の言い方をすると、「建築が生まれたことの肯定」からスタートして可能性を探していくということだと自分は解釈した。

結-他者の受容から生まれる多様性

・「建築が生まれたことの肯定」についてもう少し詳しく話すためにもう1歩、「言葉と建築」の中の「歴史」と「記憶」を引用する。それぞれざっくり下記の様に説明されてている。

「歴史」ーその建物が建てられた当時の権力の文脈の中での位置
「記憶」ー建物が建てられる際の刻まれた仕事の痕跡やその建物と共に営ま
     れる人間の行為に関わること

・これをふまえると、改修において「歴史」に重点を置きすぎると、上記の暴力によって生まれた建物という一面的な要素しかなくそれは否定されるべきものとなってしまう。

しかし、「記憶」の観点から考えられる改修という介入方法によって、これまでのその建築では持ちえなかった多様な価値が生まれる可能性がある。

・この多様性は設計者自身の主張から生まれるものではなく、今ここにある状況を受け入れることにより生まれている点に価値がある。

また、多様性が自らの主張から生まれるのではなく、他者(この場合既存の建物)を受容することにより生まれるという点は、建築設計の行為のみでなく他の状況にも応用できる非常に価値がある考え方ではないか。



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