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阿部幸大 まったく新しいアカデミックライティングの教科書 要約と意見
■現在の状況
・建築意匠の仕事をしており、博士論文を書く状況にはないが、博士論文並の精緻な理論をもって仕事をすることに価値があると考えている。
・理論を言語化するという点で参考になると考えた。
・人文の部分を建築意匠、理論という言葉に置き換えながら読んだ。
■要約・意見
■原理編
要約
・自然科学のアカデミックな価値は、これまでの知識を基にして人間の知識
の総量をほんの少し増やすこと。
・これに対して、人文系のアカデミックな価値は知識の総量をほんの少し増やすということにはなりづらく、既存の知識の見え方をかえることにある。
・博士論文は凡そ12000字くらいを目指せるように書き、1000文字程度のパラグラフを複数書き、30くらいで構成されるのが目安らしい。
意見
・建築意匠は自然科学的要素と共に人文的要素を含むので、既存の知識の見え方を変えるという部分が建築意匠にもつながる部分と解釈する。
■実践編
要約
・段落を文章毎に抽象度で分ける。
・論文を書いている対象に対しての事実を文章の中で意味のある形で取り入れ、長い(冗長ではない)文章を作る。
・論文の冒頭で示す主張(アーギュメント)より、結論の抽象度は高い。
・結論があることが必ずしも重要ではなく、その論文の応用可能性、引用の可能性が重要。
意見
・結論より応用可能性の方が重要という視点はなかった。知識の見方を変える可能性があるというのはより重要ということか。
■発展編
要約
・留学時代に教員から「「Be you(あなた自身になりなさい)」自分になるということが根本的に重要と言われた。
・論文書くための内的モチベーション(10年、20年と持続させる主題)が重要。
・その主題は最初からあれば幸福だが、論文を複数書いた後に出会えばよい。またその主題も完璧なものがすぐ見つかるということはなく、更新していくものである。
・その主題と実践編迄で示した型を持っていれば自分自身として生きるための物語を自分自身の手で作ることができ、論文はその手段である。
意見
「Be you(あなた自身になりなさい)」は、著者がその物語を作る過程が、論文という形式だったということができる。それはそのまま仕事にも言える。自分自身になるということが見えているなら、必ずしもその形式を学術論文のみに求める必要はないかもしれない。ただし、文章を書くということに価値は変わらない。
■演習編
要約
・実際の学術論文を利用した、実践編の方法提示。
■まとめ・今やれること
・心情や感想の吐露ではない全て機能のある自然科学的でない文章というものが何となくは把握できた。(様な気がする)
・丁度建築学会が近いので、梗概集を買って文章の分析をする。
・その論文の作成者の実作がどのようなものか調べる。
・仮にこの本を読んで、実践したとして査読にあたる作業がない状態。
・AIを使ってダメ出しができないか?→SAKANAAIの論文自動ツールについて調べてみる。https://sakana.ai/ai-scientist-jp/
・そもそも、建築意匠の仕事について理論の査読に意味はあるのか。理論は
持つとして、現在の仕事で作ったものについての評価がそのまま理論に対
するフィードバックになるのではないか。