関係性から始まる組織づくり
Huber.も創業して3年9が月が経ちました。
はじめは小さなオフィスにいて、皆で飯を食ってた頃は、オフィスでたくさんの話ができました。それは僕にとっては最良の時間の一つでした。
でも気づけばスタッフも70名に拡大。拠点も6箇所(うち1箇所は海外)に増えました。そうするとみんなと向き合って話す時間がグッと減っていきました。それに加えてサービスもまだまだ試行錯誤中で、改善を進めようと動けば動くほど、みんなへの負荷も大きくなってしまってました。
気付けば、みんなが遠くなってました。これじゃまずいと一生懸命考えて、朝礼でビジョンを語ったり、時間見つけて1on1やってみたりもしましたが…なかなかうまく距離が縮まらない。これには相当悩んでいました。
でもようやく。自分なりに何がいけなかったのかがわかってきた。今日はその大事な気づきについて、備忘録的にまとめておこうと思います。
** 大切なのは"関係性"だと知った**
いろんなことに悩みましたが、問題はシンプルでした。
"仲良くなれば、それだけで全部解決する"ってことだった。そうなれるためにはどうしたらいいのか?それを考えればよかったんです。
これって奇しくも、Huber.の理念とまったく同じでした。僕は忙しさにかまけて、一番大切なことをおろそかにしていた。みんなの為と気負って、外ばかり見て、みんなとの"信頼関係"を育むことに時間を作れてなかった。
そのことに気づけたことが、一番大きいです。昔はオフィスが自宅だったから、それが自然にできてたけど、 今はもう違うわけで。
そしたら、いろいろ解けてきました。今回の件で気づいた"管理職者とスタッフの心の距離が離れてしまう、5つのメカニズム"を、下記にまとめておきます。
管理職者とスタッフの心が離れてしまう、5つのメカニズム
1. 情報格差が諸悪の根元
何の工夫もないまま、上司と部下で「平行線な議論」をしてしまうと、結果的に上司が勝ちます。なぜなら「情報格差」と「立場の違い」があるから。上司からすれば「フェアな議論」をしたつもりでも、部下からすると「勝てない議論」になってるんです。
これに上司はなかなか気付けません。本人は対等に議論してるつもりなので。でも情報量の点で、全然対等じゃないんです。これが続けば当然、スタッフは何を言っても変わらないとやる気をなくします。自発性を奪われてしまう。でも上司は「なぜ意見を言わないんだ、もっと自発性持って、議論しなきゃダメだ」と言い続けてしまう。そんなんじゃまぁ、嫌になりますよね。いろいろと。
2. 効率を求めて、何でも1対Nに走らない
時間がないと、どうしても朝礼のような「1対全体」の機会を増やしがちですが、これって"情報周知"にはいいけど、”コミュニケーション”の場としては不適切なんですよね。
でも例えばこれが「5〜6人くらいの呑みの場」になると、全然変わります。全員が十分話せる時間的な余裕があり、朝礼と違って見当違いなことを言っても影響範囲も小さいし、酒の席は無礼講なので言いやすい。で、全員が当事者になれて、立場を忘れて馬鹿話もできるわけです。
これはお酒でなくてもいい。大切なのは「言いやすい機会」と「豊かな時間」なのだと思います。
2020.5 追記
コロナでリモートワークが増えて、zoomを活用するようになりましたが、その中の「ブレイクアウト機能」は、1対Nの弊害を解消する手段として、とても良いと思います。これもまた工夫です。
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3. 喧嘩の軸なき議論はダメ
メカニズムは上記の情報格差と一緒です。
部下からしたら戦う前から負け戦な訳で。やる気出せってのが無理です。
それが続けば「だったら議論なんてしないでやりたいようにやればいい」ってなっちゃいますよね。
でもそこに喧嘩の軸があれば変わる。例えばYahoo!は「迷ったらワイルドな方を選べ」という標語があります。これを会社が掲げてるわけですから、ワイルドであることは良いことなんです。だから上司の考えがそれに反していたら「でもそれってワイルドですか?」とか言える。こういうのって大事です。
4.定性情報だけで議論しない
例えば「どのステーキを一押しにするか?」を議論してたとして。「やっぱ俺はAです。一番旨かった!」とか言われても、それはあくまで個人の主観です。何が、どう美味しかったのか、なぜそう思うのか、いろいろ聴かないと判断できません。
でも数字が添えられると全然変わる。
「Aの肉が一番良いと思います。店で一番売れていて商品で1日の売上の◯%を占めてます。また女性の常連客に特に人気で、◯%の人がいつもこれを頼んでくれてます。個人的にも脂の甘味が良くて、一番好きです。」
とか言われたら、実際に食べてなくても「なるほど、それはいいね」と、すぐに納得できる。全然違いますよね。
数字とは、一言で言えば「客観情報」です。
誰が見ても、受け取り方に差分がない。だからすぐに共通認識が取れて、合理的な結論を出しやすくなります。皆が考察と数字をセットで話をする癖を付けるだけで、チーム内の関係性はグッと良くなってきます。
でもここに数字がないと、議論は長くなり、質問攻めにされた相手は"信じて貰えてない"と感じてしまったりします。さらに最悪なのは「どっちの主張が正しいか?」となった時です。例えば料理の味は主観なんで、議論しても結論がでない。つまり立場が上の人の主張が勝ってしまう。これが続けば「もう勝手にやれよ」と、部下はサジを投げてしまいます。
5. 「I(アイ)メッセージ」で伝える
想像してみてください。
どちらの言われ方の方が、受け止めやすいですか?
「あなたは◯◯だ。だから改善した方がいい。」
「私は◯◯だと悲しい。何とか改善できないかな?」
どちらの方が、素直に受け取れますか?
何かのトラブルが起きたとして。再発を防ぐだにも原因究明は大事です。でもそれを「どう伝えるか?」でその後の関係性は大きく変わります。これ、ホントに大事です。
何をするかより、誰とするか
これは会社によって違うかもしれないけど。
少なくともHuber.では、これが大事なんだと心底思うようになりました。僕はこの会社に集まった皆と一緒に、未来を創っていきたい。望む未来が作れるなら誰とでもかまわない、とは思えなかった。
でもそれこそが、僕らが描く未来を創っていく一番大切な力の源なんだと、ここまできてようやく理解できたように思います。
動物園みたいな組織を創りたい
一人一人の社員が、自らの個性と才能(ギフト)を活かし、得意で助け苦手で頼る、そういうチームを創り上げたい。それは僕が創業当初から願い続けていることです。どうすれば実現できるか、試行錯誤の連続ですけど。
でもようやく一つの手がかりが見つかった気がしてます。まだまだ道半ばですが、これからも考え続けていきたいと思います。