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組織におけるZoomの非常にもったいない(そしてよくある)使い方

2023年もあとわずかですね。今回は、組織におけるZoomの非常にもったいない使い方(そしてよくあるパターン)をご紹介します。

結論から述べてしまうと、

  • 有償アカウントの乱立、管理外ユーザの乱立は非常にもったいない!

  • アカウントは一つにまとめましょう!

  • 有償ライセンスが不要な従業員/職員の方も、全員ベーシック(無償)ユーザとして管理しましょう!

という記事です。



有償アカウントと管理外ユーザが乱立する背景


Zoomはその使いやすさ、手軽さ、品質をご評価いただいており、USや日本で最もダウンロードされているとのソースがあります。

Source: Zoom is the most downloaded business app in the U.S. followed by Microsoft Teams
Source: Apple公式 iPhoneビジネスアプリランキング(2023年12月)
Source: Apple公式 iPadビジネスアプリランキング(2023年12月)

一方、その使いやすさゆえに、トレーニングもなくユーザがすぐに使い始められてしまうという側面もあります。よくあるのは、社内の情報システム部門がオフィシャルな環境を提供していない(もしくは統合できていない)状況で、実は見えないところにユーザが大量に存在するというパターンです。

この中には、「とりあえず無償でサインアップ」される方もいれば、「無償の範囲を超えてミーティングをしたい、Webinarを主催したい」という方が、個人で、あるいは部門でご契約されている場合もあります。

有償でご契約頂いた場合、それぞれが有償アカウント(≒テナント)のオーナーになります。そして、誰も組織として取りまとめをしていないと、気がつけばアカウントや野良ユーザーが乱立している、という事になります。

この状態をcompany.com(仮名)という会社をモデルに絵に起こすと、このようになります。

蓋を空けてみると「管理外ユーザが万単位」でした、というケースも実際にありました

何が問題なのか?

この状態における問題を整理すると、おおよそ以下の3点に集約できます。

  1. ITガバナンスが効かせられない

  2. コストが最適化できない

  3. プラットフォームとしての価値をフルで享受できない


1. ITガバナンスが効いていない

SaaSアプリケーション一般に言える話ですが、組織の中で誰も管理していないIT環境が存在するのは問題です。その環境が組織としてのポリシーに準拠した設定になっているかどうかを把握できませんし、ログも集まらなければどういう使われ方をしているのかも把握できません。ID管理ができていなければ、退職者が退職前に使用していたIDを退職後も使用できてしまいます。IDが共有されていたような場合、退職者が以前のIDパスワードを使って、退職後のミーティング録画を見れてしまうということも起こり得ます。(このあたり、詳しくはIPA情報処理推進機構の「組織における内部不正防止ガイドライン」をご参照ください)

Zoomに関して言うと、各種ポリシーをアカウント(環境)レベル、グループレベル、個人レベルで設定したり、ロックをかけることが可能です。これは裏を返すと、管理外ユーザの設定は全てそのユーザ任せになってしまうということでもあります。

アカウント>グループ>ユーザ の順で設定を踏襲。アカウント/グループ管理者がロックをかけていない設定はそれぞれ編集できる
グループ設定画面該当グループの標準設定や、上位(アカウント)レベルでロックされている項目も確認できる
同じ「アカウント内のユーザ」であれば待機室をスキップできるとか、「チャットでファイルをやりとりできる」等のように、「アカウント内のユーザかどうか」をトリガーにできる設定も

また、ユーザがアカウント内にいればユーザの利用状況をダッシュボードで確認し、何か問題があった際に切り分けの材料とすることができます。これも裏を返すと、管理アカウント外ユーザの利用状況は見える化できないということです。

ダッシュボードについてのサポート記事はこちら

2. コストが最適化できない

単発で契約をしていると、本来まとめていれば適用できるはずのボリュームディスカウントが適用されません。また、部門毎や個人で更新管理や注文をする管理工数もそれぞれ発生します。

3. プラットフォームとしての価値を享受できない

Zoomはミーティングとしての機能でよく知られていますが、無償ユーザでも利用可能なチャット機能等、数多くの活用方法があります。せっかく本来であれば同じ組織のメンバー同士でコラボレーションできるのに、それぞれが断絶してしまっていたら、非常にもったいないです。

陸の孤島が散らばっているイメージ。組織内ユーザ同士がつながる事によるメリットを享受できていない

例えば、ユーザが同一アカウント内にいれば、簡単に同僚を探してチャットを投げたり、オンラインステータスを見てZoomでコールをかけることもできますし、

(ステータスメッセージを各自で設定することも)

チャネル上でやりとりしたり

ミーティング中にヘルプを求めて空いている同僚を招待したり

Notesを社内限定で共有したり

ホワイトボードのコメントで誰かをMentionしたり、タスクを割り当てたり

ミーティングの要約を自動で社内の予定参加者に共有したり

社内限定のクリップを作成したり

などなど、ここだけでは挙げきれないほどのメリットがあります。しかし、せっかく使っている組織内のユーザ同士が陸の孤島になってしまっていたら、それも宝の持ち腐れになってしまっています。

ベーシック(無償)ライセンスも活用して、全社員がつながる環境にしませんか?

Zoomは、コラボレーションツールとしては珍しく、同一アカウント内に有償ライセンスユーザと無償ユーザ(ベーシックユーザ)の同居が可能です。しかも、アカウント内にベーシックユーザを9,999ユーザまで作成可能です(2023年12月現在)。

アカウントオーナー/管理者はアカウント内に無償ユーザも作成できる。CSVによるインポートもできれば、Azure ADOktaのようなSSO基盤と連携した自動プロビジョニングも

東洋経済オンラインの調査によると、日本で従業員数(正社員)が10,000人を超える企業は300社未満ですので、その300社を除いた全ての日本企業は、ベーシックライセンスの併用で全社コミュニケーション基盤、チャット基盤が簡単に構築できるのです。Zoom Phoneの有償ライセンスも一部あれば、「Zoom Phoneベーシック」ライセンスでグローバル内線網も一緒にできてしまいます。せっかくアカウントを作成する、もしくは組織としてアカウントを持っているのであれば、全メンバーが繋がるようにしてみませんか?

もちろんモバイル, タブレット、ChromebookのようなPWA環境、Linux, VDI環境でも利用可能

全社員が使えるようになっていれば、もし別のコラボレーション基盤が社内標準だったとしても、その基盤が何らかの障害でダウンしてしまった場合のバックアップにもなります。シングルサインオン基盤がある場合は、Zoomにもシングルサインオンできるようにしておけば、ユーザ自身がIDを管理すること伴うリスクへの対策になるだけでなく、ユーザもわざわざ個別にサインインをする手間もなくなります。

ベーシック(無償)ライセンスでもこんなに使える

有償ライセンスユーザとベーシックユーザとの違いはZoomのWebサイト内で最新情報がアップデートされていますが、2023年末現在、ベーシックライセンスでもこんなに使えますので、活用しないのは非常にもったいないと感じています。

  • 🎬ミーティング: 100名まで参加するミーティングの主催(最大40分/回)、自動字幕

  • 💬チームチャット: フル機能(有償ライセンスとの差異無し)

  • 📝Notes :Zoom内で(共同)編集可能なドキュメントの作成、共有(有償ライセンスとの差異無し)

  • 🗒️ホワイトボード: 編集可能なボードの作成(3つまで)、参照

  • 🎥Clips(Basic): 2分以内のクリップ作成(5本まで)、参照

  • 📆カレンダー/✉️メールクライアント(Gmail, Microsoft対応)

まとめ

アカウントが乱立していたり、社内の利用状況が見えていない状況は、ガバナンス上望ましくないだけでなく、コストを抑えながら社内コラボレーション環境を促進する機会を逸失してしまっています。ベーシックユーザやシングルサインオン等を活用しつつ、利便性とセキュリティ、管理のしやすさを実現していくきっかけになれば幸いです。

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