魅惑の朝鮮陶磁/謎解き奥高麗茶碗
根津美術館で。
日本において「雨漏茶碗」が賞玩されることが興味深い。
どこかに「破れ」「歪み」があることが茶道具にとって価値になることが少なくない。
雨漏茶碗も長年の利用により、染みが生じていることを、景色とする。
この「景色」の発想もユニークだ。景色という言葉と地域という言葉には重なる部分もあるだろう。
地域プロモーションにおける、「破れ」「歪み」を価値とした景色と異発送も可能ではないか。
この「破れ」「歪み」が価値となることを活かしていこうとすると、奥高麗茶碗の展開期における巣穴、石爆ぜ、といった用意された、しかし偶然性もある「破れ」「歪み」が創られることになる
奥高麗茶碗は朝鮮半島ではなく、日本の唐津で作られ、古唐津と重なるものであることも多いようだ。
慶長の役で連れてこられた朝鮮人陶工が、京都三条の商人の注文により、唐津で制作したものが奥高麗茶碗のはじまりだとすると、その地域横断性はとても興味深い
その展開として、朝鮮に帰国した陶工を継いで、唐津の陶工が先に述べた「巣穴」、「石爆ぜ」等を企図した一品ものを作成する。
ところが、時期を経て、再び、奥高麗茶碗初期の、朝鮮「熊川」(こもかわ)で作られたものを参考にした、比較的端正な茶碗が作成されることが興味深い
二階の「春の茶の湯」、釣り釜という季節・天候・寒い暖かいに応じた釜の利用など、TPOに応じた茶の湯という、外部環境までを取り込んだ総合芸術の面白さを意識する
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