ヤマトタケル
新橋演舞場でスーパー歌舞伎「ヤマトタケル」。
團子の成長が著しい。時に四代目猿之助を彷彿とさせる時もある。澤瀉屋も一安心ではないか。
もちろん、米吉の兄橘姫と弟橘姫の人(ニン)の演じ分けや、しっかりとした演技は堪能。
物語としては、梅原猛でもあり、多様な読みを可能としているのだろうが、特に、ヤマトタケルに継がれている「まつろわぬ者たち」の系譜が興味深かった。
クマソタケルのタケルの文字を引き継ぐことはもとより、その他に様々に出てくる「まつろわぬ者たち」の憑依が、ヤマトタケルを単なる王権の担い手ではないものにしている。
ヤマトタケル自体が疎外されたものの象徴でもあるのだろう。
今まで討ち取ってきた「神」に命乞いする矛盾も文化の輻輳性というか、常に矛盾を孕んだありようとしての文化を示してもいる。
また、頻出する父と子の関係性はエヴァンゲリオンの相似形でもある。
ヤマトタケルを初演した時の三代目猿之助は、当時の歌舞伎界への強い違和感を持っていたことが改めてわかる。
美しいが因習のなかにある場所に、どのように「新しきもの」を入れていくのか。
直截に語られる言葉は強いが痛みも感じる。
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