北欧の神秘@SOMPO美術館
だいぶ先にはなるが、オスロに出かけ、最近新しい建物になったノルウェー国立美術館で彼の地の調査や取材でもしようかと思っていたところに、タイミングよく、日本で初めての本格的な北欧美術の展覧会が開かれるとのことだったので、事前取材に行ってきた
序章 神秘の源泉、1章 自然の力、2章 魔力の宿る森、3章 都市 の4章に分かれた構成になっている
アウグスト・マルムストゥルムの「踊る妖精たち」に描かれる森にのたうつ蛇のような形が妖精たちの連舞であったり、ロベルト・ヴィルヘルム・エークマンの「イルマタル」の女性に見られる奇妙なエロチシズムなど、面白い作品も多い
なかでは、マルクス・ラーションの「滝のある岩場の景観」は、明らかにカスパー・ダーヴィト・フリードリヒのドイツロマン主義、崇高という考え方を想起させて、好きな作品だ。
しかし、そこには決定的な相違がある。圧倒的な自然は同様であっても、その前に立つ、姿としては矮小だが、希求としては壮大高貴である「人」がラーションには存在しない
このことは、私にとってはラーションの作品を、とても勿体ないものに感じさせてしまう。
これは、私が地域のブランドを単なるモノにとどめず、ストーリーとして把握してすることによる感慨であるとも考える
その他、テオドール・キッテルセンの描く、北欧の妖精.魔物であるトロルに関わる作品なども、さまざまに触発的だ。
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