【短編小説】そして縷縷と続く
こんな夢を見た。
実家の床の間に飾っている掛け軸が、有名な書家の作品であることが判明した。たまたま遊びにきた鑑定士の友人が床の間を見てひっくり返ったので、どうやら只事ではない。
曰く、その掛け軸は硯幸徳の遺作である三部作「縷縷」の三作目「円」であるらしい。数十年前にトリスターナとか何とかいう怪盗に盗み出されて以降行方知れずだったそれが、どうしてこんな田舎の極平凡な家にあるのかは分からない。もしや先祖に怪盗がいたのか?とも思われたが、その可能性は警察が否定した。その怪盗