【フランス旅行編】子どものためにサステナブルな山の暮らし~ヴェルドン渓谷にゲルの宿
今年の春から、ニューヨークの自然と鳥、たまに子どもと自然のかかわりについて体験記事を書いています(自己紹介はこちら)。
先月、フランス南部の田舎を旅行する機会があり、ヴェルドン渓谷の山奥でなぜかゲルに宿泊するという経験をしました⛺
出発間際、手ごろなホテルがあまり残っていない中で、勢いで予約して訪れることになったのですが、意外にもクオリティ・オブ・ライフについて考えるいい体験になったので、写真で紹介したいと思います。
そもそも、ヴェルドン渓谷という場所、日本ではほとんど知られていません。
実は私たちも、たまたまフランスの友人との再会場所に決まるまで名前を聞いたこともありませんでした。
プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地方にあるヴェルドン渓谷は、南ヨーロッパ最大の渓谷のひとつ。国際的な観光地というよりは、地方(フランス南部、イタリア、スイスなど)からの観光客が多い場所だそうです。
友人と再会したのは、エクサンプロヴァンスから100キロほど走ったヴェルドン渓谷の西の入り口にある古い村、ムスティエ=サント=マリー。
ヴェルドン渓谷のダイナミックな景観の中、くねくね道を2時間近く走りますが、なかなか宿につきません。ついにメインロードから離れ、片側通行の狭い山道をさらに奥へ…。
最後の集落を越えて数分走ったところに、ようやく宿が見つかりました!
まだ明るいものの、到着したのは19時半。夕食の時間に遅れてしまいました。
出迎えてくれたのは、意外にも都会の洗練されたオーラを放つオーナー。短パン、シャツ、メガネ姿のやさしそうな雰囲気で、夕食前にゲルを案内してくれました。
なぜ山奥に宿を作ることにしたのか、夫がオーナーさんに聞いてみたところ、もともとパリに住んでいたが、子どものために移住したとのこと。
「子ども」と聞いて驚きました。こんな山奥で、学校はどうしているのか聞くと、近くの集落までスクールバスが毎日送迎してくれるんだそうです(学校があるメインロードの街まで片道30分程でしょうか)。
食事を運ぶ手伝いをしていたオーナーの娘さんは、中高生くらいでした。
後でウェブサイトを見て知りましたが、オーナーのサステナビリティへの配慮がものすごかったです。井戸水を引き、ドライトイレの汚物は肥料として利用し、地元食材を使った食事を提供しているそう。
こんな山奥で生活を立ち上げ、ゼロから宿を経営するに至るまでには、相当な苦労があったに違いありません。
時間が無くて詳しく聞けなかったけれど、「子どものため」とはどういう意味だったんだろう・・・。
今の子ども達は、高度に複雑で不安定な時代に、自らの生き方を選んでいかなければならない世代です。
せめて多感な子ども時代は、できるだけシンプルに、生きることの本質に触れてのびのび暮らせる環境を用意したかったのかもしれません。
日本でも、受験戦争にデジタル依存、メンタルヘルスなどなど、子供を取り巻く環境は複雑で、苛酷にもなり得ます。
とても他人事ではなく、大胆なオーナーの決断が深く刺さりました。
今回の宿、Destination Ailleursのホームページはこちら。
(ちなみに、「なぜゲルなのか」というめちゃくちゃ気になる質問をしそびれたのが悔やまれます…。)
最後まで読んでいただきありがとうございます!
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